エピローグ


 ついに羞恥なスイングの撮影の日の朝がきた。  里奈穂はベットから下りカーテンを開けて朝日の光を部屋に入れる。  外からは小鳥のさえずる音が聞こえ、快晴の情景が目の前に広がってい た。 「今日は撮影の日なんだ・・・・・」  里奈穂は今でも脳裏に焼きついている数日前の撮影を思い出す。  スイングに回されて服が捲られていく自分...  あと1歩のところで、おっぱいがポロリとなったスイング..  あんなエッチな事をまたやらされると思うと恥ずかしくてたまらない。  それも今度はおっぱいを出す事が決まっているのだ。 「わ、私の、、おっぱいをTVの前に・・・」  ついつい、おっぱいが出たイメージを頭に浮かべてしまい、顔が赤くな る里奈穂。 (私ったら何、変なイメージを浮かべちゃうんだろ・・・)  里奈穂は、まだエッチな事に強い抵抗がある。色々な痴態を味わったと しても自分からエッチなことをしようとも思わない。  エッチなことにはまだ強い嫌悪感があり、あんな恥ずかしい拇印をした 後でもエッチな事を思うと頭を大きく振ったり、わざと笑ったりして煩悩 を捨て、エッチなことをしない様に必死に努力をしたのだ。  だが、そんな努力を嘲笑うかの様に里奈穂には大きな試練が降りかかる のである。 (どーしよ・・・社長の言う通りした方がいいのかな..でも、あんな事 する必要性もないわ)  洋服タンスの前に行き、社長の言った事を思い出すと身体が熱くなり火 照りを感じる。  実は先日、FAXにて芸能プロダクションの社長から当日の服装を指定 をされてしまったのだ。  撮影当日はおっぱいを晒す事に慣れる為、ブラジャーは着用禁止。及び プロダクションから送られた服一式を着て来いということだ。  もちろん、これは強制的な事ではなく、里奈穂自身が違う服を着て来た としても問題はないのである。  けど、里奈穂にはそれを跳ね返す強い意志はない。逆にこれを着なけれ ばという自分でも理解の出来ない強い命令が頭に響く。  プロダクションから送られた服はローマ字で”RINAHO”と印刷された短 いTシャツだった。上に羽織る服もあったので、外ではノーブラが目立つ わけではなかった。  ただ短いTシャツは一見、ライトブルーの臍が出るTシャツなのだが、 よく見ると生地が薄いのである。  その上、肌にフィットするタイプのTシャツの為、おっぱいのラインが はっきりと出てしまう。  透けて見えることはないが、光の当たり方によっては透けて見えるかも 知れない。  だが、そんなことよりも問題なのはTシャツを盛り上げている部分が目 立って仕方がないのだ。  乳首でも勃った時には「私はノーブラで感じてます」と自分から言って るみたいな姿になってしまうのだ。 (どーしよ・・・これじゃノーブラってわかってしまう..けど..結局 は..) 「下はデニムショートパンツか..上に合わせると仕方ないよね..でも 普通の服で行っても..撮影で..」  そう、例えこのTシャツを着なくても今日の撮影でおっぱいを出すのは 決まっている。  おっぱいを出すと決めたからには、これぐらいで恥ずかしがっては撮影 には臨めないかも知れない。  そう心に思うと不思議に着る勇気が湧き始め、社長の注文どおりの服装 で行く事を決めた里奈穂であった。 <完>


「転向アイドル里奈穂」完
 ※あとがき

 この最終回を見た人が色々カットしすぎだよ。と言いたくなると思いま
すが、紆余曲折を経て、この段階で完結させました。
 ハイヤー以降の話は里奈穂がタガを外しまくっていたので、短編として
分けることにしました。

 もう1つ補足。

 皆さん、ご承知ですが、完結前は話数がもっとあった作品なので、消え
た話は、元の原作に近い形で短編としてどんどん戻す予定です。