「あちちな♪みんな」プロローグ


「こほんこほん..こほっ」「姫様っ、大丈夫ですか」 「心配は無用ですわ..こほっ。わらわは平気じゃ」「姫様..」  咳をつづける少女の周りを大勢の黒服のボディガードが囲んでいる異様 な光景。  実はこの少女は超富豪の1人娘であり、数億の買い物を飴玉を買うよう な感じで買ってしまうことが出来るお嬢様なのだ。    そのせいか周りからは姫と呼ばれており、今は下々の生活を体験すると いうことで、数ヶ月間だけ、地元の中学に通っていた。  ちなみに容姿の方は資産家の令嬢に相応しい美貌を兼ねそろえ、才女で もあるので、まさに姫と呼ぶに値する少女であろう。  ただ、こんな万能少女にも大きな1つの問題があり、そのせいで彼女の 髪は中学生というのに赤髪混じりの白髪となっている。  実は原因不明の念動発火の体質があり、この異能力のせいで人と付き合 うことが出来ない深い傷を負っていた。  何せ発火能力をコントロールできないため、感情が昂ぶると全身から炎 が出る暴走を起こすからだ。  常に咳が出るのも発火能力が原因のようであり、このままだと自らの炎 の力で自分を滅ぼしてしまうかも知れない薄幸の姫となっていた。 「こほっ。わらわは、この先どうなるのかえ。高校とやらに通いたかった が、それも夢・幻となるのじゃろうな〜」 「姫様..おいたわしゅう御座います」 「こほこほっ。医者はこの力を適度に発散すれば良いといったが、街中で 炎を出すわけにはいかぬかえ」「そうですな..」 「こほっ。悲しいのぉ〜。この調子じゃわらわは恋の1つも出来そうにな いじゃろうな」「・・・・・おいたわしゅう御座います」 「まあよい。これも運命だと想って諦めておる。中学とやらに数ヶ月通わ せてもらっただけで満足じゃ」「姫様..」  実は来週には中学校の卒業式が迫っており、お嬢様の中学生活は終わろ うとしていた。  もちろん、高校には進学するつもりはなく、家庭教師をつけて勉強を続 けるようであった。  しかし..このお嬢様にすごい転機が訪れようとは、この時誰も思いも しなかったであろう。


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