第6話「汗を目立たない様にするために」


 学校近くの公民館の集会室には2年3組の10人の女子が反省会をしていた。 「バカなの!あなた達!何勝手なことやってんのよ!!」敬子が大声で怒 鳴る。 「ご、ごめんなさい」「いや、あまりにも唯花が起きないから..つい」 「あんな破廉恥な謝罪動画、男子たちにバレたら全て台無しなのよ!!」  どうやら、唯花のおま●こ謝罪映像を撮ったことに対しての反省会のよ うだった。 「でも敬子..何か唯花のガードが一気に緩くなってきてねーか?」 「そーだよ。以前は軽い悪戯でスカートを捲ろうと近づいても気づかれて 怒られたし」 「そうそう、おま●こなんて絶対に触れさせるわけないと思ったけど..」 「まあ、その点については少し考えなおす点があるわね..で!私だけ、 おま●こ謝罪映像をまだ見てないんだけど!!どーいうこと!」 「いや!見たいのかいっ!」「だから大型モニタ付きの部屋だったの?」 「敬子もこれ見りゃ、唯花が意外におま●こ弱いって分かるんじゃね」  休憩を兼ねて、スマホを大型モニタに接続して、唯花のおま●こ謝罪映 像を流しはじめた。  まず、机をくっつけた上に意識を失った全裸の唯花を仰向けで寝かせ、 膝を曲げながら両足を開く姿勢にさせた。 「って、もう完全にM字状態じゃない!これで起きなかったの?」 「うん、まったく(笑)」「そもそも、この後でビラビラ弄ってるし」  映像には唯花のおま●こがドアップで映り、女子たちの指が器用に唯花 の陰唇を摘まんで喋る口のようにパクパクさせながら声をあててきた。 (唯花のおま●こで)「クラス学級委員の相川 唯花のおま●こです。今 日もこんなにマン汁をかきましたが裸になることは出来なくて大変申し訳 ありませんでしたぁぁ〜」「ぶふぉっ!」敬子は思わず吹き出した。 「ほらぁ〜!敬子もツボにはまってるじゃん」「お、面白いけど..これ はアウトでしょ!まさか、まだ続くの?」「うんっ」 (唯花のおま●こで)「あと、みんなに宣言いたします。明日こそは.. マン汁をかいたら、必ず、その場で全て脱いで裸になります!もちろん、 脱ぐことが出来なかったら、唯花のおま●こはまた謝罪宣言をします!」  ここで映像が終わり、敬子は呆れと共にため息をついた。 「こ、こんなに..鈍感だったかしら?」「いや、前だったらこんなこと させなかったんじゃない?」「ねえ?鈍感というより緊張が解れていたと か?」「そもそも女子しか居ないんだし。みんな裸になってるし」 「ん〜、なるほど。そういう考えもありかも。まあ、優等生で真面目とい っても..唯花ってバカだったよね」 「…敬子、あんたが言うと完全に嫌味で悪口だよ」「うんうん」 「いや、そういう意味じゃないわよ。唯花って頭が良いイメージあるでし ょ?」「自慢かっ!!」「全教科学年一の成績で全国模試上位は誰よ!」 「あっ、私のせいか..てへっ」「「「そうだよっ!!」」」 「…そういえば、斎藤が万年2位で頭良かったわね。まあ1位じゃないのは 残念なところね」「いや!万年1位のあんたが言うなよ!」 「けど、頭良くてイケメンで運動神経抜群って..斎藤って完璧すぎるよ ね..」「で、親が警察幹部で格闘も強いんだろ?あれで女子人気低いっ て信じられないよな〜」「いや、超堅物だし、色気で迫る女は痴女扱いさ れるしね」「あれ絶対DQN彼氏だよ!唯花ってあいつの影響であんな風に なったんじゃない?」「それもあるけど、唯花の両親も超堅物みたいだし」 「…ねえ、ちょっと確かめたいことあるから、力貸してくんない?」 「敬子、また何か企んでる?」「まあ、力はいくらでも貸すし」  どうやら、敬子は何か決定的な策を見つけたようであり、それを次の男 女合同の水泳授業で実行することにした。  今月は水泳競技大会が近い関係で、大会に出る選手が居る3組は男女合 同の水泳授業が多く割り当てられていた。  唯花の学校では特定の教科や自習の回数が偏らないように、各学年主任 が調整をするのだが、どうやら学年主任の体育教師、磯崎自身が偏った時 間割を組んでいるようだった。  職員室では、バランスの悪い時間割を気にした星川教頭が磯崎へ確認を とっていた。  かなり暑いのか、教頭は扇子でパタパタと仰いでおり、トレードマーク の赤シャツも汗ばんでいた。 「磯崎先生、最近3組の時間割が偏っているようだけど、大丈夫かね?」 