第54話「コスプレ」


周兄さん、大変な修羅場がやってきそうですっ! 体育の授業が終わった後の教室で、私の夏服がなくなってしまい、 その夏服を愛賀さんの親友である矢井中 知緒さんが作ってくれる 事で一段落つきそうだったのに変な展開となりました。 そう、内川さんが矢井中さんが作る行為を校則違反だといい、その上 彼女の悪口を言うと、それに怒った矢井中さんが内川さんの夏服を バラバラにしてしまった。 まあ夏服だけなら、まだ良かったのだが下着までも剥いでしまった らしく、あの内川さんを真っ裸にしたのだ。 唯一の救いは丁度、女子が着替え中と言うことがあって男子が一切、 いないことであろう。 もし男子が居る中だったら、相当とんでもないことになっただろう。 だけど、内川さんにとっては屈辱的なことであり、取り巻きにガード されながら、涙目ながらもすごい目つきで睨んできた。 「よくもぉ..よくもぉぉーーこの私をこんな目に遭わせたわね〜」 「そうよ、そうよ!内川さまに何てことするのよ」「土下座しなさい」 「・・・・・・・・・・・」「何とか言いなさいよ。この腐女子っ!」 「・・・・・・」「何かむかつく!内川さま、こいつどうしますか?」 「目には目よっ!こいつをトイレに連れていって剥いてきなさいっ!」 「なるほど、で、そのまま裸で放置ってことですね」「さすが内川さま」 気がつくと内川さんたちの取り巻きたちが矢井中さんを囲っている。 もちろん、私たちも傍観するわけにもいかず、止めようとしたのだが.. 「待って、新宮さん。それに蘭も余計なことはしないで頂戴」 何と愛賀さんが私たちを制止させる行動に出たのだ。 「仁美!どういうつもりだ!」「愛賀さんっ!」 「これはちおんと内川さんの問題よ。私たちが手を出すのはおかしい ですよね?内川さん」 「ふふっ..ずい分と物分りがいいわね、愛賀さん。そうよっ、手出し したら、あんたら全員同じ目にあわせてやるわっ!」 「何だとぉぉ〜仁美、手をどかしな」「愛賀さん、お願い」 「2人とも..もし言うことを聞かないなら、私が貴女たちを飛ばすわ」 何故か、矢井中さんのことを助けようとしない愛賀さん。 あんなに仲がいい2人なのに、どうして内川さんの言いなりになるの? そんな状況の中、内川さんはさっさと体操着に着替えて、両脇を押さえら れた矢井中さんの頬を思い切りビンタしてきた。 バチィィーーン「腐女子の分際でこの私に恥をかかせた罪を思い知らせて やるわぁぁー」「・・・・・・父親にもぶたれたことないのに」 「そう?それは悪かったわね。あとでもっと殴ってあげるわっ!」 「・・・・・・・・」 「こいつをトイレに連れていくわよっ!」「はいっ、内川さま」 内川さんの言葉で矢井中さんが引きずられるように連れて行かれる。 そんな矢井中さんに向けて、ようやく愛賀さんが言葉をかけてきた。 「ちおん、何か言いたいことある〜」 「・・・見せて貰うとするわ、奴らのトイレのいじめとやらを」 「ふふっ、余裕を言えるのは今のうちね」「その通りですわ。内川さま」 「ちおん、あと最後に伝えたいことはない〜」 「ヒトミィー、あの服を家庭科室へ届けてくれ..あれはいいものだ..」 「OKっ♪じゃあ、頑張ってねぇぇーー」 これから矢井中さんがひどい目に遭わされるはずなのに、明るく手を振って 見送っている愛賀さん。 内川さんたちが教室から出て行った後で私と蘭は愛賀さんに問いつめはじめた。 「どういう神経してるんだよ。仁美」「そうよ、愛賀さん」 「それは私やちおんの台詞かも〜。ちおんがせっかく言った名言を聞き流すなんて」 「名言?何だよそれっ」「そんなの言ってないわよ」 「しくしくぅ〜悲しいわね〜。まあ何か思い違いしてるから言うけど、ちおん って私でも勝てないわよ」「えっ..勝てないって」「それってどういうこと?」 「密室のトイレで囲んだぐらいじゃ全然駄目ってことぉ〜。朝の満員電車を はるかに超えるコミケで何十冊も買いまくる閃光のちおんに勝てるわけないわ」 「何だそりゃ..」「本買うのとは何か違うと思うけど..」 私たちが不安になる中、矢井中さんは内川さんたちに女子トイレに連れられて、 服を脱がされようとしていたようであった。 「矢井中〜、あんたは私よりも、もっと恥をかかせてやるわ」 「きゃぁ可哀想っ。トイレからずっと出れないかもね〜」 「大勢でくるだけの違いが、戦力の決定的差ではないという事をおしえましょう」 「減らず口をぉぉーー!さあ、こいつを剥いちゃいなさいっ」 「はいっ、内川さま」 内川さんの命令で一斉に矢井中さんに飛び掛る取り巻きたち。 