プロローグ


 私の名は桜野 結愛子。国内でも大手に入る崎上食品会社に勤めてる新 人のOLです。  今は開発部に勤めててパートナーの川坂くんと常に新しい食品を開発し ている日々であった。  川坂くんは普段はぐうたら社員と言われてるが、こと料理に関しては比 類ない才能を持っていた。  今日はある食品会社と料理勝負をする為に2人してテーマの鍋物につい て、最後の仕上げを行っていたのだ。 「桜野さん。どうだい?今度のこの味は?」 「!!ん!な・何これ・・・口の中で香ばしさが増してくるわ?」 「ふふっ。少し工夫をして香りづけをしたのさ」 「こ・こんな鍋物は初めてよ。こ・この前よりもずっと美味しいわ」 「ああ、味覚で舌を、視覚で目を楽しませ、触覚で口の中で心地よい噛み を与える」 「で、香ばしさで嗅覚ってわけね」 「ああ、そして食欲を一層高める音さ。そう聴覚も楽しませてるんだ」 「す・すごいわ。それにこの多彩な具なのに味もおかしくないわ」 「ああ、ちゃんと6味をバランスよく抑えてるからな」 「6味、そうか。甘さ・辛さ・酸っぱさ・苦さ・しょっぱさ・旨味が全て 味わえるわ!」 「そうさ。この鍋物ならあいつも何も言えまい。そうだろ?」 「ええ、これなら問題ないわ。今日は私たちの勝ちよ」 「ああ、じゃあそろそろ準備するか」 「はい」  私たちは勝負会場に行く為の準備を始めた。  そう、この日まではごく普通な何にも変わりないいつもと同じ生活だっ た。ところが、これからあの事件が起こってから私の運命は大きく変わっ ていったのであった。


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