第8話「火中の栗は捨てよ」


 みなさーん、こんにちは。今日も一生懸命、解説に頑張る普通の女子の 紺屋 麻希(出席番号6番)です。  未だに私の台詞が心の中の言葉になってるので、私が一番無口じゃない のかって思うけど、ちゃんと普通に喋っているんだからね〜〜。  ううぅ..いつになったら私の生声を出してくれるのかしら..  キンコーン、カンコーン♪ 【柔紀】「えっと、前回と同じ始まりで悪いが、実は前から聞きたい事を また質問していいかしら?」 【男子たち】「聞きたいことって何っすか?先生」 【柔紀】「ん?今日はやけに男子たちが積極的だな。女子ばかりが喋って いるから女子高だと思っていたわよ」 【チュー松】「どうやら、男子たちもやる気を見せてきたということであ るな。小生も猫上様のために頑張らなければな」 【柔紀】「・・・そこのネズミ、さらりと参加ししてこないで欲しいんだ けど..って言うか猫上さん。腹話術が得意なのはわかったから起きなさい」 【チュー松】「何を言ってるのじゃ!このクイの中のクイと呼ばれた小生 を腹話術なんかと勘違いされては困るぞ!小生をただのネズミだと思うと 後悔するぞ」 【勇衣萌】「まあ、正確にはネズミじゃなくてモルモットだがな..」 【柔紀】「どちらにしても猫上さんには起きて欲しいんだけど..」 【チュー松】「まだ信じてないようじゃな。これ以上、愚弄を重ねると猫 上様がお怒りになされますぞ!見よっ、小生を助けるために眠りから覚め はじめましたぞぉ〜」 【猫上】「ふにゃぁぁぁぁ〜〜」 【チュー松】「おおっ!猫上様、お起きになされましたか!さっそく、こ の連中に猫上様の偉大な力をぉぉー!」 【猫上】「にゃぁ?」ひょいっ、ぱくっ♪ 【男子たち】「あっ..食べた」 <今回もしばらく、おまちください..> 【チュー松】「はぁはぁはぁ..猫上様、この冗談はやめてくれませんか っ!クイの中のクイと呼ばれた小生でも毎回、口の中に入れられるのは、 きついですぞ!」 【勇衣萌】「母さ・・・いいや、先生。また構うとチュー松、食べられると 思うので、先に話を進めてくれないかな」 【柔紀】「そうね。せっかく男子たちも参加してくれているようだし」 【男子たち】「先生っ!そろそろ俺たちをひとくくりで会話するのをやめ て欲しいんっすか」 【柔紀】「あっ、ごめんなさい。じゃあ、これから出席を取るから各々、 うまく参加してきてちょうだいね」 【勇衣萌】「なんか投げやりだよ。母さ・・・いいや、先生」 【柔紀】「〜〜**君、**君、尾川(おがわ)君」【尾川】「はいちん」 【柔紀】「〜〜**君、**君、小井ヶ窪(こいがくぼ)君」 【小井ヶ窪】「いるでござる」 【柔紀】「次は..鯉町 もまれだけど..何をやっているのかしら?」 【鯉町】「はははっ、男同士のスキンシップだよぉ〜。ねぇ、勇衣萌ちゃん」 【勇衣萌】「胸を揉むのが..お前のスキンシップか..いい加減にしな いとぉぉ..」 【鯉町】「いい加減にしないと、もっと揉ませてくれるとか?」 【勇衣萌】「そんなゆとり持っていいのか?ここは自分のクラスって忘れ てないか?」 【鯉町】「・・・えっと、これはその..」 【暑姫】「わらわの前で堂々とおなごの乳を揉むとは大胆じゃの〜〜」 【鯉町】「暑姫っ!落ち着けっ!これは男同士のスキンシップなんだ。ほ ら、勇衣萌ちゃんは男子の制服着てるだろっ!」 【勇衣萌】「着てるだけだ」 【暑姫】「そのとおりじゃ!殿の浮気ものぉぉぉーーーー!!わらわとい うものがありながらぁぁぁーー」ボォォォォォォッ!! 【鯉町】「うあぁぁぁぁぁっ!!あちちぃぃぃーー!やめろぉぉ〜燃える もえるじゃないかぁぁぁーー」 【勇衣萌】「って言うか、燃えてるぞ..」  