エピローグ「その後..」


 裸のままで江丸の屋敷へ連れていかれた高桐さん。  当然、江丸の方はすっかり満足して屋敷へ帰り、高桐さんは長期出張の 名目でこれから江丸に調教を受けることになる。  会場の方はすっかり片づけが終わり、そこに残っていたのは川谷と真鍋 の2人しか居なかった。 「これが真相の全てよ。あなたの行為は全て無駄だったのよ。くじを当て て燃やしたものは全部にせものだし、当たりくじを引かせた私は江丸の所 で、徹底的に調教されたってわけ..結局は水の泡だったのよ」 「そっか..だから俺が何度も真相を聞いても答えなかったのか..俺の したことが全部裏目に出たって言えるわけないもんな..」 「そういうこと..さあ、全てを知ったんだから、今のあなたの感想を聞 かせてくれないかしら?」 「俺が間違ってたって言わせたいつもりか..優子」 「なっ..竜!まだ、そんなことを言えるつもりなの!あなたのやった事 は全部、無駄に終わったのよっ!!」 「悪いが、俺は今でも正しいと思ってるし、無駄だとも思ってない。大当 たりのビデオやアルバムがニセモノだったとしても関係ないさ」 「どういうことよっ!何で関係ないのよっ!」 「俺はお前を心の底から救いたい気持ちでいっぱいだった。江丸の方が何 枚も上手だったのを承知でもな..」 「・・・・・・」 「おそらく、お前は俺がしたことが無駄だと思わせたくないから、今の今 までずっと黙っていたんだろ..すまない、優子」 「竜..」 「俺は今でもお前の事を愛している。その気持ちはあの時から少しも変わ ってない。たとえ、お前が俺のことを恨んでいたとしても」 「そ・そんなこと言わないでよっ!今の私はあの時の私とは全然..違っ てるのよ..軽蔑してるんでしょ?」 「変わってないさ。お前はあの後、必死に耐えたから堕ちずにいたんだろ? お前の苦労は計り知れないが、今でも俺の目にはあの頃のお前が映ってい る」 「竜くん...」 「今ではどんな男を手玉に取れる営業部の実力NO.1のお前だが、俺の 気持ちは1つも変わっていない」 「女嫌いの川谷..あれからのあなたはそう呼ばれてたわね..必死に会 社で力をつけようと頑張って、今では重役の力を使っても異動させること も辞めさせる事もできない実力者になったなんてね。すごいよね」 「少しもすごくはないさ..俺はお前を救いたいために必死で頑張っただ けだからな。まだ救うことが出来ずにもがいているさ」 「まったく..あなたの一途なとこは変わってないのね..」 「優子、次は俺の問いに答えて欲しい。あの時のお前は俺のしたことにど う思っていたか..そして、それは無駄だったのか..」 「ふふ、馬鹿ね♪答えなくても分かってるでしょ?ここまで来れたのは、 あの時の竜くんのおかげ..確かに全て裏目に出たけど、少しも悔いるこ とはなかったわ。それだけ嬉しかったから」 「優子..」 「竜くん..本当に..こんなに変わった私でいいの?もう、あの頃の私 とは全然、違うのよ」 「優子、何度も言わせるなよ。お前は少しも変わっていない。俺と一緒に なって欲しい。こんなとこで言うのも何だが俺と結婚しよう。いや、結婚 してくれ!」 「!!・・・私もあなたも、今まで積み立てたものが全て失うわよ。それで もいいの?」 「俺はお前を救うために頑張っただけさ。少しも失うものはない。ようや く成就したんだ。ようやく..」 「まったく..こんな私のために出世コースを捨てるなんて馬鹿ね... まあ、私も後継者が出来たから身を引かせてもらうわ。お局なんて言われ たくないしね」 「後継者?」「ええ、彼女は私と同じように強くなって帰ってくるわ」 「そうかも知れないな。じゃあ、俺は源ちゃんが強くなることを期待する か」「そうね。高桐 菜耶と源堂 堅介、この2人は私たち以上になるわ」 「今まですまなかったな..優子」「それは私の台詞よ。竜くん」  数週間後..  突然の長期出張になった高桐さんを不安に思う僕の周りでいろんな大き な出来事が起こり始めた。  まず、川谷先輩と真鍋さんの2人が結婚を機に同時退職したことによっ て、会社内では大騒ぎとなった。  だけど、これ以上に世間では大きな騒ぎが起きており、それはバブル崩 壊の始まりであった。  次々と株や土地が大暴落を始め、それと同時に江丸のスキャンダルも発 覚し、江丸の政治力や財力は一気に失墜してしまった。  もちろん、ピンク接待はこれ以降行われることなく、長期出張から戻っ た高桐さんが辱めを受けることがないと思われたが..  そう、営業部のピンク接待は会社内のピンクイベントとして社員のやる 気をあげるものへと変わっていき、高桐さんは皮肉なことに社員たちの前 で女体盛りをすることになってしまった。  ただ、これを機に高桐さんは真鍋さんの後継者としてどんどん力を付け ていくのであった。  僕も高桐さんに負けないように頑張っていくつもりだ。  そう、いつか先輩のようになれるように。高桐さんに相応しい男になる ために.. <完>  補足..  会社を辞めた川谷先輩と真鍋さんは後に事業を起こし、数年後には僕の 会社をはるかに上回る企業へと成長させ、大成功を収めることになった。


「バブル−秘密の接待−」完