第1話「箱詰め露出はソフビ娘の特権です」


「はぁぁぁぁぁ〜、やっぱりぃぃ〜」  譜美はスタンドミラーに映る自分の裸体を見て大きく溜息を吐いた。  身体のあちこちに継ぎ目みたいのがあり、それはどう見てもソフビ人形 そのものだった。 「これ..誰かの悪戯で特殊メイクだったりして〜。大体、こんなの取れ るわけないじゃん!ほら、引っ張っても..」すぽんっ!  引っ張った左腕が見事に抜けた。頭をごつんと鏡にぶつけて、どうした ものかと譜美は深い溜息を吐いた。 「現実なんだ..現実なんだぁぁぁ〜!ど、どうしよぉぉ〜」  超ポジティブ思考の譜美でも、こればかりは落ち込んでしまう。こんな ことなら、あのままゴミ箱に入って始末されても良かったと駄目な考えも してしまう。 「私がいったい何をしたっていうのよぉぉ〜。こんな酷い目に遭うなんて」  目から溢れる涙が止まらない。この先、どうしていいか分からなくなっ た譜美にそっと缶ジュースが差し出された。  どうやら、左腕が勝手に冷蔵庫に行って譜美が大好きな100%果汁の オレンジジュースを持ってきたらしい。  それを受け取った譜美はゴキュゴキュと豪快に飲み干した。 「ぷはぁ〜、美味しいっ!やっぱオレンジジュースは果汁100%よね!」  少し気が晴れたようであり、左腕に追加の1本を要求した。 「冷蔵庫の奥に天然100%あるから、それもお願いっ」  左腕が器用にラジャーと合図して急いで追加のオレンジジュースを持っ てきた。  ごきゅ!ごきゅ!ごきゅ!「はぅんんんんっ〜!天然100%最高っ」  満面の笑みを見せた譜美に左腕がくじけんなとサインを送る。 「くすっ、ありがと」  いつの間にか譜美の涙は止まっていた。と同時に、このソフビ化状況を 楽観的な見方で出来るようになってきた。 「考えてみたら、これって貴重な体験よね?現在科学では絶対に実現不可 能なことを味わっているんだから、しばらく様子見してもいいのかも」  天井をぼーとしながら頭の中を整理する中、左腕と右腕が宿題やら、明 日の学校の準備やらを進めている。 「改めてみると、本当に私の腕って優秀なのね..う〜ん、こうして落ち 着くと、またちょっとバラバラになりたいのかも..」 (あ〜ん、何か別の性癖が目覚めてきているのかもぉぉ〜)  金網のゴミ箱に放りこまれていた感覚が少しずつ譜美の中で快感に変わ っていく。  そして禁断の露出行為を開始する。両腕に頼んで全ての部品をばらして もらい頭を猫のようにごろごろところがして猟奇的なプレイをし始めた。 「うっひゃぁぁぁぁ〜、これを味わったらどんな超絶ジェットコースター もつまらなくなりそぉぉぉ〜」ごろごろごろごろぉぉ〜。  その後は秘部に頭部を近づけての倒錯プレイに嵌る譜美。 「うへぇ〜。こうして間近で見るとしゃぶりたくなりますね〜」  自分のCカップの美乳に感心した譜美の頭部が思い切りおっぱいダイブ してぷるんぷるんな弾力を愉しんだ。 「ちきしょぉ〜、こんなに私のおっぱいが柔らかいなんて。顔で味わうこ の感触がたまりませんなぁ〜。えへへっ、ぷよんぷよんだよぉ〜。すっご く気持ちいいぃ」  そりゃ、刺激しているおっぱいも譜美のものなので、そこで受けた快感 も頭部に送り込まれるからだ。  譜美は器用に頭を押し付けて、ぐにゅぐにゅと強く揉んでいく。揉んで いる感触と揉まれている感触が同時に襲ってくる。これはソフビ化になっ たものにしか味わえない異様な快感であろう。 「うひひっ〜、私ってこんなに乳首を固く立たせちゃって〜。いったい、 何を期待しているのかしらん。どーれ、この私が噛みかみしてお仕置きし ちゃおうかしらぁ〜」  ピンクの乳首に飛びつこうとジャンプした譜美だが、突然髪の毛を引っ 張られ何者かに持ち上げられた。  ひょいっ。「・・・やっぱ、生きてるんだ..」中学生ぐらいの女子が半 目でじっと譜美の頭部を見つめてきた。 「あっ!え、えっとぉぉ〜。うるさかったかしら..仁亜ちゃん..」 「ふぅぅ〜、前から異様な性癖があるのは感じてたけど..ここまで悪化 してたんだね..譜美おねえ..」  部屋に広がるバラバラの実姉の状態に眉ひとつ動かずに眠たそうに答え る御園 仁亜(みその にあ)。  