えっと、クラスの中で暑姫さんに燃やされている男子は驚く事に暑姫さ んの恋人であり、よく分からないけど暑姫さんの方から一方的に好意を抱 かれてカップルになったらしい。  暑姫さんと言えば、超富豪の1人娘であり、男子たちのハートを鷲づか みにしている美女なのに、なんであんな鯉町なんか好きになったんだろ?  第一、鯉町の方は学校1のスケベ男と言われるほどの最低野郎で、校内 の女子の胸を揉みまくっているという最悪のセクハラ男と呼ばれているか らだ。  まあ、人の好みってものは色々あるから私なんかが文句を言ってもしか たないけどね。  それにしても何かいつもと雰囲気が違うんですが..  いつも出てくる方々が出てこないのは何故なんでしょう? 【柔紀】「こほんっ、そろそろ出席を取るのを再開していいかしら?」 【小井ヶ窪】「いいんじゃないでござるか。もまれなんか相手してると先 にすすまないでござるよ」 【柔紀】「そうね..さむらい(小井ヶ窪のあだ名)の言う通りね。じゃ あ、出席を続けるわ。〜〜**君、**君、高乃大(たかのだい)君」 【高乃大】「はいもぐ」 【柔紀】「・・・さっきから語尾が変なヤツばかりのような気がするが.. 気にせずにいくとするわ。〜〜**君、**君、東斑山(ひがしむらやま)君」 【東斑山】「はいぱしゃ!」 【麻希】(ぱしゃって語尾か?語尾も気になるけど、名前に変な関連性が 見えるのは私だけなのだろうか..) 【柔紀】「〜〜**君、**君、美蔵 華音麿(みくら かねまろ)君」 【美蔵】「はい、僕は変な語尾なんかつけませんよ。先生は今日も相変わ らず綺麗で素敵ですね」 【取り巻き】「あ〜ん、美蔵さまぁぁー。先生なんかに色目を使ったらい やぁぁぁぁぁーー」 【美蔵】「はははっ、すまない。僕は女性には誰にでも優しくなってしま うんだよ」キラリンッ(白い歯が眩しく光る音) 【取り巻き】「ああんっ〜♪美蔵さまのイジワルゥゥゥ〜。私たちもそん な美蔵さまに惚れちゃいますぅぅ〜」 【美蔵】「ふふっ、君たちだけだよ。そういってくれるのは。そう..以 前の僕だったらクラスの女子全員が僕の美貌の虜だったんだけど..」 【取り巻き】「美蔵さま?」 【美蔵】「なぜっ!このクラスの女子は僕に振り向いてくれないのだっ! 僕はこの辺りの地元をまとめてる美蔵財閥の御曹司で、中学時代は美男子 でスポーツ万能、成績優秀だったから女子全員からモテモテだったんだ! それがこのクラスになってから2人とは..いったい何故なんだ..」 【取り巻き】「あ〜ん、美蔵さまったら私たちで充分ですよ。1年4組の女 子の中で1・2を争う美少女ですから♪」  それは違うと思う..要は美蔵くんぐらいじゃ落とせないレベルの高い? 女子がいっぱいいるということなのだろう。  財閥の御曹司といっても、暑姫さんの財力と比べたら低くなっちゃうし、 女子たちにモテモテと言っても学園のオスカルさまと呼ばれてる勇衣萌さ んが同じクラスにいるから、もてるはずはないのだ。  たくさんの女性が好きであるという点から考えると、あの鯉町と根本的 には同じ人種かも知れない.. 【取り巻きA】「あ〜ん、美蔵さまぁ〜。今度、是非私とデートしてくれ ませんかぁぁ〜」「はははっ、いいとも」キラリンッ 【取り巻きB】「ちょっとぉ〜、勝手に抜け駆けしないでよっ!大体、あ んたはさっさと内川さんのとこに戻って「内川さまぁぁ〜、すばらしいで すぅ〜」って言ってればいいのよっ」 【麻希】(文だけじゃ分からなかったけど..取り巻きの1人って内川さん の取り巻きの1人じゃない..) 【取り巻きA】「ふふっ、未だに名前のない貴女と一緒にされては困るわ ね。あんまりしつこいと内川さまにいじめてもらうわよぉ〜」 【取り巻きB】「やれるならやってみなさいよ。あと貴女だって常に取り 巻き扱いされてるでしょ!