第51話「寒中マラソンの罰」(挿絵:さばにしきさん)


※時々CGと文字が重なる場合がありますので、その時は1回再読み込みしますと直ります。

 雪がチラチラと降る中、葉須香のボディペイント制服の罰が続いていた。  そして、校内では1月末に行われるマラソン大会に向けて各クラスが練 習を始めてきた。  葉須香のクラスでもマラソン大会の練習をすることになり、罰の方もそ れに合ったものへと変わり、名歯亀がマラソン大会の練習授業で校庭に集 合した4組のクラス全員に新しい罰について説明しはじめた。 「今日から葉須香の罰を新しく変えることにしただべぇー」 「先生、変えると言っても肝心の葉須香ちゃんがいないけど」 「もうすぐ、ここに走ってくるだべぇー。今は飛び出すタイミングを計っ ているんだべぇ〜」 「飛び出すタイミングって?」「いったい、それって..」  名歯亀の言葉に皆が疑問に思う中、1人の男子が葉須香が校舎の入口で きょろきょろしているのを発見した。  見たところ、格好も普通の体操服であったが何故か葉須香の顔は真っ赤 で少し様子がおかしい。  他の男子も挙動不審な葉須香を見て不思議に思ったが、葉須香の体操着 を観察していく内に何か違和感を感じた。 「おい..あの体操着、やけに身体のラインが出てねーか?」 「そう言われると見えなくもないが、単に下着をつけてねーだけじゃねー」 「いや..あのブルマを見ろよ。やけに縦スジが浮かんでるぞ」 「そういえば..上もおっぱいのラインが出過ぎだな」  男子たちが葉須香のブルマ姿に違和感を感じ始める中、ようやく葉須香 がこっちへ向かって猛ダッシュしてきた。 「ああぁ、いやぁぁぁ〜、見ないでぇぇ〜」  ぶるんっ〜ぶるんっ〜ぶるるんっ♪  明らかにおっぱいの揺れが激しいことで、一部の男子たちが罰の真相に 気づいて生唾を飲み込んだ。  それにしても葉須香は一体、ただの体操着にどうしてここまで恥ずかし がっているのだろうか。  男子たちの方へ近づくにつれて、罰の内容が明らかになり男子たちは大 歓声をあげ、女子たちは嘘でしょという顔つきで葉須香を凝視していた。 「すげぇぇー。葉須香ちゃん、それで走るつもりなのかよーー」 「いやぁぁー、これは可哀想よ」 「うおぉ、名歯亀もとんでもねーのを考えるな」 「こりゃサイコーだぜぇぇーー」  しかし..葉須香の体操着に何でこれほどの反応が出るのだろうか?  それは猛ダッシュで皆の輪の中に飛び込んでいった葉須香の言葉に手が かりがあるようだ。 「・・・あ・あの、みんな。今日のマラソンは、ちゃんと私を囲って走っ てください」 「わかってるよ」「へへっ、任しとけ」  葉須香が念を押して男子たちに自分を囲うように頼んできた。  いったい、どういう意味なのだろうか?  それは葉須香の着ている体操着が今回の罰となっていたようであり、よ く見るとこの体操着は描かれたものになっていた。  つまりは、今の葉須香は素っ裸であり肌の上に白の上着とブルマを描い ている「寒中マラソンの罰」を実行していたのだ。  1月下旬はマラソン練習の授業が多くなる関係で、この罰へレベルアッ プしたらしい。  だが、問題は今までと違って罰の実行場所が教室ではなく、外で行うの で恥ずかしさは比較にならないぐらいすごいものとなる。  それも周りの女子はジャージ姿なのに1人だけブルマ姿というのもかな り羞恥心を煽るだろう。  これから、この姿でマラソンコースを走らなければならないのに、すで に全身から出てる汗でペイントが少しずつ流れていた。  離れて見れば分からないが、近くで見れば葉須香のおっぱいもおま●こ が丸出しなのは分かってしまう。  名歯亀の企みなのが、悲惨なことに恥丘の下側のペイントはすでに剥げ ており、ぷっくらとしたおま●こが丸見えになる。  葉須香が「えいっ」と足を思い切り上げれば、きっとピンク色の具がバ ッチシ見えてしまいそうだ。 「みんな、本当にちゃんと囲って走ってね。絶対、意地悪なんてしないで」  葉須香が必死に男子たちにお願いする。裸で外を走ると思うと全身が真 っ赤になり、手足が少し震えて、動揺を隠せないようだった。 「大丈夫だよ。葉須香ちゃんが、ちゃんと付いてきてくれればな」 「・・・えっ?それはどういうこと..」 「まあ、そんなに心配しなくていいよ。葉須香ちゃんなら大丈夫だから」 「・・・・」  男子たちの言葉に不安を感じた葉須香であったが、早くこのマラソンの 練習が終わることを必死に願うしかなかった。  いよいよマラソンの練習が始まり、葉須香は男子たちに囲まれて走り始 めた。  マラソンコースは校舎裏近くの山の散歩道であり平日はほとんどと言っ ていいぐらい人の気配はないのが幸いだ。  けど、それでも外でおっぱいを上下に揺らし、下も一切隠さないで女子 高生が生まれたままの姿で走っているのは凄い光景だろう。  本当は手で隠して走りたい葉須香だが、そんなゆとりを囲っている男子 たちが許してくれなかった。  そう、囲っている男子たちは葉須香が全速力で走らなければ置いていか れるスピードで走っていたからだ。 「葉須香ちゃん、もうちょっと頑張らないと囲いから外れちゃうぞ」 「はぁはぁ..