「3組の生徒は皆、優秀ですから、1組と5組の成績アップの為に協力して もらってるんですよ」「なるほど、1組と5組では自習は無理そうですね〜」 「3組には何せ斎藤と相川がいますから、自習だからといって遊ぶ生徒も 出ないでしょう」「うんうん、優等生の2人が居れば問題は無さそうです ね。ところで今日の合同授業は磯崎先生が担当で?」 「ええ、斎藤も相川も水泳競技大会の代表ですからな。少しでも多くの練 習時間を与えたいんですよ〜」「なるほど、なるほどぉ〜」  扇子をパタパタさせながら頷く教頭。そして無言の視線で何かを求めて いた。 (わかってますよ、教頭。誘って欲しいんですね) 「そうそう、教頭も斎藤と相川の仕上がりをご覧になったらどうですか? 水泳競技大会はわが校にとって大事な大会ですからな」 「と言うと..えっと、斎藤君はその..本番同様の水着で練習するとい うことかね?コホン、斎藤君の水着が気になってね」パタパタ… 「”斎藤”の水着ですが..」「うむ、”斎藤君”の水着です」パタパタ… (いひっ、わかってますよ!)(ふふ、わかってくれたかねぇ〜) 「斎藤は確か教頭がタイムアップを優先した生地の薄いビキニパンツを着 てますので女子たちの黄色い悲鳴が止まらんですよ。ありゃ勃起したら形 が浮かびますよ、はは」「まあ、タイムアップのためですからねぇ〜」 「まあ斎藤は堅物だから、その辺りは大丈夫でしょう」「そうだねぇ」 「ちなみに..相川の方ですが..」「ごくんっ。あ、相川君は..」  少しの間だけ沈黙し、緊張感の中、磯崎が口を開く。 「ざ!残念っながら、ボディラインが出るとのことで他の生徒と同じ一般 の水着を着てます」「そうか..そうだよねぇ..」 「なので、相川の方は練習の効果があまり出ませんな」「そうだねぇ」 「まあ、合同授業で男子たちに見られるわけですから、透けない生地でも、 ボディラインが丸分かりは恥ずかしいのでしょう。こ、こほん、ただ、そ れも昨日までの話となりますが..」 「!!!そ、それは..どういうことかね?こ、これはえっと練習の効果 として大事なことで..他意はあ、ありません!ええ、ありませんよ!」 「もしかすると相川に心境の変化が起こって、今日からは本番同様の水着 で授業に参加するかもしれませんな〜」  パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタァァァァァ!  扇子が壊れそうなぐらいの勢いで仰ぎだす教頭が詳しく聞いてみた。 「そ、そ、それは..どういう心境の変化かねぇ〜。これも大事なことで! た、他意はあ、ありませんっ」 「詳しいことは分かりませんが、五十嵐が何かしたのでしょうな」 「!!なるほどっ!五十嵐君か!まあ、この際、理由なんてどうでもいい でしょう!」 「そういうことで、是非”斎藤”の仕上がりをご覧ください」 「コホン、そ、そうですねぇ、あ、相川君じゃなく、それじゃ”斎藤君” の仕上がりを後で見にいきますね」  他の高校とは違い、タイムを重視した本校の競泳水着は男女共にボディ ラインがくっきりと出たものだった。特に肌にフィットした薄い生地の水 着は唯花の豊満なDカップを上下に弾ませていた。 「しかし、あの相川に、あの水着を着させるとは教頭も悪ですなぁ〜」  教頭がおっぱいフェチであることを知りながら磯崎がニヤリとした。 「実際、タイムは良くなりましたよ..コホン、これは記録を第一にした だけですよ」  一応、競泳水着の最終選定は唯花が決めていた。もちろん真面目な唯花 は学校のために記録が一番出るのを選ぶのを見越してのことだった。 「コホン、最近は磯崎先生も学年主任らしくなってきましたね。昔を知る 私としては、らしくはないと思いますが..」「お互い様ですよ」  教頭が周りを見回して、他の教師がいないのを確かめると、「もし五十 嵐から何か見せてもらってるなら私にもこっそり頼みますよ」と磯崎の耳 元で声をひそめて言ってきた。 「ええ、後で送りますよ。その代わり時間割の件、教頭もお力添えいただ きますように〜」「1組と5組の成績アップには仕方ありませんね〜」  そう、どうやら教師の方にも五十嵐の、いや五十嵐敬子の手が回ってい たようだった。  こうして、磯崎が授業する男女合同の水泳授業が2時限目から始まり、 プールサイドには3組の男女が学校指定の水着を着て集合していた。  