そして、その20分後に教室に何故か平然とした矢井中さんが戻ってきたのだ。 「あれっ?矢井中?」「大丈夫だったの?」 「・・・・雑魚とは違うのだよ雑魚とは!」ぽぽいっ! そういって手につかんでいた何枚かのショーツやブラを近くのゴミ箱に放り投 げた矢井中さん。 そんなショーツやブラを見て、愛賀さんが少し呆れた顔をして言ってきた。 「ちおんったら、またやり過ぎちゃって..少しは加減しなさい」 「認めたくないものね..自分自身の若さゆえのすごさというものを」 時たま、矢井中さんの話す台詞に違和感を感じるんだけど、もしかしてそれが 愛賀さんのいう名言ってものなのかな.. どちらにしろ、内川さんたちの仕返しを返り討ちにしてしまったらしく、女子 トイレでは泣いて悔しんでいる全裸の内川さんを同じく裸にされた取り巻き たちが必死になだめていたそうであった。 「内川さま..気をしっかり持って」 「えぐっ..えぐっ、1度ならず2度までもこんな屈辱をされるなんて」 「そうですよ。内川さま。この屈辱を返してやりましょう!」 「そうよそうよ。内川さまの服をむしった上に剃毛までするとは許さない ですよね?」 ボカボカボカッ。「な・何するんですかぁ〜内川さまぁ」 「こ・これ以上、言わなくていいっ..は・早く服を持ってきなさいっ」 しばらく裸にされたせいでトイレから出れないう内川さんたち。 この内に私たちは家庭科室へ向かい、夏服を作ることにした。 家庭科室の方はすでに美紗里が鍵を借りて開けてくれたらしく、ミシンなども 準備もほとんどしてくれた様であった。 「遅かったわね..何かトラブルでもあったの?」 「まあ、いろいろと。けど、今のところは一応、解決した感じかも」 「そう..ところで本当に3時間ぐらいで服を作れるの?矢井中さん」 「問題ない..」 「けど、大丈夫なのか?制服ってちゃんとしないとまずいんじゃないか」 「蘭ちゃん..そういうことは言っちゃだめだよ」 「心配無用だ..大量生産の方が縫い目が甘い..私が縫ったものなら、あんな 簡単にほどけない」 「そうよ〜、ちおんの服は最高よ♪じゃあ、そろそろ夏服作りにいきますかぁ〜 あとあとぉ〜ちょっとでいいから別のものに着替えてくれると嬉しいかもぉ♪」 と言いながら、愛賀さんがいつ持ってきたか考えたくなるような大箱を引っ張って くる。 「それって..まさかコスプレ?」「そうよ♪」 「・・・・さっちん、用事が思い出したから後はまかせるよ」「わ・私も..用事が」 「ちょっと、蘭、悠子〜。それはずるいよぉぉぉーーー」 コスプレの危険を感じて、逃げようとする非情な蘭と悠子。 「私も図書室に本を..」「美紗里までぇぇーーー」 私は服を作ってもらう以上、逃げることが出来ないのにぃぃーー。 このままじゃ服が出来るまで愛賀さんにコスプレ三昧されてしまいそうだよぉぉぉ〜。 「あ〜ん、せめて中を見てから出て行って〜」 いつの間にか、大箱と一緒に出口の方へ移動している愛賀さんにみんなが驚く。 愛賀さんにとっては、こんないいチャンスを簡単に見逃したくないみたいだ。 「仁美〜、あたしはそういう趣味はないんだよ」「うんうん」 「そうよ。校内でこんな服に着替えるわけにはいかないわ」 「そんなぁぁ〜。新宮さんはやる気満々なのにぃぃーー」 いや..そんな事、一言も言ってないんだけど.. お互いに一歩も引かない状況の中、ミシンの動く音だけが止まることなく続いてる。 あれ?そういえば寸法とか測らなくてもいいのかな..勝手に作り始めてるけど.. そんな私の視線を感じたのか、矢井中さんが服を作りながら言ってきた。 「寸法は見ればわかる..バスト**、ウエスト**、ヒップ**というところね」 「う・うん..」 1センチ単位で私の寸法を当ててくる矢井中さん。 まるで透視されているかのような精確さに驚いてしまう。 一方、愛賀さんとの攻防は美紗里たちが根負けしたらしく、蘭ちゃんが大箱の中を いろいろ漁りはじめてきた感じであった。 「しかし〜よくまあ、いろんな服を作ってるなぁ..」「うんうん」 「...本当にいっぱいあるわね」 「でしょぉ〜♪だから、好きなの選んで着てみてよぉ〜」 「着てみてよと言われてもなぁ..あたしはこういうの嫌いだし」「うんうん」 「私もそういうのに着るつもりはないわ」 「そんなぁぁぁぁ〜」 「!これだったら、面白そうだなっ」「うんうん..えっ!」 「蘭!それは..」 蘭が選んだものにみんなが困惑しており、愛賀さんもあまりいい顔をしていなかった。 