僕の会社−度胸試しは裸で− 後編


 Dカップぐらいのまんまるなおっぱい、綺麗に整った恥毛、ぷっくりと している大陰唇、全ての恥部を晒しながら広い駐車場を走る新入女子社員。  駐車場には多くの野次馬が集まり、裸で逃げ回る彼女を賑やかにはやし 立てて盛り上がっている。  ここって公然の場だったよなと、疑いたくなるぐらいの破廉恥な映像が 今、僕の目の前で広がっていた。 「・・・あんなこと、渡部さんがやるはずはない!」  確かに左足には火傷で出来た赤いあざがあるんだけど、それだけで渡部 さんと思うのは浅はかではないだろうか。  が、サングラスと帽子で隠している裸の女子社員の身長やボディライン、 胸が大きいところは類似している。  いやいや、僕は何で似ているところを探してしまってるんだ。渡部さん と違うところを見つけないといけないんだ。  しかし、度胸試しでこんなことをさせるのは酷いんじゃないか?AVだ って公然のサービスエリアでストリーキングなんてさせないぞ。僕ら以外 にも一般の客が居るし、ここで働いている従業員も居るのに大丈夫なのか。 その内、誰かが警察に通報して大騒ぎになるんじゃないのか?  周りの男子社員のように素直に喜べない僕に、同期の楠木が僕の肩をポ ンと叩いて話しかけてきた。 「平田(僕の名前)。あんないいもの見て何浮かない顔をしてんだよ〜」 「楠木..いや、あんなの絶対マズイだろ。絶対、通報されるぞ」 「ああ、そのことか〜。それなら大丈夫じゃねーか。ほら、あそこの警備 員見てみろよ。必死で写メ撮って喜んでるぜ」 「えっ?何で..」  楠木は僕と同じ新入社員の癖に、事情通のように説明を始める。  どうやら、この日に度胸試しが行われるのは暗黙の了解で、ここで働い てる従業員や警備員にはちゃんと内容が事前に伝わっているらしい。  去年はシースルーの服を着た新入女子社員が顔を隠しながら買い物をし たみたいだ。  楠木は鼻息を荒く立てながら僕にいろいろと解説を続けてきた。 「けどよ、今回はストリーキングとはたまんねーな。すげー根性入ってる よな。平田もそう思うだろ!なあ?」「ああ..」 「しかも!この裸の女が俺たちと同期で、同じバスに乗ってたんだぜ〜、 そう思うと興奮が止まんねーよな?」「そうか?」  楠木はどうしてこんなにのん気に喜べるんだ?僕は、こんな辱めをさせ る会社のピンクさ加減に呆れてるいるのに、たとえ身体は正直で股間が固 くなっていてもショックを受けている。  ストリーキングしているのは同期の女子社員でこれから一緒に仕事をす る仲間なんだろ!会社にピンク社員として働く相手の気持ちを考えないの かよっ。  しかし、どこから裸で走ってきたかは分からないけど、この後はどうす る気なんだ。  顔を隠して走ってるから、誰か特定して欲しくはないはずだ。けれども 公然の場でストリーキングすれば顔以外は全て晒すことになり、一般客に も見られてしまう。  が、度胸試しは一般客のほとんどが知っており、よく見ると男性ばかり で、みんな高そうな一眼レフをぶら下げていたのだ。  パシャパシャパシャパシャ!(こいつら、これが目的で来てるのか?)  きっと、こいつらは写した写真をネットにアップするのかも知れない。  それでピンク会社暴走などと囃し立てて大騒ぎするのだろうか?  まさか顔を隠した女性を特定させるつもりか?どちらにしても、この度 胸試しをした女子社員の恥部の映像は多くばら撒かれてしまうのかも。 (そういえば..他の女子社員はこれを見てどう思っているんだ..)  僕が視線を遠くに駐車しているバスに向けると、急いでバスに入ってい く女子社員や、遠目でこちらを見ながらコソコソ話したり、ゲラゲラ笑っ ている不謹慎な女子社員が見えた。  もしかしたら、女子社員たちは誰か走ってるのかを知っているのか?  考えればみんな一斉にトイレに向かってたし、この度胸試しに協力して いる者も居るんじゃないか。  僕は、この度胸試しを傍観しているだけの女子社員たちに少しイラつき を覚える。誰か1人ぐらい「これはいけない」と声をあげてもいいだろう。 (渡部さんがこれを見ればきっと怒ってくるはず..