相変わらず、女子たちの視線は斎藤の生地の薄いビキニパンツに集中し ていた。優等生にも関わらず、身体を鍛えている斎藤の6つに割れた腹筋 には女子たちの黄色い声が止まらない。  股間は固くなってないが、ビキニパンツの生地の大半で巨根ペニスを包 んでいるのも分かるので、女子たちだけが一方的に喜んでいた。  ぼそぼそ(縮んでて、あのサイズって超ヤバくない?アメリカサイズ?)  ぼそぼそ(ねえ、斎藤って、あの顔、身体で童貞だって..大損じゃん)  ぼそぼそ(って言うか、あたしらの水着見ても無反応って..むかつく)  ぼそぼそ(あの堅物が無ければ、私猛アタックするのにぃぃ〜)  ぼそぼそ(唯花って、斎藤の影響で、堅物になったって感じよね?)  女子たちが斎藤の股間に視線を集めてる中、当の斎藤は冷ややかな目で そんな女子たちを蔑んでいた。 (俺の股間ばかり見るなんて、このクラスの女子も下品極まりないな。や はり、俺に相応しい女性は唯花だけだな。悪いが、お前ら下品女の水着な どで少しも興奮しないし、お前らに股間をいくら見られようが俺の息子は 微動だにしないだろうな)  一方、男子たちは斎藤一人だけモテモテなのが頭にきてイライラする。  せめて、唯花が競泳水着を着てくれれば救われるが、学校指定の水着姿 を見せるのにも恥ずかしがる有り様じゃ、到底無理な話であろう。  が、今日からは何か違う雰囲気が漂っていた。唯花がなかなか更衣室か ら出てこない事にいちるの望みを抱いていたのであった。  しかも敬子が男子たちの方に向けて意味深なウインクを送ってきたので、 これは何かあると思っていてもいいだろう。  けれども、あの真面目な唯花に自発的に競泳水着を着させることが出来 るのだろうか?結局いつもの学校指定の水着でしたとガックリさせるオチ が待っているのかもとプールサイドは疑心暗鬼の空気が漂っていく。 「さて、そろそろ諦めて出てくる頃かしら〜」  敬子の台詞に更衣室のドアが開く音が響き、唯花が体をモジモジさせな がら歩いてきた。  男子たちの鼻の下が一斉に伸びる。遠くからでも分かる豊満なおっぱい がたゆんたゆんと弾んでいた。 「ご、ごめんなさい。教頭が新しく用意してくれた競泳水着が少しきつく て着るのに時間が掛かってしまいました」  男子たちは喜びの反面、教頭に心の声で「どんどん生地薄くなってるじ ゃねーか、あの赤シャツハゲ職権乱用しまくりだろ。いや、もっとやれw」 とツッこんでいた。  が、ここで1つ大きな疑問が生じる。何故、唯花自身がこんな生地の薄 いきわどい水着を着てきたかだ。  タイムのため?それはない。宣言を守れなかったから?それは多少あっ ても自主的に着させる力はない。  いや、謝罪宣言が大きく影響したのには間違いなく、これには意外にも 教頭が一枚噛んでいた。  教頭は唯花にこの水着を渡すときに、こう説明したのだ。 ”これはねぇ〜、生地が薄いけど絶対透けないから、後で水にでも浸けて 確認してください。もちろん内側が濡れても、そう汗をかいても透けない から安心してください” (教頭の言ったとおりだわ..この水着だとやっぱ汗が全く目立たないし、 透けないのだから、選んで正解だったよね?)  実はこの新しい水着、ボディラインは綺麗に浮かんでしまうが、水に透 けることが全くなく、汗をかいても水着の色が変色することもなかった。  逆に通常の学校指定の水着だと汗をかくと変色するので、周りから汗を かいてることがすぐに分かってしまう。  実は今の唯花にとっては汗をいっぱいかいているという事実を隠すこと が一番大事だった。 (あ、あの宣言はジョークだけど、汗をかいてると思い出しちゃうし.. 水泳に集中するためにも..この水着が最適なんだから..) 「きょ、今日は一段と暑いよね..」と唯花の額からにじみ出た汗がツツ ーと滴り落ちる。(前までは、こんなに汗かかなかったのに..)  今までの水泳授業では汗をかかなかった唯花が、泳ぐ前から汗をいっぱ いかいていた。  つまり、この状況で学校指定の水着を着れば、「相川 唯花はもう汗を いっぱいかいてます」とクラス全員に知れ渡るのだ。 (汗が目立つと..ぁぁ、昨日の謝罪が頭の中でリピートされるの..)  そう、たとえジョークだとしても、男子たちが知らないとしても、唯花 の脳内でつい最近した謝罪宣言が繰り返されてしまう。 