第1話「白装束はただの白襦袢?」


 バスはあれから5時間ほど走り、とある山のふもとまで着いた。  そこは人の気配が全くなくまさに自然に囲まれた場所であった。  彼女らは案内役の社員と共にバスを降り、お寺のある階段まで歩いてい った。 「さあ、ここの階段を登るとお寺ですよ」 「!?あれっ?」彼女らの1人、永美が階段を登りながら違和感を感じた。 「あのーすいません。階段の先のお寺の門にお寺の名前が書いてないんで すか?」 「・・・ああ、あれですね。実は俗物を完全に絶つために一般に公開しな いためですよ」 「そうなんですか。じゃあ、人がほとんどいないのもそのせいですか?」 「・・・ええ、そうですよ。ここはそんだけ俗物を絶ってるって事ですよ」  永美は少し納得いかない顔で辺りを確認しながら登っていった。  彼女ら12人がやっとお寺の前まで着くと何やらお寺の脇の小さな小屋 に連れていかれた。  その小屋にはなぜか看板があり”俗物絶ちの間”と立派な書で書かれて いた。 「俗物絶ちの間?あのーこれってどういう意味なんですか?」 「まず、みなさんにはあの小屋で研修用の服に着替えてもらいます」 「研修用の服?」 「はい。みなさんが良く知っている白装束に着替えてもらいます」 「白装束?何か本格的ですね」 「部屋の中に籠がありますのでまずそこで着ているものを全て脱いでもら います」 「全てと言うと下着もですか?」 「はい。部屋の中に入ると奥側にみそぎの間がありますのでそこで軽く体 を水で洗ってもらいます」 「へえーすごく本格的ー。なんか巫女さんみたい」 「みそぎが終わりましたらさらに奥の部屋にみなさんの白装束があります のでそれに着替えて出てきて下さい。わかりましたか?」 「はい。わかりました」12人はあまりに本格的な研修にドキドキし小屋 の方へ入っていった。 「わあー、見て!本当にみそぎの間があるよー」 「私、こんなの始めて。すごいお寺ね」  12人は立派なみそぎの間に感心しながら次々と服を脱ぎ籠の中に入れ ていった。 ☆☆☆その頃、男性社員100名の男子専用本堂では...☆☆☆ 「おお、美奈ちゃんって結構胸あるんだー」 「ちょっとショックー、霜佳ちゃんってあんな毛深いんだ」 「ああー何だよ。弥生ちゃん。ぺったんこだぜ。あれはフェイクだったんだ」  何と男性社員100名の男子専用本堂では専用の大型モニタが設置され ており、16分割で彼女らの姿を映し出していた。  そう、あの小屋には16台の高品質の隠しカメラが設置されており彼女 らの着替えのシーンを四方八方から盗撮していたのだ。  だが楽しんでいたのは彼ら100名だけではなかった。  何とこの時だけの為に作られた専用線を伝わって本社の方にもネット送 信されていたのであった。 [広報部]  社の広報部では毎年恒例の裏広報を発行する為、次々と送信されてくる 彼女らの痴態を高画質・高速のカラーレーザープリンタに直結させて彼女 らのあやゆる箇所を大量印刷していた。 「1回目の速報は12人のあそこ比較だ。何としても12人のベストショ ットを集めるんだ!!」 「おい、さつきちゃんのあそこ撮れたぜ」 「こっちは永美と洋子のアップばっちりあったぜ」 「よし、順調だな。あとは誰が残っている?」 「部長、なかなかふみちゃんが股開きませんね」 「ちっ。しかたない。ここは諦めてみそぎの間で狙うしかないな」 「部長、これを見てください。ふみちゃんが開いたのであります」 「よし、これなら拡大出来そうだな。これで昼まで間に合いそうだな」 [人事部]  一方、人事部では新入女子社員の詳細プロフィールを盗撮映像を見なが ら細かく男性社員が記載していた。 「弥生ちゃんのはちょび毛でほとんどないと」 「シワースちゃんてさすがハーフなだけあって胸がでけえな。