第2話「落し物プレイは危険なのです」


「ニアえも〜ん」  夕暮れ前、玄関の方から気が抜けるような声が響いた。  仁亜は深夜からぶっ通ししていたネトゲのギルドイベントを終えたとこ だった。ドロップしたレアアイテムをにへら顔しながら眺めていたときに 場をぶち壊す声が耳に入ってきたのだ。 「ニアえも〜ん、助けてぇ〜」  声の主は姉の譜美で間違いなく、ふざけて言っているのだろうか?と、 少しとぼけることにした。 「ニアえも〜んったらぁぁ〜、ねぇ、返事してぇぇ」 「・・・勘弁して欲しいわ..これは冗談でやってるのよね?」  いや、そうあって欲しいと願う仁亜だった。そろそろ寝たいのだ。 「・・・もう夕方なんだ。さて、どうしようか..」  仁亜は姉と違って虚弱体質で、無理をするとすぐに身体を壊してしまう。 ネトゲは楽しいけど、次のイベントに向けて睡眠もしっかり取りたい。  だから、面倒ごとはさっさと片付けようとドアの外で「ニアえも〜ん」 と騒ぐ姉の譜美と話すのを決めた。  ガチャ。「ニアえも〜ん、何かお助け道具を出してよぉ〜」 「・・・・・・」仁亜の視線の先には壁が見える。譜美の声がするのにドアの先 にある壁が視界に入る。 「ニアえも〜ん」  仁亜は先に天井を見た。そして、「はあああああ〜」と溜息を吐いてか ら足元を覗いた。 「・・・それは、何かのドッキリかしら?私、眠いんだけど」 「またネトゲやってたの?そんなことより一大事だよぉぉ〜」  生首を持った両腕の姿が見えた。両足と制服と鞄が回収ネット袋に詰め られて運ばれていて、明らかに足りない部分があるのが見てわかる。まだ 外は明るいよね。姉はどこからこの姿で帰ってきたのか?いろいろツッコ ミたいことはあるんだけど、まずは一息つかせてとホットココアをごくご くと一気に飲み干してから「要点だけ言って頂戴」と仁亜は譜美に聞いた。 「落し物プレイやったら盗まれた。OK?」 「・・・頭が痛いわ」  仁亜はがっくりとうなだれた。今の気分は丁度キックポジションにある 能天気な譜美の頭部を蹴り飛ばしくてたまらない。蹴りたい衝動を抑えき れず、仁亜はがああああ〜と叫びながら両手でぐしゃぐしゃと髪をかき回 した。 「ウフッ」ピコンッ!  譜美は何かを思いつき、両腕から離れてゴロゴロと仁亜の真下へ移動し た。上だけしか着ていないダブダブのピンクパジャマの仁亜の下半身を下 から覗くためだった。 「相変わらず穿いてないのね。それも、お毛々も生えてないのね。うひっ」  ブチンッ!!「よく考えたら、丁度いいクッションがあったわ」 「えっ?それってまさか」「そのまさかよ」  能天気な姉の制裁にと仁亜は頭部をクッション代わりにして、むぎゅと 座った。本来なら窒息間際の状況で苦しいはずだ。 「少しは懲りた?譜美おねえ」「・・・・・・」 「譜美おねえ?」「・・・・・・ウフッ」  何かに気づいた譜美の両目がピキーンと妖しく光る。息が出来ないよう に口を塞ぐように座ったのがアザとなった。 「いっただきまーす」「えっ?」 「れろれろれろれろぉぉぉ〜!」 「ぴゃぁぁっ!ふえああぁ、あぅ、ああぁぁ〜」  譜美は舌を思い切り仁亜のおま●この中に入れてぺろぺろしてきた。 「こ、こ、このぉぉ〜、ばかおねえええぇぇ〜!!!」  舌を膣内に入れられ、仁亜は怒りながらも全身に電撃のような快感が駆 け巡る。譜美は舌を巧みに動かしながら、仁亜が感じるところを舐めまわ す。 「うっへへ〜、ここかなぁ〜。それともこっちかなぁ〜」レロレロォ〜。 「や、やめろぉぉ〜!ばかおねえええっ〜、はぅっ、あ、ああぁっ〜」  仁亜が譜美の頭部を引き離そうと左右に腰を振ってきたが、身体が無い せいか頭ががっちりと股にくっついたままだ。 (うへへぇ〜、苦しいけど、何か癖になりそうっ。