第71話「ストリップ劇場にて」


 あ〜ん、秘境温泉で恥ずかしいことをしてしまった情けない沙智菜です。  まさか、あんな恥ずかしいことをしちゃったなんて..いくら旅の恥は かき捨てって言っても捨てすぎだよぉ〜。  ともかく、今日はこれ以上の恥ずかしい行為は禁止よっ、禁止!  早く下山して、予約した宿にいかなくちゃ。 「はぁはぁ〜。少し疲れたから休も〜」  下山途中、リュックを下ろして少し休憩。500mlのペットボトルを一気 に飲んだせいか強い尿意が襲ってきました。 (どーしよー、ふもとまで持ちそうにないし..)  ちょっとはしたないけど、草むらに隠れて用を足すしかないよね。  どんどん尿意もはげしくなったので、辺りから見られないように中腰に なってから急いでパンツとズボンを一気に下ろしました。  結構おしっこが溜まっていたのか、最初の「ぴゅっ」と小さな噴出しの 後にすごい勢いの尿が出始めました。  じょぼじょぼじょぼぼぼっ〜 (いやぁぁ〜、音が大きいよぉぉぉ〜)  まあ、人の気配はないから大丈夫だと思ってたら、とんでもない侵入者 がやってきたんです。  草むらの向こう側でガサガサと変な音が..何だろうと少し身を乗り出 してみたら大びっくりぃ〜!  く、く、くく、別に笑ってるわけじゃないっ..熊がぁぁ、私のリック を漁ってたんです〜。  周兄さん、こういう場合はどうすれば。 *****沙智菜の勝手なイメージ*****************   「ここは定番の死んだフリだ。いや、リアルさを出さないとダメだ」   「裸で死んだフリなんてどうだ。熊もきっと驚くぞ」   「沙智菜の裸なら熊にも通用するぞ!早く服を脱ぐんだ」 ********************************  いや..それはさすがに無理でしょ!何か裸だと余計に危険な目に遭っ てしまうよぉぉ〜。  って、言うか!こんなことをしてる場合じゃないわ。気づかれる前に逃 げなくちゃ!  そう、まだ熊がリックを漁るのに夢中になってたので急いでその場から 去りました。  恥ずかしい話ですが、ズボンとパンツは中途半端にあげたままで山のふ もと手前の小川まで必死で逃げましたよぉぉ〜。恥部とか丸出しで、おし っこも途中だったけど命には替えられませんからぁぁぁ〜! 「はぁはぁ..ここまで逃げれば..平気よね?..けど、ズボンとパン ツがぁぁ〜」 (あ〜ん、私のおしっこがいっぱいかかってるよぉぉ〜) 「シミになる前に洗わないと..」  山のふもとは目の前で、熊の気配は完全に無くなっていたので、小川で 急いでズボンとパンツは洗うことにしました。  乾くまではこっそり隠す様に干して、後で取りに来るしかないよね。  もちろん、下半身すっぽんぽんで下山出来ないので何とか誤魔化さなく ちゃ..  とりあえず、上着が股下20センチ位の丈がある大きめの物だったため 穿いてない風のファッションに見えなくもあり、あとは首に巻いてたスト ールを腰に巻いてみました。 (旅館についたら、すぐに下着を買えば大丈夫よね)  ほんの少しの間だけノーパンとなっちゃうけど、山のふもとは目の前だ し、泊まる宿もその近くにあるから、問題ないわ。  けれど、下山してからハプニング発生。財布が無いことに今さら気づき ましたぁ〜。  きっと、財布は逃げるときに慌てて穿いた際、ズボンから落としたかも 知れない。(洗ってたときには無かったから..) 「・・・取りに戻るにも、熊がまだ居るかも知れないし..私の2か月分のお 小遣いがぁぁぁ〜」  こんな離れた土地で無一文だなんて、どうしよぉぉぉ〜。  思いきり困って悩んで辺りをウロウロしてると、”ホール係求む。短期 間でも可”の看板が目についた。 「・・・そっか、バイトするってもありよね..いや、もう夕方だし、これ からするバイトなんて無理よね..やっぱ、交番探して事情を説明しよう」  交番で事情を説明すれば、家族や知り合いを呼ぶことも出来るし、野宿 をするよりはいいよね。  とりあえず誰かに交番の場所を聞かなくちゃ。  早速、この辺を通ってる人に聞こうと思ったとき、さっきの看板がある 店からおばさんが出てきました。 「あの〜、すいません。交番を探しているんですが、どこにありますか?」 「交番?何か変な目に遭ったんかい?」 「じ・実は、〜〜〜〜〜〜」  秘境温泉に行った事や熊が出てきて財布を落とした事を説明すると、お ばさんが私の背中をバンと叩いて、元気つけてくれた。 「まあ、そういう不運なときもあるわさ。