第5話「類は何かを呼んだ」


 どうも〜、すっかり定番解説としてなりつつある紺屋 麻希(出席番号 6番)です。  今日こそ、平凡な一日でいてほしいと思うけど、何やら怪しい前触れが 起こっているので駄目そうかも..  とりあえず、まだ我が1年4組は平穏を保ってはいるけど.. 【取り巻き】「内川さまっ、内川さまっ!一大ニュースです」 【内川】「何、冒頭から騒いでいるのよ。落ち着きなさい」 【取り巻き】「落ち着いている場合じゃないですよっ!あの1年5組が今日 から1週間、学級閉鎖になったんですよ」 【内川】「学級閉鎖?風邪の季節でもないのに何で閉鎖なんかするのよ」 【取り巻き】「聞いた話ですと、集団食中毒らしいです」 【内川】「食中毒?5組の連中はいろんなクラスの女子をいじめてるから 誰かに毒でも盛られたんじゃないの?」  そう、実は1年5組はいじめグループの巣窟とも言われるぐらい、いじめ を行う生徒たちが集まっており、特に女子たちのいじめはひどいらしい。  いろんなクラスの女子をいじめてる噂が常に耐えないのだが、さすがに この1年4組の女子には手を出してこないようである。  って言うか手を出せないような気がする.. 【取り巻き】「所詮、集団じゃないと何も出来ない5組ですしね。いじめ られてる女子に逆襲されてもおかしくない話ですね」 【内川】「そうね。その点、私はそんなヘマはしないわ。逆襲なんてさせ てたまるものですか」 【取り巻き】「さすが、内川さまですっ。すばらしいです。天才です」 【内川】「んふふ〜。もっと褒め称えていいわよぉぉ〜」 【取り巻き】「いじめの秀才ですっ。いよっ、いじめ大統領〜」 【内川】「んふふ〜。もっと褒め称えなさいっ」 【壱郷】「ブタも煽てりゃぁ〜木にのぼるぅ〜。ぶ〜」 【取り巻き】「・・・う・内川さま、1号のこと気にしちゃ駄目ですよ」 【内川】「わ・わかってるわよ..それぐらい」 【取り巻き】「そういえば内川さま。毒を盛られたっていう説はあながち 冗談ではないみたいですよ」 【内川】「それは穏やかな話じゃないわね。何か根拠があるの?」 【壱郷】「それよりも私が見張っていたカレーをどうぞ。こっそり隠し味 を入れたことは内緒にしてくださいね..」しぃっ〜 【取り巻き】「・・・う・内川さま..ここは無視で..」 【内川】「わ・わかってるわよ」  何か今回は壱郷さんの介入を防ぐつもりでいるらしい。  それにしても内川さんの言うとおり、今回の学級閉鎖が故意的なものだ ったら怖いよね..  私も是非、故意的だという根拠を知りたいわ。 【取り巻き】「実は..ここだけの話なんですが、学級閉鎖になる前に6組 の女子が5組に乗り込んできたみたいなんです」 【内川】「5組に乗り込むなんて、いじめてくださいって言ってるようなも のね。で、何でわざわざ自分から乗り込んできたの?」 【取り巻き】「それが..友達1000人作るんだぁぁーって言って5組に来た らしいです..」 【内川】「その女は小学生か..5組に行くなんてネギを背負っていく鴨の ようなものだな」 【取り巻き】「そう思います。でも、その次の日に学級閉鎖が始まったの で何か関係がありそうな気がしますが..」 【内川】「なるほど..それで毒を盛ったって噂があるのね。けど、それ は非現実的ね」 【壱郷】「そうです。事実は小説よりも奇なり。実は食中毒はただの表向 きなのです」 【取り巻き】「どういうことなの?壱郷さん」 【内川】「バカっ!1号の話に乗るなって言っただろ!」「あっ、しまった」  さすが壱郷さん。粘り勝ちっていう感じね。でも..本当に表向きなの? (ごくりっ)じゃあ..本当はいったい.. 【取り巻き】「1号、そこまで言ったなら事実を言ってみろよ」 【内川】「そうね..一応、私も聞いてあげるわよ」 【壱郷】「実は...いえ、これは決して口に出せないのです」 【内川】「じゃあ最初から言うなっ!