活発的な姉の譜美と違い、ずっと引きこもり生活を続けてる中学3年生 の女子であり、目の下の隈と眠たそうな半目が特徴だ。ダブダブのピンク パジャマを好んで着ていて学校に行かず、ネトゲ三昧の日々を過ごしてい る。一見、駄目な人に見えるが、IQは200以上であり、MENSA(メ ンサ)の入会テストに一発合格している超天才少女なのだ。 「えっと、譜美おねえ。とりあえず要点だけ言って頂戴」 「ピンクずくめの男たちに謎の薬を飲まされた。OK?」 「・・・なるほど、合点がいったわ」「おおおおっ、さすが、我が妹っ!」 「とりあえず、今は..」「今は?」 「このamazonの箱に詰める」「何を?」 「・・・・・・」「えっと、気のせいかなぁ〜。実の妹が姉に対してすごいこと してますよぉ〜」  仁亜が黙々と部屋に散らばった姉のパーツを回収して箱に詰めていった。 「・・・ガムテープは..どこかしら?」「こらこらこら〜、こんなことし たら..こんなことしたらぁぁ〜」 「こんなことしたら?」「・・・感じちゃうかも..いや、考えたら結構気 持ちいいかもぉぉぉ〜」 「譜美おねえ、今の状況..相当猟奇的なんですか..」 「ソフビ人形なのでオッケェェェ〜!」 「バラバラで箱詰めなんですか..」 「ソフビ人形なのでノープロブレム〜!」 「グロいと思わないの?」 「ソフビ人形なのでエロいですっ!」  ブチンッ!何かか切れたような音がしたと思ったら、仁亜がamazonの箱 をひっくり返しで、すごい勢いで譜美を元に戻していった。 「はぁはぁはぁ〜、この変態おねえ..私がどれだけ心配していたのを.. 知らないで..」「心配?」 「エクセレントハンドシンドローム..変態おねえはポジティブに捉えて いるけれど、それはとっても危険なのよっ!最近は変な露出行為を考えた し、あんなこと人に出来ると思うのっ?」 「もしかして、自分の身体の一部を置物のように置く露出行為のこと?バ カね、あれはただの妄想よ。妄想なんだから」 「それは妄想じゃないわ..願望よ。譜美おねえには露出癖に加えて、そ ういう異様な性癖も潜んでいるのよ」「まっさかぁぁぁ〜」 「いつエクセレントハンドシンドロームが善意の暴走を起こさないように 見張っていたんだけど..まさか、こんな馬鹿げた解決策があったなんて」  ぶつぶつぶつぶつ..「おーい、仁亜ちゃん。聞こえますかぁぁ〜」 「・・・聞こえてるわよ。ピンクずくめの男たちが何者かは分からないけど、 ソフビ化現象はこの日本でも幾つか症例があるはずよ」 「マジっすか!それじゃ、露出をしていた彼女もソフビ娘ってことだった のね」 「ただの都市伝説だと思ってたけど、こうもあっさりと現在科学を否定さ れた気分だわ..いや、私にとってはそれが面白いけど..」ブツブツ  目がパッチリと開いた仁亜がブツブツ言いながら立ち去ろうとしていた。 「譜美おねえ、このニアが変態おねえの為に7つ道具を作っておくわ。当 分はそれで遊んでおいて頂戴」「よく分からないけど、了解」 「それじゃ、私は部屋に戻るから」「!ちょっと待って」 「何?」「箱詰めは?」 「よく聞こえなかったわ」「箱詰めの続きは?」 「聞こえません!」「箱詰めしてよぉ〜」 「本当にどっかに送りますよ」「それもいいかもぉ〜」 「どこの世界に実の妹にグロいこと頼む姉がいるんですかっ!」 「いやいやいや、ソフビ娘なのでオッケェェェ〜!」 「・・・接着剤でつけますよ」「ご、ごめんなさいぃぃ」 (それにしても..ソフビ化現象って、外したパーツは普通動くことは無 いけど、おねえの場合だけエクセレントハンドシンドロームの特性で両腕 は本人の意思に関係なく動けるってことか..ソフビ化した連中の意図は 分からないけど、まさかこんなレアケースがあるとは思いもしないでしょ うね..) 「う〜ん、まさか私にこんな性癖があったとは..仁亜ちゃんは知ってた ってことなのかな?」 (それにしても..この箱詰めって..意外と癖になりそう)ごくりっ。  どうやら譜美にとってのソフビ娘は「渡りに船」だったらしい。