そ・そんな..」  全力で走っているせいか、葉須香のおっぱいはぶるんぶるん揺れまくっ ていたが、気にするゆとりが無かった。  もちろん、男子たちは激しく動くおっぱいに興奮しており、もっと揺ら そうと企んでいる。 「!ちょ・ちょっと..スピードをあげないでぇ..はぁはぁ」  苦しい表情の葉須香が男子たちのスピードアップに困惑した。 (死に物狂いで走らなくちゃ..こんな姿、外に晒したくない)  すでに葉須香のブルマペイントの方は走ってかいた汗のせいで、ほとん ど恥丘が丸出しにになっていた。それも両足を大股で走らなければ男子た ちに追いつけないので、おま●こはかなり開いてしまった。  それでも今の葉須香は必死に走るしかなかった。  だが、マラソンコースは10Kmもあるので、いつまでも葉須香の体力が持 つはずはなかった。  残り2kmとなると、足元がフラフラとなり倒れそうなぐらいな走りにな り、ボディペイントの方もすっかり無くなってきた。  そんな中、囲っていた男子たちがニヤリとし、とんでもないことを仕掛 けてきた。 「へへっ、葉須香ちゃんすでに限界だなぁ〜」 「じゃあ、ここらでストリーキングデビューしてもらうか」 「ということで、葉須香ちゃん。後は頑張るんだぜ」 「はぁはぁ..う・うそでしょ..」  葉須香が泣きそうな顔で必死に行かないでと嘆願をしたが、それを無視 して男子たちが囲いを外して先の方へ走っていく。  と同時に公道には素っ裸の女子高生が走ってる姿が露となる。  たまたま回りに誰もいなかったから良かったもの、今の葉須香は見事な ストリーキングデビューを果たしてしまった。  まだゴールまで残り1kmもあり、葉須香にとって最悪の状況に置かれ たことになるだろう。 「いやぁぁぁぁっ!いやいやいやぁぁっ〜」  相当恥ずかしかったのか、全身を真っ赤にした葉須香は最後の力を振り 絞って無我夢中で走った。  幸いなことにゴールまで着くまで人の気配が無かったので葉須香の恥ず かしい裸のデビューは誰かに見られることはなかった。  が、おそらくこの罰は最後の方で葉須香1人を走らすことが決まってい たのだろう。  疲れきった葉須香を名歯亀や男子たちがニヤニヤしながら校門のところ で両脇に並び、葉須香を拍手で迎え入れたからだ。  こうして恥ずかしい10kmのマラソンを生まれたままの姿で完走した 葉須香だが、恥ずかしさからか、全力以上の力で走り終えたせいか、校庭 に戻った途端、足や体が言うこときかなくて裸のままその場でうつ伏せて しまった。  バタンッ「はぁはぁ..はぁはぁ..」 「おいおい、葉須香ちゃん。うつ伏せは危険だぜ」 「そうだぜ。大事なとこにばい菌が入っちゃうぞ」  そう言って男子たちが無責任な事を言いながら、何と葉須香を仰向けに させ、さらに手や足を開かせ大の字姿にしてしまった。  本当ならすぐに隠したい葉須香だったが、もはやそんな力も出せず、し ばらくは成すがままに大の字姿で休むことになってしまった。  大の字なので、葉須香のおま●こが少し開いていたがうつ伏せした際に ついた土が汗で泥となって中が見えないように上手く隠していた。  本当はこれ以上の悪戯をしようとした男子たちだったが、葉須香が身体 を震わして悔しがってる姿を見ると、そういう気が起きなかったらしい。  まあ、校舎から覗かれる恐れがあるので、迂闊なことが出来ないも事実 だろう。 <※補足 男子たちが壁の代わりをして校舎から見れないようにしていた>  今回の「寒中マラソンの罰」は葉須香によって相当悔しくて、珍しく涙 を浮かべながら男子たちを睨んでいた。 「ぅぅぅっ..ぅぅっ」(悔しい..くやしいぃぃ)  これだけの屈辱を味わえば、明日は忘れ物をしないように頑張るはずだ が、葉須香は何を勘違いしたのか、この日の晩から基礎体力をあげるため に走りこみをし始めた。 (次はあんな恥ずかしい目に遭ってたまるもんですかっ!)  そんな葉須香の努力が実ったのか、次は最後まで男子たちの囲いから外 れることなく完走出来た。 「やったぁぁ〜。今度はちゃんと走ったわ」 「ううぅ..やるなぁ〜葉須香ちゃん..」 「はぁはぁ..まいったぜ」  いや、罰を繰り返していく内に葉須香の走りが良くなっていくことに男 子たちが悔しさを覚えた。  ならば、こっちも練習だと今度は男子たちが雪辱を晴らすために自主ト レを開始することになり、この寒中マラソンの罰は終わりの無いイタチご っこへ変わってきた。 「ああ!男子たちが早くなってる..悔しい..もっと男子より練習しな くちゃ。もっと早く走らなくちゃ」 「こっちも葉須香ちゃんに負けてたまるかっ、明日から練習を倍に!いや 3倍にするぞ!」  気が付くと4組が一番、マラソン練習をしているクラスになっており、 他のクラスでは4組の本気ぶりに少しあきれている感じだ。  特に一番練習しない隣の3組はすっかりマラソン大会を放棄してるよう で、女子なんかは練習時間はあちこちでサボって時間をつぶしている有様 だった。  3組の相崎と飯倉もマラソンの練習を抜け出して校舎裏近くの山の野原 で、うららかなお菓子タイムを堪能していた。

