プロローグ(挿絵:ぺでぃぐりーちゃむさん)


※時々CGと文字が重なる場合がありますので、その時は1回再読み込みしますと直ります。

 光野 衣愛代(こうの いあよ)。  かってこの名を知らないものがいないほど有名だった清純派アイドル。  芸能界で売れ始めたのは小5からであり、そのかわいい童顔と美声が世 間に受け、そこから3年間はまさにトップアイドルの道を歩いてきた。  しかし中3あたりから、新手の沖縄少女や美貌の小学生ユニット等の自 分に似たアイドルが出始めると人気が落ち始めていってしまう。  理由としては成長期に入った衣愛代の身体がどんどん成長してしまった 為に今までのポジションが合わなくなったからである。  さらに、身体の成長とは反対に幼き童顔と美声は大して変わらなかった せいでバランスの悪い容姿になってしまったのだ。

自分の部屋にある全身鏡に裸を映し
て大きくため息を吐く衣愛代。
「私..そんなにバランス悪くなっ
てしまったの?」
この頃は日課の様に成長してしまっ
た自分の身体を見て、いつも悩むよ
ようになっていた。
いや、正直な話、今でも衣愛代の顔
も身体もトップアイドル顔負けのも
のを十分、持っている。
おそらく新人アイドルとして出てく
れば、即人気アイドルになるのは間
違いないだろう。

要は今までの清純美少女のイメージ
が、強すぎたせいでの人気落ちで
あった。
何せ「純真少女天使」と言われる程、
幼き清純美少女の身体は今や、Cカ
ップの胸が大きく目立つ女の子に
なってしまったから、視聴者に変な
違和感を与えてしまったのであろう。

 しかし、実際は清純美少女に相応しい美乳の持ち主となっているので、 実に勿体ない話かもしれない。  だが、ここまで昔のイメージが忘れられないのには大きな要因があった。  それは、衣愛代自身が高校1年となってる今も大手CMの幾つかが商品 の売れ行きを落としたくない理由で当時の姿をそのままで使っていたのだ。  そんな大手CMとの違和感が広がる内に、かってレギュラー12本と言 う過密状態も今では3ヶ月に1本のマイナー出演となってしまう。  一時は引退も考えたが高1で引退と言うのも早すぎて情けないし、その 上、高校はアイドル専門の所であったので、やめる事も出来なかった。  また本人も再起を狙っており、少々趣旨がずれた番組でも出てもいいと 言う決意をし始めてきたのである。  そう、そんな時期に偶然にも業界でやり手の敏腕マネージャーが衣愛代 に付くことになったのであった。  この敏腕マネージャー作山はかって落ち目だったアイドルを数年で紅白 まで出した実績がある。  ただし、同時にいろいろ悪い噂も聞くが、ここまで有名になるのなら、 多少のそういう噂も仕方ないと受け入れるしかなかった。  そんな作山が衣愛代の復帰の第1段の仕事を取ってくるのだが、これが 今後の衣愛代を大きく変えていくとは本人は思っていないであろう。


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