今まで 出来なかった露出行為をこれで思い切り満喫できると確信したからだ。  翌日の放課後、譜美はさっそく行動を起こした。  譜美はこれでも学校では品行方正な優等生ということで風紀副委員長と して学校の風紀を取り締まっていた。  生徒から没収した違反物を管理する部屋に入った譜美は、お目当ての物 を発見した。 「あった〜!これをこれっ!アニメ研究部が勝手に作った等身大フィギュ ア!ふっふふ〜、こいつを上手く使えばいろいろ楽しめそう」  箱の中に入ってたのは出来の悪い譜美の等身大フィギュアがばらされて 詰められており、これからとんでもない企みをするみたいだ。  譜美は服を脱ぎ、裸になると慣れた手つきで左腕をすぽんっと外し、そ の左腕に指示して右腕も外してきた。 「それじゃ頼んだわよ。私の両腕ちゃん!」  自由意志で動く両腕が譜美の身体を次々にバラバラにして、フィギュア が入ってた箱の中身を入れ替えていく。 (これよっ、これっ!はぅんっ、すごく猟奇なのは分かってるけど、快感 は半端ないのよぉぉぉ〜!)  埃のかぶった小汚い箱に、裸の状態でバラバラに箱詰めにされてしまっ た譜美。  これは明らかに猟奇!グロい状況だといえるのに譜美の全身の疼きは止 まらない。 (あ、あぁぁっ、こんなに無様な扱いされてるのに..気持ちいいのっ)  きっと、今まで御園 譜美という少女はこの様な体験を味わったことが ないのだろう。  小さい頃から純真無垢の人気者として過ごしており、誰からも愛される 女性として今に至っているのだ。今では学年成績トップ、陸上部のエース、 風紀副委員長という文武両道、品行方正な万能優等生として生徒から慕わ れている。たとえ、どんな性癖があっても決して表に出すことが出来ない 立場であることを譜美自身が良く知っている。  そもそも頭が良いのも運動神経が良いのも、ほとんどが嘘でエクセレン トハンドシンドロームによるものだった。  本当は顔とスタイルだけが良いだけの凡人であり、露出癖がある変態な のだ。  妹の仁亜が不安視していたのは、いつこのギャップが崩れてしまうかで あって、その時こそ最悪の善意の暴走が起こるのであろう。  けど今はソフビ化現象によって、偽りの自分から解放されつつあった。    今までは露出行為ができないストレスがどんどん溜まっており、心のど こかでは優秀な手と離れたい願いが膨らんで妄想として表に出てきたのか も知れない。  まさか、その妄想がこんな形で具現化されるとは思いもしなかった。 (こ、これから..男子たちに、私の身体が悪戯されるのね、されるのね!)  分離した両腕によってアニメ研究部に箱詰めバラバラ状態で放置された 譜美。部室は汗臭いオタク臭が充満している。箱詰めされてる息苦しさと 混じりあうと何か甘美な匂いに感じてくる。  これから部室にやってくるアニメ部の男子に好き放題弄くりまわされる と思っただけで譜美は身悶えてしまう。 (見た目はただのソフビ人形だから、いろいろしてきそう。でも、さすが に処女だから、大人のグッツ扱いは絶対やめて欲しいわ。まあ、その辺り は私の両腕が目を光らせていると思うけど..さて、そろそろ人形のフリ をしないとね!)  譜美が準備を終えたところで丁度、アニメ部の男子が部活にやってきた。 「!うおっ、見ろよ。あれって没収されたフィギュアじゃねーか?」 「誰かが取り返してくれたのか?まあ、どっちにしろ中を確認しよーぜ」  男子たちが箱を開けて譜美のパーツをベタベタと触りだす。 (ひゃぁんんっ!)何とも言えない男子たちの雑な扱いに電撃のような刺 激が走った。 「ん?これソフビ人形じゃねーか?伊藤、お前作ったのフィギュアじゃ無 かったのか」「何言ってんだよ。俺が作ったのはソフビだぜ」 「へっ?」伊藤がどこからか聞こえる自分の声に驚いた。  パシュンッ!何かの発射音の後に伊藤が「ふにゃらぁ〜」と奇妙な踊り をしながら床に座り込んだ。 「おい、伊藤?大丈夫か」「ちょっと眠くなっただけさ、気にしないでく れ」「そ、そうか..」 (うそぉぉ〜。私の両腕ちゃん、こんな特技もできるようになったのぉ〜、 仁亜ちゃんったら、何てものを両腕ちゃんに渡しているのよぉぉ〜!)  