「今日はあったけーなー」
「む〜〜」
「そういや4組、今日も走りこん
でたなぁ〜」
「どーせ、動機が不純じゃない〜」
「まあ、マラソンさぼって休ん
でる私たちが文句言えることじ
ゃないけどな」
「葉須香ちゃんも大変よね〜。
相手はあの変態傘じじいだもん
ね〜」
「今度は何の罰なんだろー?遠
くから見たら男子たちに囲まれ
てたけど..」
「むー、案外素っ裸で走ってた
りして〜」
「まさかぁ〜、さすがにそれは
やりすぎだろ..」
「そうかな〜」
「まあ、マッパで走ってたとし
ても傍から見りゃ、クソ真面目
に猛練習してるクラスにしか見
えてないけどね〜」
「そっだね〜。葉須香ちゃんは
隠れて見えないし..案外4組
の男子って目的がズレていく
おバカさん集団だよね〜」
「そっだなぁ〜、バカだね」

「むー、おバカさんだと思うよ〜。本当に葉須香ちゃん、マッパで走って る気がするけどね〜」 「何かそんな感じがするかもな。けど、それなら男子たち何がしたいんだ ろうな?」  むしゃむしゃ「むー、まあどっちでもいいんじゃないぃ〜」  パリパリッ「そーいや、その新作中華まん美味しい?」 「むー、まあまあだね。ハバネロまんって言ってたけど大して辛くないね〜」 「こっちもカカオ120%ってことで買ったけど、普通のチョコだな〜」 「むー、そういや週末雪が降るかもって〜」 「そーなんだ。こんなにあったけーのにな〜」 「そういや..この前、古い体育倉庫で異臭騒ぎがあったそうだよぉ〜」 「聞いたきいた。何か腐臭がするって騒いでたな。久遠字先生が運んだロ ッカーが原因みたいだったな。中身を確認しないで鍵なんかつけるから」 「むー、何か腐るものでも入れてたのかなぁ〜。結局、中開けたのかなぁ〜」 「開けずにテープを隙間に張ったって話しだよ。それも久遠字先生が放課 後に1人でやったって噂だよ。開けて片付けた方がいいと思うけどな」 「うわぁ〜、それってただ臭いを何とかしただけじゃん。男子に手伝って もらえばいいのに〜。久遠字先生も人望ないね〜」 「何か全部断ったみたいだよ。大河も手伝うって言ったけど、断られたっ て言ってたよ」 「むー、まあ、あの笛地の罰ロッカーだから変なものが入って見たくない からじゃない?大河や男子たちが勝手にもらっていきそうだし〜」 「そうだね。変なものが入ってるかどうか分からないけど、笛地の携帯が 入ってるみたいだよ。大河が笛地に電話かけたらロッカーから音がしたら しいから」 「携帯忘れていくなんてドジだね〜。葉須香ちゃんの忘れ癖が移ったんじ ゃない〜」 「そうかも知れないね。もしかしたら、ここの連絡先も忘れたんじゃない のかな。異動してから一切、連絡きてないそうだし」 「世界の学校を視察する研修だから、今頃世界中で変な罰してるんじゃな いかな〜。あの変態傘じじいみたいに〜」 「そうだね〜。それにしても今回の罰って結局何だろうな?ただ走ってる しか見えないけどな..」  どうやら葉須香の恥ずかしいストリーキングの罰は、ほとんど知られる ことがないままで終わりそうであった。  言うまでもないが、本番のマラソン大会では葉須香のクラスがスタート からゴールまで最後まで先頭を走ってのぶっちぎり優勝だったそうだ。


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