プロローグ


 百合谷 桂(ゆりたに けい)  清純アイドルとして最近デビューした22歳のアイドル。  何とあのハーバード大学を卒業している才女アイドルであり、外見はス レンダーでグラマラスなボディーを持つモデル顔負けの体型の持ち主。  TVではよくコメンターやクイズの出演者として名が知られてるアイド ルであったが裏表が激しいアイドルとしても有名なワガママアイドルであ った。  そんな桂が一番毛嫌いにしているのは頭の悪い女である。  特にお色気だけで売っている女子タレントは最も毛嫌いする部類に入っ ていたのだ。  先日もセクシーさだけを売りにしていたグラビアアイドルをトーク番組 でこてんぱんにして泣かしてしまい大きな反響を呼んだ。  頭の回転も早く、口も達者な桂に敵うアイドルなど、なかなか居ないの である。 (ふん、いい気味だわ。何が手ブラよ。馬鹿じゃないの。所詮は落ち目に なったら脱ぐしか方法はないんでしょうね。)  グラビアアイドルを泣かしたことに何の罪悪感も沸かない桂。  世間やグラビアアイドルのファンからは、かなり抗議がきたのだが桂は 全然、反省する気がなかった。  だが、決して桂は昔からこんな感じの悪い女性ではない。  ハーバード大学に入る前までは、評判のいい明るい子であった。  ただ、異常なほどの教育熱心な両親の育てられた事が桂の心を少しずつ 狂わしてきたのだ。  名門中学・名門高校、そしてハーバード大学と勉強一筋で育てられてい くうちに両親の敷いたレールに息苦しくなってきた桂。  そして、徐々に桂の中に両親に対する反抗心が芽生え始め、その反抗心 からアイドルという道を選んだのだが正直ここまで売れるとは思っていな かったのである。  両親の猛反対を押し切ってアイドルになったことにより、少しは両親に 対して反抗心を見せることが出来、桂の心はちょっとずつだが元に戻って いく。  新人当時の桂は明るくて今の様な悪い評判はなく、お色気に対しても必 要ならばやってもいいと無名の頃に映画で1度だけ脱いだ経験がある。  女囚人Bという役で他の女囚人と一緒に裸で横並びするシーンだが、堂 々とした演技で魅力的な存在感を示していた。(今では百合谷 桂のお宝 シーンとして重宝されている)  いろいろと頑張ったせいか、気がつくと国民的な才女アイドルとして有 名になった。  が、それは桂にとって不幸の始まりとなり、いつの間にか猛反対してい た両親が自分を応援している事を知ってしまう。  実は両親が桂に求めていたものは女政治家であって、この知名度が得策 だとわかると途端に手の平を返してきたのであった。  この事に一番、腹が立ったのは桂であった。  両親を見返すつもりが逆に思惑通りされてしまった事となり、桂の心は 更にやさぐれていったのである。  そして桂は、そのうさをはらすために自分より劣る人間や下劣な行為を やってる者を攻撃することで解消するというとんでもない行動をとること になる。  結局、桂も厳格な両親によって厳格さを植え付けられており、それを汚 すものが気に入らなくなってきたのであった。  そんな桂に今、とんでもない事がふりかかってこようとは本人も思って はいないだろう。  それも自分が先日泣かしたグラビアアイドルが原因であり自分のした事 が自分に帰ってきようとしていた。  そう、桂を陥れようとあるタレントが動き始めてしまったのだ。


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