ここで逢ったも何かの縁、家( うち)が力になってあげんわ」 「ありがとうございます」 「そうだ。あんたさえ良けりゃ、家(うち)の店で働いてみないかい。丁度 今、人手が足りなくて困っていたところなんよ」 「えっ?今からホール係をですか?」  何と、おばさんがこれから早速、働いてみないかと言ってきました。 「どうだい。あんたも私も助かるんだから、やってみないかい?」 「・・・で、でもホール係だなんて、私にはとても無理です..やっぱ、交 番まで行ってみます」 「そうかい?けどあんた、今、交番には誰もいないさね」 「えっ?いないって..」 「あんたが見かけた熊、他でも目撃されててね。この辺りは警報が出てて 警戒中なの」「警報中?」  どうやら、市町村情報網での連絡でさっきの熊(違う熊かも知れないけ ど)が他でも目撃されていて、それにより警戒警報が出て現在駐在さんは 猟友会と会合し対処に向かって他に手が離せない状態みたいなんです。  それに今、警報中だから本当なら自宅待機や店舗の営業控えしなくちゃ いけないんだけど、いろいろな大人の事情で営業してるみたい。 (ど・どーしよう..駐在さんが帰ってくるまで交番で待っていようかな) 「あんた、交番なんかで待つより、ここで働いた方がいいって。何なら、 宿も用意するさね。もう日も暮れるんだし、この辺は真っ暗になるから危 険だわさ」 「・・・宿も..で・でも私なんかにホール係なんか出来るんですか..」 「大丈夫さね。誰でも出来る仕事なんだから安心していいわ」 「そ・それじゃ、お言葉に甘えて..お願いしてもいいですか..」 「より、決まりだね。じゃあ、ホール係の服持ってくるさね。変な服じゃ ないから安心していいわ」「はい、お願いします」 (助かったぁ〜。どんな服でも今よりずっとマシよぉ〜)  でも、よく考えたら夕方から人手が足りないって..完全に夜のお店の 手伝いってことよね?  まあ、おばさんは良い人そうだし、相手の方から雇ってくれることなん て無いし、今晩の宿を提供してくれるんなら、夜のお店でも頑張るしかな いよね。  とりあえず、バイトの説明を受けるために店の奥に通されたんだけど、 女の人の格好を見て、ここがストリップ劇場だと言うことに気づきました。 「こ、こ、ここってストリップ劇場なんですかぁぁ〜」 「ああ、そうさ。でも、あんたにストリップさせることはないから安心し な。あんたはただのホールの手伝いと窓口に座ってチケット販売するだけ だから」 「そ・そうですよね」  うわぁぁ〜、焦っちゃうよ〜。まさか、こんなエッチな店のバイトをす ることになるなんて..  けど、おばさんの説明をよく聞くと、私はただの客寄せのために窓口に 座るだけでいいそうです。  それぐらいなら、エッチな目に遭うこともないので、普通のバイトとし てすることにしました。  そして、おばさんが換えの服を用意してくれたので、これで動きがぎこ ちないミニ風の服から解放されることに。  けれど、おばさんにノーパンのことや、漏らしたことを知られるのは恥 ずかしいので、パンツが無いことは言えませんでした。  とりあえず借りた服を着たんだけど、おばさんったら可愛い服をと太股 が露に見える丈の短いフワフワしたワンピースを持ってきたんです。  これじゃ、さっきの上着より捲くれあがる危機が上がった感じだよぉ〜。  ドキドキッ(ノーパンでのアルバイトは魅力的だけど、やっぱパンツを 回収してこないと!)  このあと、少し休憩を貰ったので、干してあるズボンとパンツを急いで 取りに行ったけど、そこには何故か何も無かったんです。  良く見渡してみると放し飼いと見られる犬がズボンだったらしきボロボ ロの布を咥えていましたぁぁ〜。  パンツにいたっては何処にも見当たらず自前の物はブラと上着のみにな ってしまったよぉぉぉ〜。 (ううぅ、結局ノーパンでする運命なのね..)  このあとは諦めてお店に戻って、窓口でのチケット販売をしました。  案の定、ストリップ劇場にくる温泉客は、私も出演者なのかと思って、 チケットを買い求めてきます。  みんなお酒が入って酔っ払ってるので、客の中には「お嬢ちゃんも出演 者」と聞いてくる人もいます。 「さあ?それはどうでしょう」とおばさんに言われた受け答えの台詞を出 してチケットを買わせてしまう私。  ちょっと罪悪感があるけど..普通に考えれば、女子高生の私が脱ぐわ けないでしょ。  