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%  クラス学級委員の相川 唯花です。今日もみんなに宣言いたします。  明日こそ、汗をかいたら、相川 唯花は外での授業でも、もちろん、  外での水泳授業でも、その場で水着を脱いで裸になります!!」 %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% (あの宣言を思い出したくないから..この汗が目立たない水着を選ぶし かなかったのよぉぉ〜) 「やっぱ、外は暑いわね..うん、暑いよね..」唯花は汗をかいた理由 を口にしてみたが、それ以上は何も言えなかった。ずっと、クラスメイト 全員の視線が一斉に突き刺さってきている感じがした。 「相川さんも今日から競泳水着着るんだ」 「そ、そうよ。でも、あんまりジロジロ見ないで。これはタイムを優先し た水着で本番で失敗しないために着ているだけだから..」  いつもだとスケベな男子に怒ってくる唯花が顔を赤らめながら、優しい トーンで言い訳をしてきた。これに調子に乗ったスケベな杉田と茂木がま たギリギリの質問をした。 「相川さん、それってタイムアップできるなら、どんな水着でも着るって ことかい?」「…え、えっと..計測してタイムアップが分かれば着ます」 「じゃあ、素っ裸が一番いいタイムなら、全裸水泳ってことか」 「えっ?水着無しって..」  敬子がため息を吐いてから、杉田と茂木を睨みつける。近くにいる斎藤 が激怒してしまう言葉なのだ。 (あいつらぁ〜、私がここまで地道にやってた努力を水に流すつもりかっ)  が、香菜子がここでクスクスと敬子に「大丈夫よ。あいつらもそこまで バカじゃないわよぉ〜。その証拠に斎藤君は上を向いてブツブツ言ってる し」と話してきた。 「?ど、どういうこと、なぜ斎藤が..あっ!!」「反応しちゃったって ことよぉ〜」何と斎藤のビキニパンツが半端なく膨らんでいた。  斎藤も健全な高校生男子だ。水着も恥ずかしがって着てくれない彼女が ボディラインがきわどく出た水着を着てくれば素直に反応するだろう。  それに加えて女子たちの視線が集まっている。真面目の斎藤だからこそ、 かろうじてテントを張らずに済んでいるのだ。  ようやく全てを理解した敬子は、唯花に向かって少しは茶目っ気な態度 を見せなさいという仕草で、「ねえ、唯花。いちいちスケベな質問に真剣 に答えちゃだけよ。そういうのは軽く返しなよ」とアドバイスしてきた。 (そ、そうよね..私ったら何真面目に考えちゃったんだろう) 「えっと、杉田君に茂木君、最新の水着っていうのは速くするためのもの だから、裸が一番ってことはないわよ」 「ちぇっ、五十嵐の奴、余計なアドバイスしたな..でも相川さん、もし スッポンポンが速かったらどうすんだ?」「そーだ、そーだ。教えろよ」 「……」(お、怒っちゃダメ..ここは敬子の言う通りに..) 「そ、そうね..万が一にも裸の方が早かったら..ちゃんと謝ります」 「そっか、そこまでいうなら..」「ありがと、相川さん」  何かまずい言葉を出してしまった気もするが、杉田と茂木が納得したよ うな顔を見せたので、この話はここで切り上げて準備体操の準備を始めた。  この学校では体育委員、もしくは学級委員が前に出て模範体操を行うの だが、3組では大体、唯花と斎藤が行う流れになっていた。  男子たちの前では唯花が、女子たちの前では斎藤が模範体操を行ってお り、ボディラインがくっきり出る唯花の競泳水着に男子たちの興奮は止ま らない。  いよいよ、唯花の身体の隅々を堪能できると男子たちが意気込んでる中、 男子たちの前へ向かう唯花の足取りがフラフラとしていた。 「おい?相川さんの歩き方、何か変じゃないか?」 「って言うか、相川さんの顔!顔がすげーことになってんぞ!」 「うおっ!真っ赤っかだ!え?えええぇぇ〜」  どうやら、競技大会のように「これは恥ずかしくない」と自分を言い聞 かせることが出来ず、頭の天辺から足の爪先まで恥ずかしさで真っ赤にな ってしまった。 「はにゃにゃぁぁ〜、頭がぐるぐるする〜」身体から湯気が出てるんじゃ ないかと思うのぼせかたで何とか進もうとするが、もはやまともに歩けな い。 「ふひゃぁぁぁんんんっ〜、ぴみゃぁぁぁぁ〜」普段の唯花が出さない甘 い声を出しながら、何とそのままプールに落ちてしまった。