最終話前編「琉璃乃の全てにかけて」


 仁の三羞牙に囚われていた珠紅と稚奈。  それも、その場所は学校の側にある女子寮の一部屋だった。  仁の三羞牙が何食わぬ顔で2人が囚われている部屋に入っていく。  部屋の中には2人が逃げられないように全裸にされていたのであった。 「これ、今日の晩御飯よ。今日も仲良く食べてくださいね〜。お2人さん♪」 「いつまで、こんな馬鹿げたことを続けるつもりや!あずなはお前の協力 者だったはずや。それを何故..」 「そうですよ。貴女がやってることは理解できませんです。はいっ」 「強いて言わせてもらうなら..罰かしら?あずなもこうなることを望ん でいたわ♪」 「馬鹿げてるで、自分。いつまでも続けられると思ったら、大間違いやで。 古野っ!」 「仁の三羞牙、お漏らしの古野。貴女の名前がバレルのも時間の問題です。 はいっ」 「あなたたちを早く捕らえて正解だったわ..簡単に裏切られたら困るし ね。そう、まさか私の部屋に貴女たちが捕らえられてるなんて知ったら驚 きよね?」 「まあな。逆に言えばあたいらが囚われているんや。この部屋に琉璃乃が 来れば一発でおしまいやな」「そうですよ。琉璃乃さんが必ず気づくはず です。はいっ」 「そうかも..知れないわね。どの道、やる事はやったから、明後日貴女 たちを解放するわ。服もその時に一緒に返してあげるわ♪」 「!!」「どういうことですの?」 「もし、彼女が明後日まで気づかなければ私が倒します。仁の三羞牙として」  ついに琉璃乃との対決を口にした仁の三羞牙。  そして、翌日には今まで休んでいたみちよと今日子が登校し、琉璃乃た ちを放課後、屋上に呼びつけたのであった。  屋上には琉璃乃、ゆっこ、猪崎、みちよ、今日子の5人が居り、みちよ と今日子の口からある言葉が投げられてきた。 「私が仁の三羞牙のみちよよ。さあ、琉璃乃!私を倒しなさいっ!」 「いいえ、私こそが仁の三羞牙の今日子。そう、琉璃乃!あなたが選択で きるのは1回だけ。外れた場合は背後から襲わせてもらうわ」  琉璃乃、ゆっこ、猪崎の3人は前にみちよ、後ろに今日子の2人に挟ま れる状況となった。  はたして、仁の三羞牙は誰なのであろうか?  琉璃乃にはお漏らしの古野がどちらであるか知っているのだろうか.. 「琉璃乃さん、どうするの?」「琉璃乃ちゃんっ」  みちよと今日子に仁の三羞牙の選択を迫られた琉璃乃。  間違えたら後がない状況で琉璃乃はある質問を投げかけた。 「みちよ、今日子。1つだけ聞いていいかしら?」 「悪いけど、三羞牙に繋がる質問には答えないわ」「それで良かったらど うぞ?」 「じゃあ、1つだけニセモノさんに聞くわ。何故、三羞牙の言いなりにな ってるの?」 「その質問に答えられると思うの?」「答えは教えられないよ!」 「琉璃乃さんっ、今さら何でそんなことを?」「そうですよ。琉璃乃ちゃん」 「答えられないのは分かってるわ。おそらく仁の三羞牙に脅されているか ら..いえ、正確には説得させられたから..よね?」 「何よ..その怪しい投げかけは..」「私たちを誘導しているわけ?甘 いわね」 「そう、誘導したわ..どうしても確証が欲しかったから..そして分か ったわ!仁の三羞牙が誰かがね」「琉璃乃さん..」「琉璃乃ちゃん」 「ふふ、じゃあ、当てなさい。私たちのどちらかが本物を」「そうよ」  ぼそっ「琉璃乃さん..本当に答えがわかったの?」 「ええ、まずは猪崎さん。あなたは完全に仁の三羞牙ではないわ!」 「ちょっと、今さら何を?」「そうよ。どうしたの、琉璃乃ちゃん」 「そして、今日子。あなたも違うわ」 「な・何故..私が違うと..」 「あなたは、さっきからみちよの後に言葉を出している。それは仁の三羞 牙にボロを出しそうだと判断されたから。今日子の言葉を聞いて上手く合 わしてるだけだから」 「ちょっと、琉璃乃さんっ!それじゃ、もう答えが出てるじゃない」 「ううん、出てないわ。残念ながらみちよ、あなたも言わされてるだけだ から」 「!!」「えっ..琉璃乃さん?みちよも違うじゃ..答えが?」 「仁の三羞牙は..古野だから。そうよね、みちよ。いいえ、水村みちよ」 「・・・・・」 「あなたもそう思わない今日子。いいえ、井上今日子!」 「・・・・・」 「古野って..琉璃乃さん..それはっ!それは..」 「古野 由子..仁の三羞牙はあなたよっ!ゆっこ!」 「な・何を言ってるの?る・琉璃乃ちゃん..」「そうよ、琉璃乃さん」 「別に今の2人の言動で判断したわけじゃないわ。総合的な判断であなた しか残らなかったから..