こうして、2時間ほど窓口にいたら、何かチケットの方はあっという間 に売れて、窓口の仕事が終わったので、ホールの手伝い(主に床掃除)に 移りました。  もちろん、ホールの手伝いだから..(ごくり)。えっと、こっほん。 まあ、せっかくなのでストリップを見学することにしました。  ステージでは、一曲目では衣装のままで踊り、二曲目で下着、そして三 曲目以降でヌードというのが基本的な構成で、振り付けもキッチリとして おり、なるほどエンターテイメントと思わせるものでした。  女性によっては、さらにポラ撮影タイムや大人のおもちゃを使ってオナ ニーショーをする人もいました。 「うわ、うわ、うわぁぁ〜」(すごい、すごいよぉぉ〜)  もう、初めて見るストリップに驚きを隠せないっ!  気づくと、客と一緒に夢中になってしまいました。女子高生がこんなも のを見てるのは不味いけど、少しぐらいはいいよね? (でも..何かこういうイケナイことをしてると必ずといってエッチな目 に遭うんだよね..ま・まさかね〜)  けれど、ホールの手伝いが終わったのでストリップを見るのもここまで。  ちょっと惜しい気もするけど、興奮して全身汗だらけだし、えっと.. あそこも結構濡れてしまいました。  ホールの出口近くにいるおばさんに手伝いが終わったことを伝えると、 もうこれで私の仕事は全部終わったので、後はこの先の従業員専用のお風 呂で身体を洗ってから、お店が終わるまで休憩していいよと言ってきた。 (何かあっと言う間に終わっちゃった感じ..今日は散々、エッチな目に 遭ったから、何も起きることはないはず。うんうん、ないと思う) 「えっと〜。従業員専用のお風呂はこの先よね?」と私が廊下を歩いてる とドアの前で腰を押さえて苦しんでるお婆さんがいました。 (何でこんなところにお婆さんが?おばさんの母親なのかな..) 「あ・あの〜。大丈夫ですか?」「ん?あんた、新入りかい?」 「は・はい..」「そっか〜。こりゃ天の恵みだわい。わりぃがあたしの 代わりにシャワー浴びてくれねーかい」「え?シャワーって?」 (あっ!ここ、従業員専用のお風呂だわ..)  よく分からないけど、先に入れってことなのかな?何か私の背中を必死 に押してるようだし、早くしろってこと?それにしても代わりって言うの が気になるんだけど.. 「ん〜、とりあえず私が先に入っていいんですよね?」「ああ、早く早く」 「わ・わかりました」  何か事情が掴めないまま、目の前のシャワー室へ入ることにしました。  私としても、濡れてしまった股間をそのままにするのも不味いし、早く 出てお婆さんと代わらなくちゃ..(あっ、この代わるってこと?う〜ん)  それにしても、やっぱ従業員専用のせいなのか。狭く細長い通路を歩か さられ、辿り着いたシャワールームがすっごく狭いことに驚いた。 「うわぁ〜。狭い上に、ここまで観客の声が聞こえてくるよぉ〜。それに 片方の壁がすりガラスって何か悪趣味だよぉぉ〜」  そう、実は脱衣所もシャワールームも左側だけ全面すりガラスなんです。  それに上を向けないほど照明が眩しいし、一体どういう趣向でこんな設 計したのか聞きたいよぉ〜。  まあ、早く脱いでシャワーを浴びちゃおうと、脱衣所で服を脱いでいく んだけど、本当にここって壁薄いのか観客の声が響きすぎだよぉぉ〜。 (あんっ、まるで私がみんなの前で脱いでる風で感じちゃうじゃないっ!)  ともかく、変な気にならない内にシャワー室へ入ってシャワーを浴びた のだけれど、観客の声が更にボリュームアップ! 「んもぉぉ〜。いったいホールの方で何が起こってるのよぉぉ〜。思いき り「こっちを向け」とか聞こえるじゃないっ!」  って言うか..えっと、このシャワールームをどこかで見たような..  そもそも、すりガラスが明るすぎるって変だよぉぉ〜。これって向こう 側から照明みたいのを当ててるってことよね。 (ま・まさか..)  私はそーと上の方に視線を向けた。照明が眩しいのを我慢して見たら、 えっと..その..天井が..無かったです。 (何で!シャワールームに天井がないのよぉぉぉ〜。って言うか、ここ ってホールじゃないのぉぉぉ〜!!) 「う・うそぉぉ〜。私..もしかしてショーに出てるの?」  あ〜ん、周兄さん。何だか知らないうちにショーに出ちゃいましたぁ〜!  どうして私って毎回、こんな恥ずかしいことになっちゃうんでしょうか ぁぁ〜。教えてくださぁぁぃぃ。


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