名前なんか誰も知らないわよっ!」 【取り巻きA】「知ってるわよ。奥西 穂耶紀(おくにし ほやき)と言 えば日本中のイイ男にモテモテの穂耶紀と言われて有名なんだからね」 【取り巻きB】「自称でしょ!自称っ!要はさっさと名乗ればいいってこ とでしょ!この刻分字 亜衣栖(こくぶんじ あいす)をなめると痛い目 に遭うわよぉぉ」 【美蔵】「おいおい、僕を取り合う喧嘩ならやめてくれよ〜。2人とも僕 の大事な人なんだから」キラリンッ 【取り巻き】「あぁ〜ん、美蔵さまぁがそう仰るなら仲良くしますぅぅー」 【美蔵】「ありがとう、僕の言う事を聞いてくれて。お礼に今度3人で仲 良くデートしようじゃないか」キラリンッ 【取り巻き】「あぁ〜ん、美蔵さまぁ〜それは楽しみですぅぅ」  それって、二股デートなんじゃないのかな..  けど、何かこのままいつもの人たちが出ないで話を進めるつもりなのか な..それだったら私にも喋らせて欲しいんですが.. 【沙智菜】!!(これはチャンスなのかも知れないわっ!今こそインパク トを見せる時かも知れないわぁぁぁぁー) 【麻希】(ああっ!ちょっと、私と同じ心の声を真似しないでぇぇーー!) 【沙智菜】「先生、ちょっといいですか?」 【柔紀】「ん?何か質問があるの、新宮さん」 【沙智菜】「えっと..走ってきていいですか?」 【柔紀】「ダメだ!」 【沙智菜】ガァァァァァァーーーンン「な・何故ですかぁぁーー!私のナ イスインパクトがぁぁぁーー」 【柔紀】「・・・壱郷さんのレベルは高すぎるんじゃないか..」 【沙智菜】「わ・わかりましたぁ〜。じゃあ、これなら大丈夫ですね.. あうあうっ、肉まんって美味しいんだよぉ〜。ほっかほっかだよぉ〜」 【柔紀】「あうあうは言わんぞ。それも無理があると思うけど..」 【沙智菜】ガァァァァァァーーーンン「ああぁ〜ん!内川さまぁぁぁーー、 私の代わりに何とか言ってくださぁぁぁい!」 【内川】「こっちに振らないでよっ!それにいつから取り巻きになったの よっ!」 【沙智菜】「いいじゃない。いつもメインで喋る子がいないんだからぁ〜。 あ〜ん、内川さまぁぁー。助けてくださぁぁーーい」 【内川】「近寄るなっ!私を巻き込むなっ!おい、穂耶紀!あんたもいい 加減、こっちに帰ってきなさいっ!」 【取り巻き】「あぁ〜ん、美蔵さまぁ〜変な女が声を掛けてこわぁぁぃ〜」 【美蔵】「よしよし、怖かっただろう。僕が頭をナデナデしてやろう」 【内川】「・・・あとで覚えておきなさいよっ!」 【沙智菜】「内川さまぁぁぁー、すばらしいですぅぅー。だから一緒に走 りましょう!外で中華まん食べましょう!ほっくほっくだよぉぉぉー」 【内川】「だから私を巻き込むな..先生、何とかしてください」 【柔紀】「まあ大目に見てくれないかしら..前回の清掃での貴重な生き 残りだからね」 【内川】「はぁ?前回って準備室の掃除のこと?まさか..」 【麻希】(まあ、私も生き残りなんですが、そのまさかなんです。あのお まけで皆さん、居なくなりました..って言うかすごいオチできた感じ..) 【柔紀】「と言う訳で、今日の放課後は男子全員で1年4組の準備室の掃除 と女子救出を手伝ってもらうわ。男子なら数人居なくなっても良しっ!」 【勇衣萌】「担任がそれでいいのか..って言うか、私は凛の代わりか?」 【柔紀】「勇衣萌。悪いけど、あんたにも掃除を付き合ってもらうわ。あ と暖々堂さんも協力をお願いするわ」 【暑姫】「わらわの力で良かったらいくらでも貸しますかえ」 【男子たち】「うぉぉぉ〜、我らのショキちゃんを守るためなら俺たち、 どんな危険でも乗り越えてみせますぞぉぉぉぉーー」 【内川】「ちっ、勇衣萌さまを危険な目に遭わせるわけにはいかないわね。 