見せたくはないけど)  そんな僕に楠木は少し溜息を吐いた口調で言う。 「はぁ〜。平田は何も分かっていないんだな〜。傍観するのが正解だよ」 「ああ?どういうことだ!こんな度胸試し、黙ってみてるなんて変だろ」 「けどさ〜、もし俺ら男子社員の中で誰か1人素っ裸で走れって言われた ら、お前は喜んでやるかい」「やんねーよ!何でそんなことを」 「そうさ、そういう時は誰かがやってくれないかと願ってしまうのが人の 卑しいところだ。女だったら尚更、裸でなんか走りたくないと思うが」 「つまり生贄みたいなものか?いや、そもそもそんなことをさせる会社を 何とかしないと思わないか」 「う〜ん、お前は変なとこ真面目だよな..けどよ〜。ここはあういう事 がまかり通るピンク会社なんだ。それぐらいは分かってるよな?」 「うう..」  確かに嫌なら入社しなければいいという事を楠木は言いたいらしい。  当然、僕のイライラは解消することが出来ないままだが、今はこんな事 を話してる場合ではないのかも。 (そうだよ。あの女性が渡部さんでないことを確かめないと!絶対違うけ ど..何か渡部さんじゃないところを見つけたいんだ..) 「楠木..お前ならもしかして..あの裸で走ってる女子社員が誰か分か るのか..」 「・・・そうだな..こいつだと断言はできないが、サングラスと帽子だけ なら、身体のラインである程度予想できるんじゃねーか?なあ?」 「まあ..そうだな..」(楠木の言うとおりかも..) 「俺たちのバスに乗ってる新入女子社員は15人!絞るのは難しいと思うけ ど、おっぱいがでかいのは良いヒントになるな」 「・・・ああ」(そっか..胸で判断したら..)  楠木はどうやら、15人全員の女子社員のボディラインをチェックしてお り、胸の大きさから4人にまで絞り込んでしまった。  が、その4人の名を言う楠木の台詞には渡部さんが入ってなかったこと に僕はホッとする反面、渡部さんの胸を見逃す楠木が節穴に思えてしまう。 「あっ、そうだそうだ!Dカップの渡部さんを入れるの忘れてた。まあ、 あんな大胆なことは出来ねーから外しても問題はねーが」 「うん、そうだな」(楠木、お前も分かってるじゃないか)  ともかく楠木のおかげで、4人の女子社員の誰かということが分かった だけで有難い。現金なことに、渡部さんじゃないと思った途端に僕の股間 は思い切り膨らんでズボンに見事なテントを張ってしまった。  いや、これは仕方ないことだ。楠木だって見事なテントを張ってるし、 他の男子社員たちもテントを張っているんだから。  改めて、ストリーキング中の女子社員を見ると、度胸試しの辱めの凄さ が分かる。こんな公然の場で裸で走るだけでも勇気がいるのに、少しでも 疲れて足が止まると、先輩たちがケツをピシャンと叩いて喝を入れるのだ。 「まだ休む時じゃねーぞ。ほら走れよ」ピシャァーン 「そうそう、走らないとケツが真っ赤になるぜ」パシィィーーン 「それにしても、このケツ、いい音鳴るよな〜」ピシャァァァーン  いくら度胸試しで走ってるからって、お尻を叩くのは虫唾が走ってイラ イラする。あんな白い肌のお尻に赤い紅葉をつけていくなんて僕にはとて も出来ない。  それに渡部さんじゃないからって、ジロジロ見るのはいけないだろう。  だって、同期の女子社員が辱められているのに、それを楽しんで見るの はどうかと思う。  まあ、僕も男だし、本来なら一緒に奇声をあげて喜びたいんだけど、周 りには女子社員も居るし、一般客だって居る中で出来るわけがない。  いや、一番の理由は渡部さんに喜んでいる自分の姿を見せたくないだけ だ。あと、渡部さんにもこんな破廉恥な行為を見せるわけにはいかない。 (そうだ、渡部さんを見つければ全て解決するんだ!渡部さんを探して、 こっちに近づけないようにしなくちゃ)  僕は楠木と分かれて急いでバスの方へ向かうと、新入女子社員の佐々木 さんと園部さんが昇降口を塞ぐように立っていた。 (えっ?佐々木さんと園部さんが、ここに居るなんて..)  実は佐々木さんと園部さんのおっぱいも大きく、楠木が言っていた4人 の候補に入っていたのだ。  