頭部だけになれるソフ ビ娘しか出来ない股間責めよね。もっとちゅぱちゅぱしてあげようかなぁ)  一度食いついたら離れないすっぽんのように、譜美の頭部は仁亜の股間 から離れず、スキを見てビラビラを噛みかみしたり、天然パイパンの割れ 目をスジに沿って舐めたりと好き放題してきた。 「あ、あんっ、ああぁっ、あ、あっ、んんんんっ」 (ほらほら、イっちゃいなさいっ!れろれろれろれろぉぉ〜)  仁亜は身体をヒクヒクさせながら、何とか絶頂を阻止しようと近くで様 子をみていた譜美の右腕をガシッと掴み、涙目で睨みつけた! 「この馬鹿頭が..これ以上したら..分かってるでしょうねぇぇ〜」  ようやく、左腕と右腕が必死に譜美の頭部を引き離し、仁亜は絶頂寸前 のところで助かった。  その直後に譜美の頭部が仁亜の部屋のゴミ箱に捨てられたのは言うまで も無かった。 「実の姉をゴミ箱に捨てるなんてひどいぃぃ〜」 「実の妹をイかそうとする人に言われたくないわ」 「えええ〜〜、でも結構濡れてきたじゃん。私の口周りびしょびしょだよ」 「そんなら、もっと濡らしましょうかぁぁ〜」  仁亜は近くにあったラベルの剥がした黄金色のペットボトルをゴミ箱に 近づけてみせてきた。 「!!おおっ、それは伝説のボトラーって奴っすかぁぁ〜?」 「あんまり、ふざけると開けてこぼすわよ」 「・・・仁亜ちゃんのゴールデンシャワーっすか..カモォォォーーンン!」 「・・・・・・」「カモォォーン!ほら、ほら開けてあけて」 「やめる..これ以上、変な性癖目覚めさせたくないし..」「そんなぁ」 「それに、これはジンジャーエール。そこまで引きこもりじゃないわ」 「ちぇっ、期待してたのに〜」 「・・・譜美おねえ、もう落ち着いてるから変なことは勘弁してよね」  仁亜は苦笑いしながら、PCをいじり始めた。譜美にもしものことがあ った場合、一番動揺し、パニくってしまうのが分かっていた。前に譜美が ひざを擦り剥いた時に、早く消毒しようと慌てたせいで、階段を転げ落ち た事があった。  真剣な顔で胴体盗まれたなんて言われたら、血の気が引いて卒倒したか も知れない。そんな心配をかけない様に譜美なりに茶化してきたのだが、 妹のおま●こを舐めるのはどうかと仁亜は思う。 「まったく..この変態おねえ..ぷっ、あははは」「?仁亜ちゃん」    腹をかかえて仁亜が笑ってきた。譜美にはいろいろ文句を言いたかった が、こんなふざけ合うことが出来る日々が来るとは思わなかった。姉には 悪いが、ソフビ娘になって良かったと思っている。 「さてと、とりあえず、もう少し情報をくれないかしら?譜美おねえにも、 何か思い当たるから、そこまで安心できるんでしょ?」 「・・・さすがね。まあ、私もさすがにちゃんと考えて落し物プレイをやっ たんだからっ」 「でも、結果は盗まれたのよね?両腕は何をしていたの?」 「両足と私の頭を守ってもらったのよ。遠くから見て楽しんでいたから」 「?見てたって、じゃあ盗ったやつも知ってるの?」 「それは分からないわ。私が隠れたのは、一文字君が部屋から出てきたか ら、見つからないように身を隠したのよ。彼って、人の気配には鋭い人だ から..」 「一文字先輩か..相変わらずツルツル頭してんの?って言うか、高校で も年中剣道着着てんの?」「まあ、彼のトレードマークだからね。剣道部 のエースだし、風紀委員の特攻隊長だからね」 「・・・これで木刀でも持ち歩いてたら、どっかのキャラと丸かぶりね。レ モンパックをし始めないことを祈りたいわ」 「って言うか仁亜ちゃん..今時の中学生が何でそんなことを..」 「コホン、話を本題に戻すけど、要は落し物コーナーの近くに一文字先輩 の待機場所があったのね?」 「そういうことよ。誰かが無断に持ち去らないように風紀委員の待機場所 を作ってあるの。