「蘭さん..それはちおんがふざけて作ったものだから他のにして欲しいかなぁ..」 「いや、これがいいなっ!さっちん。これ付けてみないか」 「ブッ(噴出す音)!ら・ら・ら・蘭ちゃん、それはちょっとぉぉ」 「いいじゃないかっ、結構同じのがいっぱいあるし、面白そうだし」 蘭が大箱から選んだのはコスプレと言うには難しいただの葉っぱであった。 しかし..あの葉っぱ、紐がついてないんだけど、どうやって付ける気なの? 「上のほうはヌーブラと同じ仕組みになっている。カップサイズに関係なく付けら れるから問題ない..下は吸盤になっているから当てるだけでいい..」 ミシンをたえず動かしている矢井中さんが葉っぱの説明をしてくれた。 いや、説明をされてもそんなものを付けたくはないんだけど.. だが、すでに蘭が本気モードになって悠子の服を脱がし始めている。 愛賀さんの方もコスプレを勧めてた以上、断ることも出来ずに服を脱いでいた。 けど、こういう時って美紗里が止めるはずなんだけど、何か錯乱したかのように壁 をどんどん叩いている。(あまりの状況に混乱してるのかな..) とりあえず、止める人がいない限りは私も葉っぱを付けるしかなく、諦めて服を 脱いで葉っぱのコスプレに挑戦してみることにした。 30分後、家庭科室には外に出られない恥ずかしい葉っぱ隊が出来ており、蘭が腹を かかえながら大笑いをしている。(自分も葉っぱなのにぃぃ〜) 悠子は顔を真っ赤にしてモジモジしており、美紗里は葉っぱに着替えた後も錯乱度が 増した感じで、壁が床ををどんどん叩いていた。 愛賀さんはさすがコスプレ慣れしているのか、葉っぱでも凛々しい感じになっていて、 いやらしさを感じないのが凄いかも.. 私は感じないようにしながら、必死に耐えるのに精一杯でいつもの妄想モードに入ら ないように注意していた。 「あははははっ..腹がよじれるぅぅ〜。コスプレも悪くないかもな..あはは」 「蘭さん..コスプレはお笑いじゃないんですか..」 「%&$#〜〜!!」どんどんどんっ..ばんばんばんっ..(壁や床を叩く音) 「あ・あのぉ..さっちん..下、はみ出てるんだけど..」 「えっ?」「あはははっ、本当だ。割れ目丸見えだぞ」「$%&!!」バンバン 「そういう蘭さんもいろんなとこが出てるんだけど..」 何か少しエッチな雰囲気になっていく中、突如ミシンの音が止まり、矢井中さんが いきなり窓の方へ走っていこうとしていた。 「あっ!まずいわ!ちおんっ!そっちは窓よ!」 愛賀さんが矢井中さんの姿を見て走り出し、今でもカーテンと窓を開けて飛び出そう とする矢井中さんを必死で止めていた。 「この子、女性同士のエッチなとこを見ると暴走しちゃうのよぉぉ〜」 結局、みんなで窓から飛び出ようとする矢井中さんを押さえることになり、冷静に なった後は、あまり刺激をしないという事で、みんな元の服に着替えなおすこと にしたのだ。 その後は矢井中さんが時間どおりに服を作り終え、試着の方も以前の制服よりも 着易くなってることに驚きました。 もしかすると、矢井中さんの作った制服の方がずっといいかも知れません。周兄さん。 *****沙智菜の勝手なイメージ*****************   「今回、コスプレ好きの女子と知り合いになれたのはいいかも知れないぞ」   「しかし、あの内川さんを素っ裸にしてしまうのは度胸ある子だね」   「根深い仕返しなどされるんじゃないのか..」 ******************************** 私もそう思ってました。現に翌日に、矢井中さんの机を内川さんたちが囲って言葉 で攻めてきたけど、すぐに収まってしまった感じです? 「矢井中さーん、すっぽんぽんにしたのはやりすぎよね?」 「そうそう、何であんなことをしたか教えてくれないかしら、紅い縫製さん。くくっ」 「坊やだからよ・・・」内川さんの股間を見ながら一言だけ言った矢井中さん。 何かその言葉で内川さんが顔を真っ赤にして逃げていってしまいました.. <おまけ♪> 「内川さまぁ〜。あの矢井中の弱点を蘭から上手く聞き出しましたっ」 「でかしたわ。で、その弱点は何なの」 「これですっ!これを裸で付けていけば矢井中は動揺するらしいですっ」 「それって葉っぱよね..」「はい、葉っぱです」 「内川さまが、葉っぱを付ければ矢井中を倒せますよっ」 ボカボカボカッ。「あ・相手が違いますよぉぉ〜内川さまぁ」 「こんなの付けて校内歩けるわけないでしょっ!」


第55話へ