この2人には悪いけど、僕はあのストリーキングの女性が佐々木さんか 園部さんかと思っていた。 「あらっ?平田くん。君は戻ってきたんだ〜」 「えっと、今はバスの中に入れないから、もうちょっと待ってね」 「?どういうことだ」 「ぷぷっ、君たち男子社員がバスの中に入ったら、今誰が裸で走ってるか 分かるじゃん。それぐらい理解しなくちゃ〜」 「そうそう、今はこの通り、服と下着しか戻ってきてないからね〜」と園 部の手には女性用リクルートスーツと上下が水色の清楚っぽい下着が乗っ かっていたのだ。  つまり、新入女子社員全員は誰かピンク社員であるかを既に知っており、 この破廉恥なストリーキングに協力したらしい。 (そうか..女子全員でトイレに行くなんて変だと思ってたけど..)  けれど、渡部さんがこんな破廉恥なことに加担していたなんて、がっく りしてしまう。 「あ、そうそう。全員がグルになってるわけじゃないわよ。何人かはトイ レに一緒に行くだけしか伝えてないから、事態を飲み込めないんじゃない?」 「あの子なんて、ピンク社員そのものを知らなかったから、すごく動揺し てたよね〜」 (えっ?それって..) 「ああ、あのカマトトね〜。ここがピンク会社って知らなくて入ったなん てバカじゃないの?」 (やっぱ..渡部さんは..) 「まあ、そーいうことだから、平田くんもまた見にいきなよ」 (そっか..渡部さんは何も..)  この2人には頭くるけど、渡部さんが何も知らずに巻き込まれたのは間 違いないはずだ。  けれど、いくらピンク社員だからって、同じ女性としてあんな酷いこと に賛同できるのか?佐々木さんと園部さんは顔もスタイルもいいのに、こ んな性格をしているなんて、すごくガッカリだ。 「平田くん。君、失礼なこと思ってるでしょ〜。まあ、別にいいけどぉ〜、 あの女も結構、愉しんでいると思うよ」 「露出癖ってやつよ。普段はそんな素振りを全く見せないんだけど絶対、 感じまくってると思うね」 「それは..お前らの勝手な思い込みじゃ..」 「はぁ?あのね〜。君はトイレから素っ裸で出て走り回ることが出来る? いくら大金積まれても、そんなふざけたことやらないわよ」 「私は〜それなりのお金をくれれば、平田君におっぱいを見せてもいいけ ど、やっぱ佐々木の言うとおり、裸で走るのは絶対無理っ。まあ、パンチ ラぐらいならタダで見せてもいいわよ〜」ピラッ 「って本当に見せてくるなよっ!」  僕は顔を真っ赤にしながら、2人の言葉に同意してしまった。確かにそ うだ!AV女優だって、嫌な仕事は断るし、やっぱり露出癖みたいのが無 ければ出来ない。そう考えてしまうと真面目な渡部さんにだって意外な一 面が潜んでいるのかも知れない。で・でも、そんなはずは.. (やっぱ、もう1度、渡部さんでない証拠を見つけないと!)  僕は再び、ストリーキング中の女子社員を見にもどることにし、左足の 赤いあざを確認する。  僕のせいで火傷させたから、位置や大きさは鮮明に覚えている。はっき り見れば何かしらの違いは出るはずだ。  やっぱ渡部さんが度胸試しをするなんて思いたくないし、その前にあの 渡部さんがトイレで素っ裸になって飛び出すなんて出来るわけない! 「おっ、平田。やっぱ見たくなって戻ってきたな〜」 「そういうわけじゃねーけど..いろいろ気になって..」 「そうか、そうか。じゃあ、お前に良いことを教えてやろ〜」 「良いこと?何だよ..」 「いやぁ〜、途中から俺も何か悲惨だな〜と思ってたら、大間違いだった」 「えっ?」 「よく見てみろよ。あの子のおま●こ、濡れてるぜ。ありゃ汗じゃない! マン汁だよっ。口元からも涎出てるし、見られて感じてるぜ」 「そ・そうなのか?」 「ああ、最初は相当、嫌がって走ってたけど、途中からスイッチ入ってか らは悦んで見せてるな。こういう女って大体、普段は真面目なんだよな〜」 「・・・真面目って..」 「俺は最初、佐々木か園部が怪しいと睨んでいたが..あいつらとは真逆 な女子社員かもなぁ」  僕は楠木の言葉を聞いて不安になる。例の左足の赤いあざは皮肉にも一 致するし、否定する材料が1つ1つ失われていく感じだからだ。  