特に一文字君の目を盗んで持っていくのは無理だと思っ たからぁ〜」 「じゃ、一文字先輩に譜美おねえの落し物を伝えていたってこと?」 「うん、一文字君に「如何わしい落し物を回収したので、しばらくここに 置いていい?」って断わってから、こっそり置いたから..」 「なるほど..で、無くなったのに気づいたのは何時ごろ?」 「一文字君が部屋に戻ってから、少し間を置いて覗いたら無くなってた..」 「・・・えっと、部屋に戻った一文字先輩は?」 「帰ってた。あんまりも部屋が静かだったから、覗いてみたら居なかった」 「それって、一文字先輩が持ち帰ったんじゃ..」 「いやいやいや、それはないわ!仁亜ちゃんも知ってるでしょ。彼が女嫌 いの硬派なのを」 「まあ、年中紺の剣道着着て、時代錯誤の袴歩いてる奴が硬派じゃなかっ たら危険人物そのものだわ..それじゃ、例の恐怖症もそのまんまなの?」 「ええ、相変わらずの女体恐怖症よ。だから、この落し物プレイに適任だ ったのに..」 「まあ、変な奴が持ち去ってないのは確かね..それよりも、今のその姿 をどうするかか問題ね」 「そうなのよぉぉ〜。何とか見つからずに家まで帰れたけど、これじゃ晩 御飯も食べれないし、明日学校に行けないよぉぉ〜」 「こんな譜美おねえの姿、お母さんが見たら卒倒するわ..まあ、こんな こともあろうかと、あらかじめ作っておいたわ」  ジャジャーン。形状記憶合金エアスーツ制服Ver!  説明しよう!形状記憶合金エアスーツは胴体が無い場合、残りのパーツ で人体形成できるようにしたものであり、中身を空気にしたのは肌の弾力 を自然に見せるようにしたからである。尚、ボディラインは譜美に合わし てあるから違和感は全く無いのだ。 「補足だけど、スーツと両足のコントロールは全て両腕が行うから、譜美 おねえは頭を乗せるだけでOKだから」 「おおっ、ひとり二人羽織みたいなものね」「まあそんな感じね..」 (・・・それの本当の怖さは、エクセレントハンドシンドロームの性能をフ ルで出せるってことなんだけどね。胴体という重みが無くなってるから、 パワーやスピードが数倍近くなるってことなんだけど..まあいいか) 「・・・これ、スカート捲ったらホラーだね。両足はどうやって動かしてる の?」「電磁力みたいなものよ。スカートの中は足しかないから、捲れな いように気をつけてね」 「らじゃぁ〜!これで晩御飯も作れるわっ。仁亜ちゃんは出来るまで寝て ていいから」 「・・・そっか、今日は譜美おねえが当番の日か..危うく晩御飯にありつ けないとこだったわ..じゃあ、おやすみ」  そういうと仁亜はクッションに頭を突っ込み、1分も経たないうちに寝 息が聞こえてきた。 「さてと、私は晩御飯でも作りますかぁ〜。ありがと、仁亜ちゃん」  仁亜が寝てる間に譜美は晩御飯の準備を進めた。譜美の両親は共働きで 忙しいため、週の半分は譜美が晩御飯を作っていた。 (※仁亜は料理苦手のため、いつも食べるだけ)  料理が完成したところで、匂いにつられて腹を空かした仁亜が目をこす りながら起きてきた。 「・・・おはよ、譜美おねえ。あれ?お父さんとお母さんは?」 「残業で遅くなるって。だから、今日は先に食べてちょうだいだって」 「それは好都合ね。今みたいなボロを出しそうで怖かったから」  譜美は出来上がった料理を並べていたが、頭部だけはTVの前でゴール デン番組をゲラゲラ笑いながら視聴していた。 「譜美おねえ、先に食べるわよ。いただきまーす」 「ちょ、ちょっと、私の頭をつれてってぇ〜」  ぱくぱく「例の胴体の件だけど、早めに回収するからね。場所の特定は こっちですすめるから。まあ、一文字先輩が怪しいけどね..」  