まったく何が食中毒は表向きよっ! 結局、あんたも知らないんでしょ」 【壱郷】「いえ..知ってます。けど、口で説明するよりは実際、体験し た方が良いと思いましたので..」「はぁ?」「実体験って..」  ちょ・ちょっとぉぉ〜。せっかくの平穏な空気がここまでって感じぃぃー!  今度は何が起こるっていうのよぉぉぉーーー!私は知りたくないよぉぉ〜。  ガラッ!「1年生になったらぁ〜♪、1年生になったらぁぁ〜♪友達千 人作るんだぁぁぁーー。4組のみなさん、こんにちはぁぁぁぁぁ〜」  何かものすごくハイテンションな女子が教室に入ってきたんだけど..  あの子が噂の5組に乗り込んできた6組の女子?しかも制服を勝手に改造 している上に、手に意味不明なゴボウまで持っているんですがぁぁーー。 「私の名は捺音 璃紅(なつね りく)。自分で言うのも何だけどぉぉ〜、 絶対に友達にしたいNO.1に選ばれる女の子なんだぞぉ〜。4組のみんなも、 璃紅がりっくりっくにしてやるんだからぁぁ〜♪」  何かどっかで聞いたフレーズを思い切り真似て言ってきているんですけ ど..いいのかしら?  ガラッ。「す・すまないっ、4組のみんな。璃紅は某ボーカロイドの人 気にあやかって真似をしてるだけなんだぁぁぁぁ〜」「才蔵?」  何か今度は男子が教室にやってきたみたいけど、男子が来るなんて結構 めずらしいかも.. 「俺の名は才蔵。6組の生徒で、璃紅の幼馴染であるから忠告にきたんだ」 【璃紅】「ちょっと才蔵、私の友達千人計画の邪魔しないでよね〜。今、 りっくりっくにしてやる〜と言えば、この捺音 璃紅ちゃんのことなんだ からね〜〜」 【才蔵】「うおぉ〜。璃紅の勘違いが始まったぞ。実際は某ボーカロイド を真似て某動画サイトに毎日、数百という歌を自分で歌って投函してるん だぁ〜」 【璃紅】「おかげで毎日、炎上と間違われるぐらいの好評が殺到してるの〜」 【才蔵】「それは本当に炎上だからっ!何度炎上しても復活するから最近 ではゾンビ璃紅って呼ばれてるんだぁ〜」 【璃紅】「やだなぁ〜。ゾンビなんて変な言い方はぁ〜。フェニックスと 呼んでちょうだい〜♪」  どっちにしてもゴボウを持ってやってくる自体、充分危険な香りがする んだけど.. 【璃紅】「という事で♪友達になりたい方は今すぐにこの携帯アドレスに 送ってね〜。即効でりくちゃん返事しちゃうぞぉ〜♪」 【悠子】「・・・あんなに頑張ってるんだから、メールぐらい送ってあげ てもいいかな..」 【才蔵】「!!そこの4組の女子、軽率な行動を取るんじゃないっ!崖か ら飛び降りちゃおうかなと言ってるようなものだぞっ!」 【悠子】「えっ?崖からって..」 【美紗里】「ちょっと何そんなにムキになってるの?もしかして彼氏?」 【沙智菜】「でも同性の友達なら別にいいんじゃ?」 【璃紅】「女の子でも才蔵ったら、ヤキモチ焼くのよ♪ただの幼馴染なの にぃ〜、どうしてこんなに好かれてしまったのぉ〜」 【才蔵】「好いてないからっ!いいか、璃紅にメールを送るとな、「3日 以内に璃紅ちゃんに5人友達を紹介しなさい。さもないと大変な目に遭っ ちゃうぞ〜」のメールが来るんだぞっ!紹介しなかった子が本当に洒落じ ゃすまないことになったのを知ってるんだぁぁーー」 【璃紅】「やだなぁ〜♪ただの偶然じゃないっ、ぐ・う・ぜ・ん」 【才蔵】「お前の偶然は百発百中だからっ!怖いんだぁ〜」  って言うか、それはもはや偶然じゃないでしょ!何か、すごい子が4組 にやってきたって感じです..平穏がぁ〜、私の平穏がぁぁぁ〜〜 【璃紅】「んもう〜、才蔵ったら私の悪口ばかり言って..こう見えても 趣味は人形作りなんだからぁ〜」 【沙智菜】「へぇ〜、私も人形作るんだけど、どんな人形作るの?」 【璃紅】「とってもキュートな人形さんよ(藁)」「かっこわらって..」 【才蔵】「すまないっ!