どうやら、仁亜から受け取ったフリック入力式小型音声合成システム( 変声機能つき)と麻酔銃搭載ミサンガを早速使いこなしている様だ。  ともかく、譜美の両腕のフォローもあって、疑問が晴れたアニメ部の男 子はソフビ人形のパーツを弄り始めた。 「伊藤、お前天才か!このおっぱいリアルすぎるぜ。揉み心地も最高だぜ」 (はぅぅんん〜!誰にも揉まれたことが無かった私のおっぱいが思い切り 揉まれてるよぉぉ〜。乳首まで引っ張られてるぅぅ〜) 「しっかし、このおま●この仕組み、どうなってるんだ?中は空洞なのに、 表からは奥行きがあるぜ!陰唇までリアルに再現してやがる」  男子の腕がずっぽりと足の付け根の空洞から侵入し、おま●この裏側を 撫でてくる。前と後ろから弄られる快感は、ソフビ娘でなければ味わえな い至極の刺激だろう。 「すげぇ〜、処女膜まで再現してるぞ。本物の譜美ちゃんのおま●こを見 てるようだ」 (あ、あぁぁっ!それ、本物ですぅ〜。正真正銘の御園 譜美のおま●こ なんですぅぅ〜!) 「お、おい、弄るのはこれぐらいにして、そろそろ組み立てないか?」 「そ、そうだな..こんな場面を風紀委員に見つかったら退学だぜ」  アニメ部の男子たちがようやくバラバラになった譜美を組み立て始めた。 「ん?腕はこんなとこに転がってたのか?出したときに飛び出たのか..」  ごく自然に譜美の両腕がごろごろと転がってアニメ部の男子たちに見つ けてもらう。  そして、全てのパーツを組み立てると一斉にアニメ部の男子たちの腰が 砕ける。 「!!こ、これ..ソフビだよな?何か本物の譜美ちゃんに見えないか」 「でも継ぎ目があるし..いや、継ぎ目が無かったら譜美ちゃんだよな?」 「何か今でも動き出しそうじゃないか?ソフビ人形って、こんなにリアル だったのか?」 「俺たち、マジで裸の譜美ちゃんを見てるようだ..すげぇぇよぉぉ〜」 (うああああ〜、何かとってもとってもやばいんですがぁぁぁ〜!!おま ●こは濡れてきてるし、このままじゃ声を出しそうだよぉぉ〜)  よく見るとアニメ部の男子たちの目つきがどんどんやばくなってくる。  もうソフビ娘だろうか、何だろうか構わない目つきだった。 (いやぁぁぁ〜、襲われるぅぅ〜!私の優秀な両腕ちゃん、何とかしてく ださいぃぃ〜) 「おい!お前ら、そんなことしてる場合じゃないぞ。遠くから足音が聞こ えてきたぞ。これは風紀委員の巡回じゃねーのか?」 「マジか、伊藤?」「こんなリアルな裸人形見つかったらヤベーぞ」 「落ち着け!さっさとばらして元の箱に入れれば大丈夫だ」 「なるほど!」「何か、今日の伊藤、冴えてるなっ」  譜美がチラリと右腕を見ると、こっそりとフリック入力式小型音声合成 システムを操作していた様だ。 (まさに言葉の通り、私の右腕は頼りになるわぁ〜)  こうして再び、身体を分解されて箱詰めされる譜美。そして、箱詰めが 終わるとアニメ部の男子たちは伊藤を残して退散していった。  まさか、この後で本当に風紀委員の巡回があって、アニメ部に置いてあ った箱を発見されるとは思いもしなかった。 「副委員長の報告通り、紛失した箱はこいつらが持ち出していたか..」 「ここで寝てる伊藤が首謀者っぽいですが、どうします?」 「いや、中身が中身だけに副委員長としては公にしたくないそうだ。こち らも没収物が無事に回収できればそれでいいっ」 「そうですね。罪を憎んで人を憎まず。副委員長はそう考えているのです ね。出来心のようなので警告標だけ置いて去りましょう」 (報告?両腕ちゃんって、すげぇ〜。そこまで算段をしてたのね..それ にやっぱ、箱詰めサイコォォォ〜!ああぁぁんんっ!)  ぎゅうぎゅうと箱に詰められた中で譜美の頭部は股間をに押し付けた形 で倒錯的なプレイを愉しんでいたのであった。 <補足>  御園 仁亜(みその にあ)中学3年生。  IQ200以上の引きこもり少女。ネトゲと漫画が大好きな女子中学生。  目の下の隈と半目が特徴でダブダブのピンクパジャマ(上だけ)を年中 着ている。(ここだけの話し、下着は一切着けてない)  則巻千兵衛を尊敬していて、多くの発明品を日々、作り出している。