ぱくぱく「う〜ん、それにしても本当に一文字君が持ち去ったのかな? あっ、そのイワシの煮付け、小骨全部取っちゃって!」 「ぶっ!」仁亜の目の前で精密機械の様に譜美の右腕が小骨だけを1本1本、 高速に抜き取っていく。明らかに人の動きではないのは確かであった。 「譜美おねえっ!お父さんとお母さんが残業で居ないからって、そういう 食べ方は禁止よ、禁止っ!」「ええぇぇっ〜。小骨、私駄目なんだもんっ」 「まったくぅ〜!ん?あれ、皿が少なくない?」 「あっ、それなら洗い終わってるわよ。あらっ、ジュースありがと」  いつの間にか譜美の口元にはジュースがあり、食べ終わった空き皿は、 綺麗に洗われて水切りカゴに納まっていた。 (胴体が無いと、こんなに速いの?私って鬼に金棒みたいのを与えたって わけ..だからって、超精密すぎるわよぉぉぉ〜) 「ぴゃぁぁっ〜!はぅぅんんっ!」「こ、今度は何なのよっ、おねえっ!」 「あ、あ、あ..あらて..」「あらて?」「あ、洗ってるのぉぉぉ〜」 「皿を?」「違うぅっ!私の身体がぁぁ〜、洗われてるのぉぉ〜」 「そっか、感覚が伝わる範囲に身体があるってことね..で、どんな風に」 「背後から..おっぱいを揉んでる?ううん、こね回してるよぉぉ〜!」 「ひゃぅっ!」「何かされた?」「分離されたぁぁ〜。ひゃぁぁっ、裏側 をゴシゴシされてるぅぅ〜。おっぱいの裏側はらめぇぇぇ〜!!」 「ごくりっ、ソフビ娘ならではの刺激方法よね..で、おっぱいの方は」 「強く..絞り上げるように強く揉んでるぅぅ〜。私、乳牛じゃないぃっ」 「要は..おっぱいの感触を試そうとしたら、あまりの柔らかさに驚いて 洗うほうに専念したってことね。こりゃ、相当ウブな男の仕業ね」 「れ、冷静に..分析するなぁぁぁ〜。はぅんっ、今度は下半身をゴシゴ シされてるぅぅ〜。ふぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」「何があったの?」 「う、う、う、う、うら、うら..」「うらら〜、うらら〜、べっかんこ?」 「違うぅぅぅっ!裏返しにされたぁぁぁ〜。私の下半身がぁぁぁ〜!」 「うわぁぁっ、グロッ」「そういう問題じゃないぃぃ〜!!」 「って言うか、挿れてこないんだね」「挿れられてたまるかぁぁ〜!まだ、 処女なんだからぁぁ〜」 「それも要は、生々しい譜美おねえのおま●こを凝視できなくなったから、 裏返しにしたんじゃない?ウブだ」「生々しいって言うなぁぁ〜」 「ひゃっ!ひゃっ!あ、あ、当たってる..」「何が?」 「と、時々、背中に..棒が..」「チンチン?」 「チンチンっていうなぁぁ〜!固い棒っっ!」「反り勃ったチンチン?」 「反り勃つっていうなぁぁ〜!はあはあ、はあ..」「どうしたの?」 「拭いてる..」「抜いてる?」「拭・い・て・るっ!」「はいはい」 「嘘っ!棒を突っ込んで庭に干してるぅ〜」「おま●こ?」 「違うっ、ソフビの空洞に棒を入れてきたぁ〜」「野外露出?」 「これは..癖になりそう..私の身体が..物干し竿で干されてるなん て..きっと道行く人に見られまくっているんだわぁぁ〜」 「・・・それはないと思うけど、まあこれで一文字先輩が確定ってことで、 明日の早朝に回収いくわよ、譜美おねえ」 「早朝?」「ええ、登校する前に回収するわ」  胴体は早朝に回収することとなり、それまでは新たに目覚めた物干し竿 プレイを堪能していた譜美であった。 <補足>  一文字 居右衛門(いちもんじ いえもん)高校1年生。  剣道部のエースで風紀委員の特攻隊長。剣道着を年中着ている硬派男子。  ツルツル頭が特徴だが、顔が歌舞伎俳優並みの美形なので、女子人気は 高い。モテるけど女嫌いな上に女体恐怖症でもある。  表では清楚で品行方正な優等生ぶりを見せてる譜美のエロ本性を知って いる1人でもある。