璃紅は”(笑)”を勘違いして使ってるんだぁ〜」 【沙智菜】「な・なんだ..びっくりしたなぁ〜。てっきり藁人形かと..」 【璃紅】「藁人形ってとってもキュートよ♪作り方、教えようかっ」 【沙智菜】「・・・遠慮しておきます..」 【璃紅】「あと、おまじないも得意なのよ〜。とっても効いちゃうおまじ ない教えちゃうから〜」 【美紗里】「へぇ〜、どんなおまじないなの?少し聞きたいわ」 【才蔵】「聞いては駄目だっ!璃紅のいう呪(まじな)いはもう1つの読 み方の方があってるからだぁ〜」 【美紗里】「もう1つって..それは危険すぎるわよ..」 【璃紅】「才蔵、何怖い事言ってるのよ〜。ただ失敗すると術者に返って くるだけよぉ〜」  って言うか、失敗すると術者に返るおまじないって、どんなのよぉぉ〜 【内川】「ふぅ〜、さっきから聞いてみると、ただの噂にビビッているだ けじゃないっ!こんな言葉だけの女のどこが怖いっていうの」 【取り巻き】「内川さま、しびれますぅ〜。さすが、いじめの大天才です」 【璃紅】「いじめ?もしかして、貴女はわるい子ちゃんですかぁ〜」 【内川】「ふんっ、悪かったらどうするつもり?校長や世間にでも訴える のかしらん♪」 【璃紅】「そんなことぉ〜しませんよぉ〜♪わるい子ちゃんにはぁぁー、 わるい子ちゃんにはぁぁー、わら人形にごっすん釘だぁぁぁー♪」 【麻希】(何かさらりと明るくとんでもない事を口走っているんだけど..)  璃紅さんが制服の中から手製の藁人形と大きな釘を取り出すと教室の壁 に向かってとんでもないことをし始めた。 【璃紅】「それぇぇー、わら人形にぃ〜ごっすんごっすん、ごっすん釘だぁ」 【内川】「ふんっ、そんなの効かないわ。感じないわ。痛くないわ!」 【取り巻き】「う・う・内川さま..何か顔がすごく青ざめてますが..」 【内川】「・・・・・・・・・・」ぶくぶくっ 【才蔵】「4組のみんなぁ〜、璃紅を止めてくれぇ〜!明るく打ってはい るが、効果は絶大なんだぁぁぁー」  才蔵の言葉を聞いて、慌てて璃紅さんの釘打ちを止めさせた私たち。 【取り巻き】「う・内川さまっ、大丈夫ですかっ!」 【内川】「はぁはぁ..何か死ぬほど苦しかったわ..本気でやりやがって」 【璃紅】「やだなぁ〜、本気だったら一打ちで充分ですよぉ〜」 【才蔵】「内川さん、くれぐれも璃紅への言動には注意してくれぇー。璃 紅は限度ってものを知らないんだぁ〜」 【璃紅】「才蔵ったら、オーバーなんだからっ♪めっ」 【内川】「・・・わかった、注意するわ」 【沙智菜】「何かすごい子が来た感じよね..蘭?」 【蘭?】「あうっ、あうあうっ」 【沙智菜】「・・・・・えっとぉ〜、いつからかなぁ?」 【凛】「めずらしく喋ってなかったと思ったけど、まだ代わっていたんだ」 【新・蘭】「あうあうっ」 【美紗里】「って言うか誰かいい加減、2組から連れてきなさいよ..」 【柔紀】「まあ、それはどちらでも構わんが、もうそろそろ授業なんだが、 何で6組の生徒がいるんだ?」 【璃紅】「1年生になったからぁぁ〜、友達1000人作りにきましたぁ〜♪」 【柔紀】「あなた、もしかして(ピー)な人?」 【璃紅】「先生でも発言に注意しないと、とんでもないもの召喚しちゃう んだからねぇぇー」 【柔紀】「はぁ?誰か、救急車呼んでくれないかしら」 【璃紅】「そこまで言うなら、召喚しちゃうからぁ〜」 【才蔵】「先生っ!璃紅は本当に洒落じゃすまないものを召喚するんです〜 言葉の訂正をぉぉーー!訂正をお願いしますっ」 【柔紀】「な・何だか知らないが、て・訂正ね?ご・ごめんなさい、先生 の方が言い過ぎたわ..」 【璃紅】「んも〜、先生ったらイジワルなんだから。もうすぐで凄いもの 呼んじゃうところだったんだからぁ〜♪」 【才蔵】「先生、ありがとうございますっ!先生のおかげで地球は、いや 宇宙は救われましたぁぁ〜」 【柔紀】「よく分からないけど..