ありゃFい ってるな」 「かんなちゃんは少し乳首が陥没してると」 「みなさーん、後で広報から彼女らの写真が来ますのでその写真を書類の 所定の場所に胸・あそこ等の記述箇所に沿って貼り付けして下さいね」 「はい。わかってますよ。へへっ」  ガチャ。「部長ー。おはようございます・・・。飯島っす」 「飯島くん。君、事故で入院してたんじゃなかったのか?」 「抜け出して来たっす。このイベントの為なら死ぬ気でこれるっす」 「飯島君。君もなかなか熱心な社員だね。よし早く手伝ってくれ」 「さすが、部長。話しがわかるっす」 [営業部] 「いいか、うちは次のみそぎで勝負だ。うちの顧客たちは毎回このみそぎ の映像を楽しみに待ってるんだ。さらなる顧客拡大にもこのビデオの制作 にかかっているんだ」 「まかして下さいよ。俺はこの日の為にTV局まで研修に行って映像技術 を覚えたんですから」 「よし、第1弾の顧客拡大用ビデオはお前にまかせるぞ。第2段のお得意 様専用ビデオは亀川お前にまかせるぞ」 「まかせて下さい。若い頃やってたAVカメラマンの腕を見せ付けてみせ ますよ」 「後は来年のカレンダーだな。今年は12人いるからいいのが作れそうだ」  こうして各部署がいろいろやっている中、12人の女子はいよいよみそ ぎの間に入っていった。 「ねえ?この水ただの水じゃないみたい?」 「なんか少し粘ってる感じだけど何かの水以外のものを入れてるのかしら?」 「睦代ー。けっこう冷たくて気持ち良いよ」 「本当ね。やっぱみそぎの為の専用の水なのね」  12人は何も疑いをせず、そのみそぎの水を次々に体にかけて体を洗っ ていた。  当然、この様子も全て盗撮されており、本堂や本社の男子社員へ全ての 映像が流されていたのであった。  ようやく、みそぎも終わり奥の部屋に行こうとした時、2・3人の女子 に変な症状が出てきた。 「ねえ?何か暑くない?なんか体全体があつくてたまらないのよ」 「冷たい水を浴びたからじゃない?私も少し火照っているからそのせいよ」 「ちょっと洋子!何乳首ビンビンになってるの?何か危ないわね」 「ち・違う。急に冷たい水を浴びたから調子が・・・」  12人の体は各差はあるとはいえ、みんな肌の色が桜色に紅潮していた。  そう実はこのみそぎの水は即効性の強力媚薬であり、この社がわざわざ 中国雲南省から大金をはらって取り寄せたものであった。  本堂や本社の男子社員はそんな彼女らの変化を楽しみながら見ていた。 「おい、見ろよ。羽由ちゃんのあそこ、思い切りひくついてるぜ」 「木佐乃ちゃんの乳首すげーな。3センチぐれー出てねーか」  男性たちがいろいろ影で言ってる中、まだそれ程効いてない彼女ら12 人は白装束に着替える為、奥の小部屋に向かった。  奥の小部屋に入り自分たちの白装束を見た時、全員目を疑った。 「なに。これ?これが白装束なの?」 「うそー下着がないよー。私たちこれ一枚だけを着ろって言うの?」 「これ私見たことある。これ、着物の襦袢よ」 「襦袢?何それ?」 「着物用の下着よ。本来これを下着にして白装束を上に着るのよ」 「出し忘れって事?」 「わからないわ。とりあえず戻らない?こんなの着て出れないわよ」 「それなら、私が籠をとってくるわ。何か隣の羽由ちゃん、調子悪そうだし」 「羽由ちゃん?どうしたの、うずくまって?大丈夫?」 「大丈夫、ちょっとお腹痛いだけ。すぐ収まるから心配しないで」  腹痛の割には顔を真っ赤にして羽由は答えたが、実は媚薬がきいてきて 愛液が止まらないのをばれない様にしゃがんでいたのだ。 (どうしたんだろ?私?なんでこんなに濡れるの?どーしよ・・・)  しゃがみこんでる羽由をみんな心配してる中、籠を取りに言ったさつき が戻ってきた。 「だめよ。いつのまにか籠が回収されてるわ。服はどこにもなかったわ」 「・・・・とりあえず。この白襦袢を着て出るしかないのね」 「そうね。早くこれを着て文句を言いに行くわよ」  12人は次々と白装束(白襦袢)を着て小屋から出てきた。  