第3話「3人の新入男子社員」


 部長に連れられて混浴に向かう事になった結樹奈。  すぐ近くに混浴があると言ったのに、何故か旅館の裏手から出る事にな ってしまった。 「部長っ!何で旅館から出るんですかっ!私、裸なんですよ」 「なーに、すぐそこじゃ。この辺はみんな混浴に行くのにタオル1枚で歩 いてる奴が多いから心配ないぞ」 「そ・そんなぁ〜。それは男性だから..」  まだ完全に日は暮れてなく、夕日が照らす中で全裸の結樹奈が腰タオル 1枚の部長に連れられて道路を歩いていく。  周りに人がいなかったのは幸いだったが、車は次々と脇を通り過ぎてお り、何人かの男性ドライバーが裸の結樹奈をニタニタしながら見ていった のだ。  他人に見られて結樹奈が恥かしがれば恥かしがるほど部長にとって悦ば しい事であり、途中からはわざとゆっくり歩きはじめた。 「部長、もっと早く歩いてくれませんか?」 「何そんなに急いでいるんだ?ゆっくり歩いても構わんじゃろ」 「・・・・・・」  結樹奈は悔しい気分で一杯だったが、もはやどんな抵抗をしても部長の 罠から逃れられない事がわかっていたからだ。  ぐっと拳を握り、我慢をした結樹奈は恥部を隠す事もやめて、部長と一 緒にゆっくり歩く事にしたのであった。 (今さら..1人2人見られても諦めるしかないわ..あきらめるしか..)  ようやく混浴が見えたところで部長がとんでもないことを言ってきた。 「ほら、混浴が見えたぞ。急いでいたようだから先に走って入っていいぞ」 「えっ?」「ん?元気よく早く入りにいった方がいいぞ。ほら」 「・・・・は・はい..お言葉に甘えて..元気よく行きます..」  結樹奈は悔しさを抑え部長の言うままに笑顔で混浴に走って入る事を決 意した。 「うわぁ〜♪混浴見っつけ〜。私が一番乗りよぉ〜。ほら部長も早くはやく〜」  まるで結樹奈が部長を誘って混浴に連れてきたような状況になった。  今のところ、部長の言うとおりに従っていれば変なことをされずに済む ので、結樹奈はこのまま諦めて部長と一緒に混浴に入るしかない。  そんな中、部長がとんでもない言葉をかけてきたのであった。 「そういえば、混浴に行った男子社員がおったの..」 「えっ..男子社員ってまさか..」 「君は同じ新入社員だから、もしかしたら知り合いかもしれんが、これも 裸の付き合いだから問題ないだろう。はははっ」  その言葉を聞いて、結樹奈の顔が真っ青になる。  もし、混浴に男子社員がいるという事は結樹奈は自分の裸を晒す事にな るのである。  これが理解ある男子社員ならまだ少しは救われるが、スケベな新人なら 最悪な展開になるだろう。 「あ・あの・・・ほ・本当に男子社員が入っているんですか!」 「ああ、確か3人ほど向かったような気がするな〜」 「ひ・引き返しましょう..こ・こんな姿を晒したらマズイ事になります..」 「うむ、そうだな..私の立場もあるしな..」 「そ・そうですよ..こんなとこ、他の人に見られたら..」 「確かにまずいかも知れないな...」  部長がめずらしく結樹奈の意見に耳を貸し始めたのだが、すでに遅すぎ た状態となっていた。  じゃばっ。「あれ、そこにいるのは部長じゃないっすか?」 (えっ!こ・この声は同期の永田の声!ど・どうしよう..早くこの場から..)  混浴の方から同期の男子社員の声が聞こえてくる。  そんな男子社員に部長があっさりと結樹奈にそのまま行くように言って きてしまう。 「もう無理だな。そのまま裸で混浴に行きたまえ」 「そ・そんなっ!」  結樹奈が慌てて恥部を手で隠すと同時に、新人の男子社員3人がタオル も巻かずに湯船からあがって、股間丸出しでわざわざこっちへ向かってき てしまった。 「うおおっ!」「わ・渡部さん?」 「何で裸でここにいるんだ」 「こ・これは..」 「おい、すげー!マジで先輩OLの言ってた通りだぜ」 「やっぱ、冗談じゃなかったのかよ」 「真に受けて頑張ったかいがあったな」 「えっ..」  