これで良かったのね..」  宇宙が救われるって..璃紅さんは何を呼ぼうとしていたのよ..  これほどの強烈なキャラに誰が勝てるっていうの?いやっ、1人いた。 【壱郷】「私を呼びましたね。走ってきました壱郷です」 【麻希】(ついに満を持しての登場だわ。壱郷さんなら勝てるかも..) 【璃紅】「・・・・・・・」【壱郷】「・・・・・・・」 【麻希】ごくりっ(何、このピリピリと張り詰めた空気は..) 【壱郷】「壱郷です..」 【璃紅】「わかってます。会長」「「「か・会長〜〜!!」」」 【壱郷】「はい、会長だった壱郷です..」 【内川】「な・何よっ!?この女、1号の仲間なのぉぉ〜」 【才蔵】「いや..正確には同好会の会長だ。かくいう俺も無理やり入会 させられた」 【美紗里】「同好会って..いつ作ったのよ」 【壱郷】「お告げにより千年前に作りました。ちなみに999年近く活動は一 身上の都合により休載しており、4月になってから連載再開しました」 【凛】「それを言うなら休止じゃねーのか?休載って何だ?」 【新・蘭】「あうあうっ、あうっ」 【悠子】「話違うけど、蘭ちゃんそろそろ戻した方が..」 【美紗里】「蘭のことよりも同好会って何の同好会よ」 【壱郷】「不可思議研究同好会です。略してフカケンです。同好会室はか ってフカケンと呼ばれて人気でありながらも止む無く廃止になったフカひ れ研究同好会から受け継がれました」 【凛】「フカひれ研究同好会って何だ..そっちの方が気になる」 【壱郷】「フカひれを食用以外に流用できないかと立ち上げた同好会で、 具体的な施策としては・・・」 【凛】「いや、説明しなくていい..何か聞いたら疲れそうだから」 【壱郷】「そうですか..それは残念ですので走ってきます..」 【璃紅】「けど、会長のクラスだったとは驚きです〜。ここでの友達作り はやめることにしますね〜」 【才蔵】「ほっ、良かった。これ以上、学級閉鎖を作るわけにはいかなか ったからな。良かった、よかったよ〜」 【麻希】(何か今、とんでもない言葉をさらりと言いましたがぁぁぁーー)  何がともあれ、この後は素直に自分の帰っていった璃紅さんだけど、後 日3組が学級閉鎖になったらしい。  もちろん、表向きの理由は集団食中毒ということだ。


【人物紹介】D
新宮 沙智菜(しんみや さちな)出席番号:09
 出番があまり本編の主人公。麻希同様、普通の女子であるが正義感が人
1倍強い。18禁の方では露出性癖を活かして、あちこちで危険な露出行
為を繰り返してインパクトを見せている。
 意中の人は近所に住んでいた周兄さん。本人は気づいていないが他クラ
ス男子からの人気は高い。
 ただ、自クラスの男子からは、ほとんど人気がない。
(男子たちのハートを独占している女子がいるため)

<おまけ>
【璃紅】ガラッ!「1年生になったらぁ〜♪、1年生になったらぁぁ〜♪
友達千人作るんだぁぁぁーー。2組のみなさん、こんにちはぁぁぁぁぁ〜」
「ぱぉぉぉぉーーーんんんっ!」「がおぉぉぉぉーーー!」
【津栖紀】「みんな、静かにしなさーい。あっ、6組の方ですね。これは
決して校則違反じゃないですよ。学校に犬・猫・鳥は持ち込むなと書いて
いますけど、この子たちは小象と虎ですから」
【璃紅】「・・・えっと、失礼しましたぁぁ〜」ピシャンッ!
【荷剛】「おいっ、津栖紀。6組の奴が驚いて帰ってしまったじゃないか!
小象と虎はやりすぎだろ!」
【リー】「あははははははっ、いいではないかぁ〜。ほら、みんな極上肉
まんを投げるのダー。ちゃんと口を開けて食べるのダー」
【蘭】ぱくっ、ぱくっ「はふはふぅっ、もっとぷりーずぅー」
【(学年1の秀才女子)論愛】「蘭っ!恥だから帰れっ!」

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