そこには先ほどの案内してた社員はおらず、代わりに僧らしき人が立っ ていた。 「やっと、着替え終わったか。わしはこの寺の和尚の丸竹じゃ」 「和尚?あなたが和尚さんですか?」 「そうじゃ、わしがこれから1週間お前たちの修行を行うので覚悟するん じゃな」 「あのー和尚さん。その前にこの服は何々です」 「服?その白装束に何か問題でも?」 「これは白装束じゃなくて白襦袢じゃありません?着物用の下着ですよ。 これは」 「わが寺ではそれが白装束なのじゃ。世間で何と言われようがそれが白装 束じゃ」 「それなら下着を下さい。これじゃ恥ずかしくてたまりません!」 「渇ー!!ばかもん。わが寺に何の修行に来たんだ?お前らは?」 「修行じゃないです。研修です」 「どちらでもこの寺をくぐった以上、同じ事じゃ。今回はお前たちの精神 を鍛える為の修行であり、煩悩を捨てざるものでもあるのじゃ」 「そんな、むちゃくちゃです」 「渇!!最近のおなごはたるんでおる!!そこのおなご、お主は布1枚だ と欲情するのか?」  和尚は媚薬が完全にきいていた羽由を一喝した。羽由の足は既にガクガ クと小刻みに震えており、その足元には愛液が垂れて出来た小さな水溜り があった。 「欲情じゃ・・・な・い・・です。体が・・あそこが・・変なんです」  息が荒れている羽由を見て12人の中で1番の才女と言われる木佐乃が 何かに気づいた。 「みんな。さっきのみそぎの水が原因だわ。あの水に何か含まれていたん だわ」 「うそ?」 「和尚、どういう事です。今の本当なんですか?」 「・・・左様。そのおなごの言う通り、先ほどの水には煩悩を高める液が 入っておる。が、それはお主らの煩悩を絶つための修行の1つじゃ」 「そんなの馬鹿げてるわ。帰らせてよ」 「帰るのは自由じゃ。じゃがその服でその有り様で帰ればどうなるかわか るじゃろ?」 「脅し?卑怯じゃない!和尚!!」 「わしはただお主らの煩悩を絶つための試練を与えてるだけじゃ。卑怯呼 ばわりされる覚えはないぞ」 「・・・・どうする?永美?」  12人のリーダー的存在の永美にみんなの視線が集中した。 「・・・とりあえず、今は研修をするしかないわ。この状態じゃ何も出来 ないわ」 「わかった。永美」 「今は我慢するよ・・・」  12人がしかたなく諦めた時、和尚が12人に向かってこう言ってきた。 「では、早速座禅をやってもらうぞ。今のお主らは煩悩だらけじゃ。わが 寺の座禅にて煩悩をはらうがいい」 「・・・・わかりました。座禅ですね」 「ねえ、誰が羽由を運ぶのに肩貸して」 「ごめんなさい。私もう歩くのも...」 「気にしなくていいわよ。とりあえず座禅なら少しは落ち着くはずよ」  12人は和尚の後につき寺の座禅専用の大広間についた。 「じゃあ、さっそく座禅といくかのー。それぞれ指定の所にあぐらをかく のじゃ!」  12人は大広間に入った途端、おかしなものに気づいたのであった。  座禅間には既に直線上に12つの角丸い薄い敷物が引いてあり、そこで 座禅を組むのは間違いなかった。  だが12つの角丸い敷物には穴が開けられ、そこから丸い棒みたいなも のが出ていたのであった。  そう中型ソーセージぐらいの棒が12本、床から出ているのであった。  12人は互いに顔を真っ赤にし、和尚を問い詰めた。 「あの棒はどういう事なんです?和尚!!」 「ああ、あれか。あれはお主らの煩悩をなくす為の精神入魂棒じゃ」  あまりにもとんでもない事を言ってくる和尚に彼女は唖然とした。 「さあ、早く座るのじゃ!ほら、何ぼっと立っておるのじゃ!」 「・・・・・」「・・・・・」  彼女らは黙りながらそれぞれ敷物の方へ進んでいった。  そう、今までの羞恥はまだ序の口でこれからが本当の羞恥が始まろうと していたのであった。


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