ゆっこ」 「こ・根拠は何かしら?わ・私も仁の三羞牙に被害を遭ってるのよ」 「そうよっ!琉璃乃さん。今でもゆっこは辱しめられてるじゃない」 「罪..一度、これは自分への罪と言ったよね。あれはゆっこの本心だっ た。私はそう思ってる」「・・・・」 「琉璃乃さん、それなら尚更おかしいんじゃ」 「おそらく、ゆっこが言っていた罪は、かって私を虐めたものじゃなく、 今まで私を苦しめてしまった罪だったとしたら..」「・・・・・」 「そもそも、みちよや今日子が仁の三羞牙だったら、目的がわからなくな るわ」「目的って?」 「おそらく、この羞恥拳を得るため..」 「・・・」「でも、琉璃乃さん。奪うならゆっこじゃなくても..」 「奪うんじゃないわ..きっと、この拳を私に覚えさせるために、私に力 があることを知らせるために猪崎グループを使い、さらには三羞牙をも利 用した..そして私がつぶれないように近くでサポートする必要もあった。 それが出来るのはただ1人だけ」 「利用って?ゆっこ、あなた..」 「よく分からないわ。琉璃乃ちゃん♪それは貴女の勝手な仮定じゃない?」 「そうね。けど稚奈の時はあっさりと名前を教えて何故、最後の1人は禁 則だったの?おじいちゃんたちも結局、教えてくれなかった。珠紅の時も 最初から堂々と正体を見せていたのに最後の1人は何故、徹底的に姿を出 さなかったの?ゆっこ」 「さあ♪わからないわぁ〜ふふ」「ゆっこ?」 「簡単よね。名前を出せばすぐに分かるから。そう、ゆっこも話してたわね」 「そんなことぉ〜言ったかしらぁ♪覚えてないわっ。ねぇ、猪崎さん♪」 「ゆっこ、どうしたのよ..あなた、いつもと違うわよ」 「何言ってるの?猪崎っておかしなこと時々言うよね。ねえ、琉璃乃ちゃん♪」 「そうね..そういや、稚奈との戦いが終わったとき、あなたの背後の仁 の三羞牙が現れ、お漏らしの仕掛けとメッセージを残して消えたんだよね?」 「ふふん♪そうだったわねぇ〜」 「よく考えたら、あの時は全神経を羞恥拳で高めていたわ。そうでもしな ければ2人の技を受けていた私の精神は壊れそうだったから」 「それが、どうかしたのぉ♪」 「もし残りの1人が居たなら、絶対に気づいたと思う。そう、琉璃乃の全て にかけて言うわ!ゆっこ、あなたの後ろには誰も居なかった」 「!!・・・・・・それでも違うと言ったら..」 「いいえ、琉璃乃の全てにかけて誓うわ」「・・そう♪」
最終話後編
「ゆっこ、あなたが仁の三羞牙だったら、いろんなことが上手く説明でき るのよ。私が虐められていた時、裸でおしっこを命令した時があったよね?」 「!そ・・それがどうかしたの?」「あの時、ゆっこが弄ったらすぐに漏 らしたわ。あと、猪崎さんにおしっこの罰を与えた時も結構、手さばきが 良かったよね?」 「そうでしたわ。私、あんなに気持ちいい激しいおしっこが出来るとは思 ってもいませんでしたわっ」「た・たまたまじゃない..」 「そう?あと、そういえば稚奈との決戦の時、珠紅の裏切りを即座に見抜 いたのが仁の三羞牙だったけど、みちよや今日子はこの決戦はあまり関わ ってないはずよね」 「そっか..珠紅が良く信頼していたのはゆっこ。それに..3年の柔子 や1年の二亜子の行動を見抜けるのはゆっこしかいないはず。あずなが信 頼しきっていることや、みちよや今日子を説得できるのもゆっこぐらいしか..」 「おそらく、あずなはゆっこに言われて、自分から敵役を引き受けたのよ。 そして捕らえたみちよや今日子を説得して、あずなのサポートをさせた。 そうよね?」 「でも琉璃乃さん。そんなあずなが何故、裏切られたの?あんな目に遭っ たのよ」 「あれは..おそらくあずなが自分から望んだのよ。みちよや今日子がこ んなことをしてくるぐらいよ。あずなはきっと、わざと罰されたはずよ」 「・・・・」 「ゆっこ、悪いけど私はあなたを攻撃するわ。そして、その後であなたの 部屋に行かせてもらうわ。そこに珠紅と稚奈が必ずいるから」 「・・・・どうしても、私を選ぶのかしら?」「ええ、選ぶわ」 「・・・負けたわ..そうよ。私こそ仁の三羞牙こと、お漏らしの由子よっ!」 「ゆっこ、どうして?」「私も理由が知りたいわ」 「妹よ..妹を助けたかった..ただ、それだけよ..」「妹?」 「祖父は..羞辱派のトップの1人だけど、両親はそんな祖父を恥として、 ずっと昔に縁を切ったわ..そう、私の両親はごく普通で私もごく普通に 育って、名門の女子高に寮通いで入学することが出来た。イジメが横行し てるのは分かってたけど、そんなの他人事に過ぎなかった。私はそんなの に関わり合いたくなかったから」 「それなら、何故?