新人の男子社員の言葉から、幾つか気になる言葉が出てくることに結樹 奈が疑心を抱くが、それよりも恥部を見られないようにするだけで必死で あった。  一方、3人の男子社員の永田、西原、本木も自分たちが裸であったこと から少し恥ずかしがっていたが、結樹奈のあられもない姿を見て、すっか りいつもの調子になってきた。 (ぁぁ..よりによって、この3人に見られるなんて..)  永田、西原、本木と言えば営業課期待の出来る新人として言われてはい るが、同期の女子社員から全く逆のスケベな3人組として嫌われていた存 在であった。  もちろん、結樹奈もこの3人は嫌いであり、新人研修の時に階段の下か らスカートの中身をカメラ付き携帯で撮っていたことに怒った時もあった のだ。  それが、今ではその3人の前で全裸で向かい合う事になってしまうとは..    永田、西原、本木も新入女子社員の中で一番、男子社員たちに人気のあ った結樹奈がついにここまで痴態を晒している事に嬉しくてたまらない。  まあ、まだ恥部は手で隠しているが、その姿だけでも3人は感激が止ま らなかったのである。  だが、ここは湧き上がる感動を必死に押し殺しながら、3人の中の永田 がこう結樹奈を罵ってきたのだ。 「さすが美人新人社員の渡部さんだぜ。もう部長を色仕掛けで落としてく るなんて手が..いや股が早いなぁ〜」 「ち・違う..私はそんなつもりじゃ..」  あまりの言われ方に結樹奈が反論をしようとした。そんな女には見られ たくないからだ。 「ただ部長と混浴に入りにきただけで..色仕掛けなんかじゃないわ..」 「ほぉ〜混浴ね。けど、渡部さんはこんな旅館から離れた場所に何も付け ずに全裸でくるんだ〜」 「そ・それは..温泉は裸で入るのが普通だから」 「じゃあ、今度、営業部の接待温泉旅行でも同行して裸で入ってもらうと するかぁ」 「その時も堂々と素っ裸で混浴接待してもらうぜ。くくっ」  ニヤニヤした表情で馬鹿にした口調で言ってくる3人だが、股間の方は ビンビンに反り立っており、今でも射精しそうなぐらい興奮してたまらな い状態であった。 (やべー、この姿だけでも出しそうだぜ..)(早く頼むぜ、部長さん..) (これ以上は耐え切れねー)  部長に視線で何かを要求する3人の行動から見てみると、どうやら大体 の流れは予め先輩OLに教えられてわかっていたらしい。  ただ結樹奈の全裸姿があまりにも凄すぎて教えられた通り続けるには困 難になってきたのであった。  そんな3人の状況を見て、ようやく部長が助け舟を出してきたのだ。 「まあまあ、あんまり彼女を責めてはいかんよ。渡部君は色仕掛けでこん な姿をしてるわけじゃないんだ」 「そ・そうなんですか?部長」 「実はな、彼女は真性の露出狂でな。どっかで裸にならないと精神がおか しくなってしまう一種の病気なんだよ」 (えっ..何を言い出すの!私は露出狂じゃない..)  本当は大きな声で反論をしたかった結樹奈だが、先に部長が鋭い目つき で言葉を出せないように仕向けたのだ。  そう、結樹奈には部長の言葉を否定する権限が一切なかったからである。 「へぇ〜露出狂だったんだぁぁ〜意外だなぁ」 「言ってくれれば良かったのに」 「でも本当は色仕掛けじゃないんじゃないっすか?」 「何故、そう言えるのかね?説明したまえ」  色仕掛けを主張する西原に部長が説明を求めると、西原が結樹奈の方へ 指を指してこう言ってきたのだ。 「露出狂なら手で隠すのは、おかしいんじゃないっすか」 (なっ..馬鹿西原!何てこと言うのよ!)  必死に恥部を手で隠してる結樹奈が一瞬、西原を思い切り睨んでくる。 「そうか..そう言われると変だな..渡部君、君自身が露出狂である事 を証明したまえ」 「えっ!?」 「もう露出狂だとわかったんだから、手を下ろしても問題ないだろ?渡部君」 「ぅぅ..」  部長の仕打ちに悔しい表情を見せた結樹奈だが、ここで抵抗したところ でもうどうすることも出来ないのもわかっていた。 (あきらめるしかないのね..手を下ろしてこいつらに見せるしかないのね)  結樹奈は素直に諦めてしまい、3人が見ている前でまず胸を隠していた 手を下ろしていく。 「おおおっ!渡部さんのおっぱいだぜぇぇ〜」 「おい、こんなことで興奮するなよ」 「そう、まだメインディッシュが残ってるんだぜ」  3人の興奮の荒息が聞こえる中で、結樹奈は残りの手の方も素直に下ろ していき、完全な全裸となると、ようやく3人の大歓喜が辺りに響いたの であった。  そして、そんな歓声の中で結樹奈は屈辱的な言葉を3人の前に言う事と なり、その言葉を顔を真っ赤にして言ってきた。 「実は..私、渡部 結樹奈は裸を見せるのが好きな女なんです..」  自分の裸を見せたくなかった男子社員の前で全裸を晒した結樹奈。  それも露出狂というレッテルを自分から貼ることとなり、悲痛な想いで いっぱいであった。  こんな奴等の前で裸になるぐらいなら、正直何もかも捨てて逃げたい心 情だったが、どちらにしても数時間後の親睦会でもいろいろさせられる以 上、少し晒すのを早まっただけだと自分自身を納得させるしかなかった。  Fカップのおっぱいが大きく揺れる中、3人の男子社員は徐々にいつも のスケベな顔を取り戻してくる。  さっきまでは結樹奈に勃起した股間を見られることに抵抗があったのだ が、それも既になく、いつものスケベな3人組として堂々と見せつけはじ めていた。 「しかし、スカートの中を撮られて怒ってた渡部さんが露出狂だったとは なぁ〜」 「どうせなら、最初からカミングアウトしてくれよ」 「俺なんか、あの時ビンタされんたんだぜ。たががパンティで」 「ビンタされたのか..本当にそうなのか?渡部君」 「は・はい...」  3人の中の本木をわざと痛そうな顔をして手に頬を当てて言ってくる様 子に部長が怪しい笑みを浮かべた。 「露出狂の君らしくないな..いくら周りの目があったからと言ってもビ ンタはひどすぎると思わんかね?」 「は・はい..ひどすぎました」 「そうだろ、そうだろ。本当は嬉しかったんだろ?いい機会だ。ここで本 当の事を言って謝るがいい」 「そ・そんな..あれは..」 「私に何か文句でもあるのかい?渡部君」 「いえ..すいません。本木くんに謝ります..」  とても悔しい結樹奈であったが、部長に逆らえない以上、ここは言われ たままに謝るしかなかった。 「本木くん..あの時は嬉しかったにも関わらず、ビンタしてしまってご めんなさい..」  屈辱な思いで謝った結樹奈であったが、本木は何故か怒り始めてきた。 「よくわかんねーな。お前、露出狂だったら、もっとそれらしい謝り方が あるんじゃねーのか」 「えっ..謝り方って..」  怒りが増してくる本木に戸惑う結樹奈に部長が近づき、小声で助言をし てきたのだ。 「〜〜〜って言えば問題ないぞ」 (そ・そんな..) 「それとも..私の言ったことは間違いだということなのかね?」 「いえ..」  部長のとんでもない助言を聞き、屈辱に震える中、結樹奈は何度も自分 に言い聞かせるようにして諦めるしかなかった。 (やるしかないのよ..結樹奈。露出狂としてなり切るしかないのよ。今 の私は恥ずかしい女なのよ..)  しばらく自分自身の心に言葉をかけていた結樹奈が、口を開いて本木に 恥ずかしい言葉を出して謝り始めたのであった。


 ※ この短編は、1度カットした「僕の会社」部分を「僕の会社2」の一部分の
   話として使った経緯があり、今回のリニューアルで内容が重複した部分を
   カットした作品となってますので、ご了承願います。
  (「僕の会社2」の旧3話、旧4話前半は「僕の会社」現5話に含まれて
    いますので、こちら側の旧3話、旧4話前半はカットしております)
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