もちろん、この赤いあざの件は誰にも言うつもりはない。渡部さんに皆 の疑いの目を集めたくないし、露出癖があるとはとても思えない。  どちらにしろ、あと少しで破廉恥なストリーキングは終わるし、この後 でバスの中の渡部さんと会って話せば、僕の心の疑いも晴れるはずだ。  よく見ると、丁度裸の女性が僕たちのバスの中に入っていく。  先輩たちに叩かれたお尻が気になったが、真っ赤になった程度で時間が 経てば戻りそうな感じだった。  こうして僕たちは再びバスに乗って目的地へ向かうのだが、やはりバス の中の雰囲気は異様な感じになっていた。  そりゃ、この中に素っ裸で走った女子社員が居て、僕たち男子社員は正 体が分からないけれど、この中の誰かが度胸試しをしたかかを知っている からだ。  ちなみに渡部さんは、いつもと同じ感じであり、動揺していたというよ りは何かすっきりとした様子だった。 (やっぱ、トイレを我慢してたのかな..とすれば渡部さんは普通にトイ レに行っただけなんだよな..) 「えっと、渡部さん。そのたこ焼きどうかな?」 「うん、美味しいよ。たっくん、ありがとね。ジュースもすごく美味しい」 「よかった。喜んでもらえて」(例のこと聞きたいけど..無理だな) 「・・・たっくん、もしかしてさっきのアレを聞きたいの?」 「えっ、あれって..」 「・・・アレにはびっくりしたけど..私も薄々、この会社がどんなところ か知ってたから大丈夫よ」 「そ・そうなんだ..」  えっと、その..てっきり渡部さんが動揺していたと思ってたのに、こ こがピンク会社であったことは気づいていたんだ。 「…たっくんは、もしかしてあの度胸試しが酷く見えたんだ?」 「いや、あんなことさせるのはおかしいんじゃないか?」 「そうかな?私の**女学院では、こういうのは良くあったよ」 「えっ?」「たっくんって女子校に幻想を抱いてるでしょ?」  嘘だろ?こんな事実は聞きたくなかった。渡部さんの口から、悪友と同 じ台詞を吐いて欲しくなかった。なのにどうして、悪友の方が正しくなっ てしまうのか?まるで僕が騙されてるみたいじゃないか。それじゃあ、悪 友のリクエストを受けたエロい女子が間違いなく居るってことだ。  うっ、こんな時に僕の股間は何で膨らんでくるんだ?一番想像してはい けないことに素直に反応したのだろう。勃起した股間に本を乗せて誤魔化 そう。そんな僕に渡部さんが笑顔で会話を続けてきた。 「幻滅しちゃったよね?でも、ピンク会社って知ってたから、こういうこ とが起きるのは何となく分かってたの」 「…そうなんだ。でも別に僕は幻滅なんてしてないよ。僕だってピンク会 社って知ってて入ったし、まあ男だから、嬉しくないといったら嘘だし」 「たっくんって意外とエッチなんだ..でも私はそんなたっくんが好きよ」  そういうと渡部さんは目を閉じて唇をすぼめる。僕は誰にも見られてな いのをサッと確かめてから唇を触れ、3回ほどキスを交わした。  キスした後は、もう何も追及することが出来なくなった。僕は度胸試し をした女性が渡部さんではないと信じ続けることにした。やはり、渡部さ んがあんなことをするとは思えないから。  たとえ、色んなことが一致したとしても、それはただの偶然だ!偶然な んだと割り切るしかないのだ。  長いトンネルが続くせいか、気づくと渡部さんはスヤスヤと穏やかに眠 っていた。  このトンネルを抜けると、次のサービスエリアが見えるだろう。ここで もバスが止まるので、またこのバスに乗ってる誰かが素っ裸となって走り 回るはずだ。  僕の視界には渡部さんが座ってる簡易テーブルが見え、その上にはピン クのガラケーが置いてあった。そうさ、これも只の偶然なのさ。  僕は真っ暗の窓をぼんやりと見ていた。情けないことに僕の股間は勃起 していた。  嗚呼、何だかんだいって僕も待ち遠しいのだろう。次の度胸試しでは僕 も携帯で彼女の写真を撮るに違いない。  そして、悪友にいの一番に送ってやるのさ。ピンクのガラケーをおま● こに挿れて全裸で走りまわる彼女の姿を。 <完>


「僕の会社−度胸試しは裸で−」完