私のグループに?」「2年に上がった時、妹が共学の 高校に行くことを知ったわ。そして妹がそこでイジメにあってることを知 った」 「妹さんが..」「私は妹を必死に救おうといろいろと考えた。その時、 縁を切った祖父のことが頭に浮かび、祖父の技を覚えることを決めた。こ れで妹を救おうと」 「ちょっと、それは私のグループに入ったことと関係ないんじゃ..」 「力が足りないと感じたから..お漏らしの技って心もとないじゃない。 そこで見つけたのよ。琉璃乃ちゃんが同じ学校に居ることを。その時、猪 崎さんは何をしてました?」「そういうことなのね..ちょうど琉璃乃さ んを標的にした頃よ」 「そう♪琉璃乃ちゃんに眠ってる力があることを見抜いていたわ。だから、 早く目覚めさせるために卑劣な手を使わせてもらったわ」 「最初から私の力を目覚めさせるために..」 「琉璃乃ちゃんが目覚めたら、あとは猪崎グループなんてさっさとつぶす つもりだったけど、まさか琉璃乃ちゃんがイジメ撲滅に猪崎さんを取り込 むとは思いもしなかったな〜。猪崎さん、本当はあなたは最初からつぶす つもりだったの♪」  ぞくっ「ゆっこ..」 「そのあとは早めに校内のイジメをなくすためにしようとしたけど、まさ か私が思ってた以上に校内は乱れきっていたとは思いもしなかったわ。猪 崎さんが意外に小さなイジメの抑制力になってたなんて実に馬鹿馬鹿しい 話ね」 「まさか、三羞牙を呼んだのは..」 「そう♪私よ。運がいいことに他の2人は祖父の意思を継いでいたから思 いのほか利用し易かったわ。あの2人のおかげでかなりいい感じに校内を 綺麗に出来たから」 「でも、ゆっこ。腑に落ちる点が1つあるわ。妹を救うために早めにいろ いろやったあなたが何故、羞恥拳まで覚えたあとの自分の番になってから ゆっくり進めたの?」 「そうよ。いくら校内のイジメがまだ残ってるとは言え、元もとの目的は 妹さんなんでしょ。琉璃乃さんと三羞牙の4人だけで充分すぎる戦力にな ったはず」 「ええ、私もさっさと自分の正体を明かして琉璃乃ちゃんと対決する予定 だった。きっと琉璃乃ちゃんが勝つと思うし、私は最悪どうなってもいい と考えてたし」 「ゆっこ..」 「けど..妹から手紙が届いたの..皮肉なことに妹の方にも琉璃乃ちゃ んみたいな良い友達がいっぱいいたみたいなの..急ぐ必要がなくなっち ゃった..」 「それで方向性を変えたのね..まだくすぶっている連中を掃討するために」 「そうよ♪これはすごく簡単だった..いつの間にか私が猪崎グループの 要になっていたから、その要をぼろぼろにすればいいことだし〜。そうす ればそれを好機に思った馬鹿が動くと思った..それに」 「罰だったから..自分への罰として、いろんなものを利用した罰として 自分を裁き続けたのね。ゆっこ」 「そう..あずなはそんな私にすごく共感したの。自分も力になりたいと」 「私にもようやく分かってきたわ。あずなは仁の三羞牙を名乗って二亜子 を嵌めたり、2年の不穏分子を次々と見つける役目をしたのね。そして途 中からはみちよや今日子も協力したってことね。けど、この私、猪崎を仲 間に入れなかったのが運のつきってことかしら」 「いや..入れたほうが運のつきかも」「何ですってぇぇーーきぃぃぃー!」 「猪崎さん..落ち着いて」 「さて♪これで後は私が琉璃乃ちゃんに倒されれば一件落着ね。今回に全 ての元凶はこの古野 由子にあるんだから。後は皆に任せます。私が居な くなっても、もう大丈夫だから」 「ゆっこ..」「ゆっこ、いいのね?」 「うん、いいわ。いつでもどうぞ。琉璃乃ちゃん♪」 「じゃあ..遠慮なくいくわっ!!」「る・琉璃乃さん!」  ビタァァーーンンッ!「いたぁぁぁぁーーぃぃっ」  何と琉璃乃は羞恥拳を出さず、ゆっこのおでこを思い切り指で弾いてき ただけだった。 「これで充分よ♪痛かったでしょ?ゆっこ」くすくす 「・・・琉璃乃ちゃん」 「今回のことはやりすぎだけど、私には裁く権利なんかないわよ。あとで 皆に謝るのよ。まあ、私もあと猪崎さんも付き合うから♪」 「何で私も?」「嫌なの?猪崎さん」  とほほ..「いえ、私も付き合います。トップですから」「宜しい♪」 「琉璃乃ちゃん、ごめんなさい」「うん♪」  こうして今回の長かった三羞牙との戦いに幕を終えることが出来た。  そう、琉璃乃の羞恥拳は女の子を虐めるものではなく悦ばすためにある んだから〜♪ <完>


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