この私も協力するわよ」 【沙智菜】「さすが、内川さまですぅぅーー。ほっかほっかなので一緒に 走りましょう」「だから、それはやめろぉぉ〜」 【チュー松】「猫上様っ、ここは我らも参るとしましょう!猫上様の力を 見せる時ですぞ」 【猫上】「・・・にゃあ(わかったわよ。チュー松)」  こうして今度は男子全員と女子数人で放課後、再び1年4組の準備室の掃 除にいくことになったのだが... 【チュー松】「どうやら、男子たちは全滅したようですな..」 【勇衣萌】「と言うか、何もしないで全滅か?”なったのだが..”の間 で全滅なんて情けなくないか..」 【柔紀】「こうなっては仕方ない。ここは撤退して、再度戦力を整えるの よっ!」 【沙智菜】「もうそんなに戦力が残ってないんですが..」 【取り巻き】「内川さまっ!今こそ、内川さまの力を見せ付けるところで すよっ!男子全員を..いや、美蔵だけを助けましょうっ!」 【内川】「よくまあ、抜けぬけと帰って来れたわね..ともかくここは先 生の言うとおり、撤退よ。あの1号まで消したヤツに勝てるわけないじゃ ないっ!」 【壱郷】「そうですよ。私を消す相手は危険かも知れません。あっ、今ま で走っていた壱郷です」 【内川】「・・・先生、1号が勝手に生還していますが、どうします?」 【柔紀】「とりあえず、あの6組の女子に4組の生徒を返すように言っても らえないかしら?」 【壱郷】「それは無理です..璃紅さんの友達千人計画5231案は、才 蔵くんの活躍でとっくに水泡に帰しました..」 【柔紀】「なら何故、男子たちが消えたの?」 【壱郷】「ただの敵前逃亡です。別に私が脅かしたというわけではありま せんよ。この手に持ってる私のリアルな生首とは関係ありません」 【勇衣萌】「脅かしたのか..男子たちはそれでいいとして義岡さんたち はどうなったの?」 【壱郷】「準備室にいます。あそこには璃紅さんを超えた魔物が住んでい ました..」 【柔紀】「何、馬鹿なこと言ってるの?とりあえず6組の危険女子は関係 ないってことね。なら問題ないわ。私が取り返しにいくわ」  そういって先生が1人でそのまま準備室へ向かった。先生って意外と怖 いもの知らずかも..  ガチャッ!【柔紀】「みんなっ!いつまで遊んでいるつもりなのよ」 【??】「んぷぷ〜♪柔紀ちゃん、いらっしゃいぃ〜」 【柔紀】「て・て・撤退よぉぉぉぉーー!この部屋には魔物がいるわぁぁ ぁぁぁぁーーー!」ダダダダダダダッ!  突然、大声を出して1人でさっさと逃げていってしまった先生。  もちろん、私たちも先生の声を聞いて一緒に撤退したんだけど、いった い準備室には誰がいたんだろう?本当に魔物がいたの..まさかね..


【人物紹介】G
猫上 五十鈴(ねこがみ いすず)出席番号:13
 猫耳に見えるハネっ毛をピクピクさせている女子。
 何故か大きな鈴がついている首輪をして、スカートから尻尾を出している。
 身体のあちこちに鈴をつけている鈴好き少女である。
 クイの中のクイと自称する喋るネズミさん(Dr.チュー松)を飼って
いる?

<おまけ>
【蘭】ぱくぱくっ「あれっ?さっきの先生じゃないのかなぁ〜♪」
【凛】「心配だから来たんだろ..いい加減、教室に戻らないか?」
【美紗里】「いや、それよりも家に戻った方が..泊まっているし」
【悠子】「何か..親御さんには連絡したから大丈夫だって..」
【凛】「用意周到だな..まあ、連絡がいってるならいいか」
【蘭】「それにしても、どれも美味しくて最高だよぉ〜。おかわりぃ」
【美紗里】「という事ですので、私たちは一応、無事ですので」ぺこっ
【凛】「誰に向かって言ってるんだ?信谷さん」

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