最終話「あだになった両面テープ」


 スタジオでは、すでに最終確認が終わり生放送まであと2分を切った。  石谷がスタンバイしてる中、ようやく亜代佳がスタジオに入ってきた。 「す・すいませーん。遅くなってしまって」  亜代佳は石谷に命令されたある事をやっていた為に本番ぎりぎりになっ てしまったのであった。  ぼそっ。(亜代佳ちゃん。それ、とても似合っているっすよ。) (・・・・・・・・・・)(亜代佳ちゃん。怒ってるっすか。へへ。) (・・・あれは始めに言えばいいの・・・)(その辺はまかせるっすよ。)  石谷と小声で話しながらついに本番の秒読みが始まった。 「10秒前です」ADが声を掛ける中、亜代佳は深呼吸し表情を作る準備 をした。 「3・2・キュー」TVには夜の10時のスポーツ番組のタイトルがCGで 流れ、その後、亜代佳の全身図が映し出されたのであった。  今日はこの水着を着てまだ2回目と言うのにVの字水着が少しだけ縮ま った状態で映しだされていた。  前回はまだ真正面からでは見るとそれほど派手ではなく水着がぎりぎり でEカップの胸を隠していたが、両側が2cmほど細くなった水着では乳 房の両端が顔を出し始めていた。  亜代佳は顔を赤らめながらもいつもの表情でモニタに向けて話していく。 「みなさん、こんばんわ。西田 亜代佳です。今日も約束どおり同じ水着 で行きます」 「こんばんは。司会の石谷っす。ところで亜代佳ちゃん。気のせいか少し 縮んでないっすか?」 「あ、これですかー。何かスタッフが洗ったら少し縮まったそうなんですよー」 「そうなんっすか。てっきり亜代佳ちゃんが自分で縮めたと思ってたっす」 「私がやったらもっと縮めてこのおっぱいをどんと見せちゃいますよ」 「はは。亜代佳ちゃんって大胆っすね。けど今どれぐらいなんっすか」 「おっぱいのサイズ?今Eカップですよ。ペターズがベスト3になったら  思い切って見せちゃうので頑張って下さいね」 「さすがっすね。きっとペターズもその応援で今ごろ燃えてるっすよ」 「じゃあ、そろそろ今日の試合の結果から始めますよ」 「そうっすね。それじゃ、カメラマンさん。昨日と同じ風に下がってくだ さい」「あっ!石谷さん。ちょっと待って下さい」 「どうしたっす?亜代佳ちゃん?」 「あのーせっかく大胆な水着着たのでどうせなら横から映してくれませんか?」 「え?でも亜代佳ちゃん。横からだと丸見えっすよ」 「石谷さんってエッチですね。別に横からだからって変な所は見えてませ んよ」「でも、やっぱまずいっすよ」 「じゃあ、こうすればいいのね。ほらっ」亜代佳はその場で体を横に向け たのであった。  その瞬間、カメラには亜代佳の見事な乳房のラインを映し出した。  だが、その乳房に何かシールみたいのが貼っていたのであった。 「あっ。亜代佳ちゃん。何か胸に貼ってるっすね」 「あ、わかった?そうなの。実はペターズのミニロゴを張ってたの。でね〜。 こっちにもお揃いのを貼ってるのよ」  亜代佳は自分から向きを変え、今度は逆側からの横向きの状態になった。 「亜代佳ちゃん。実はこれが見せたかったっすね」 「へへっ。わかりますー。そう、これを見せたくてお願いしたの」 「亜代佳ちゃん。本当にペターズが好きなんですね」 「そうなの。だからその為なら何でもしちゃうつもりよ〜」 「さすが、ペターズの熱狂的ファンっすね。ん?CMが入るみたいっすね」 「そうですね。じゃあ続きはCMのあとでね」  最初のCMが入った途端、亜代佳はまたさらに顔を真っ赤にした。 「さすが亜代佳ちゃんっすね。演技とは思えなかったっすよ」 「こ・これでいいんでしょ・・・あ・後は一体何をやらせる気なの?」 「亜代佳ちゃんって結構、性格激しいっすね。さっきの笑顔はどこいった っす?」 「こ・こんな破廉恥な事やらせて...え・笑顔なんて出来るわけないで しょ...」 「まあ、どっちにしてもCM終わったらまた笑顔頼むっすよ」 「・・・わかってるわよ...」 「あと、カメラマンが今度は近づいてくるっすから隠しはだめっすよ」 「ぐっ・・・・わかってるわ...」  CMも終わり、また屈辱の時間が始まろうとしていた。  TVカメラは私の言葉とおりCMが終わった途端、横から私の胸をズー ムアップしてきた。  当然であるが、水着からはみ出てる胸を横から撮るということは、乳房 の膨らみも大きさも完全に丸見えの状態になってしまう。  強力な両面テープのおかげで乳首や乳輪は完全に隠れているが、それ以 外は、ほとんど晒している様なものだった。  ましてや、こんなロゴシールを貼る自体、屈辱的な事はないのであった。  でも、石谷の命令とおり亜代佳はTVにこの恥ずかしい箇所を自分から 晒す様に言われ、きっとこれを見ている視聴者は亜代佳が淫乱な女の様に 錯覚すると思うとこれからは恥ずかしくて外にも出たくない気持ちになる 亜代佳であった。 (ああ、近所の人も同期の子もみんなこれを見てるはずだわ。もう明日か らは絶対にうわさされ始めてしまうわ。)  亜代佳がいろいろ考えてる中、石谷がにやにやしながら追い討ちをかけ てくるのであった。 「亜代佳ちゃん。しかし本当に大胆っすね。横からだと完全に丸見えっすよ」 「石谷さん。あんまりじろじろ見ないで下さいよー」  亜代佳はとりあえずここまでは変更された台本の通りに演じていた。  だが良く考えてみると、なぜかこの先の原稿からはエッチなことを言わ ない普通の内容になっているのを亜代佳は気づいた。 (そう言えば、変な要求はここまでよね?石谷は何を考えているのかしら?)  とりあえず、何事もない事を祈りつついつもの様に番組の進行を続ける しかなかった。  そんな時、あの石谷が動きを見せてきたのであった。 「そういや、そのミニロゴ、後ろのロゴとちょっと違うっすね」  ギクッ!!「そ・そう?同じの様な感じがしますか..」  亜代佳が答えたと同時に石谷はスタッフやカメラには映らない亜代佳の 原稿にとんでもない言葉を書いてきた。 <自分から立ちポーズ→後ろ斜めからお願いする。>  小さくこう書いてきたんだった。 (なっ?わ・私にこれをやれって言うの?)  亜代佳は石谷にカメラのフレームが外れた時を見計らってきつい目線を 返した。  だが石谷は平然として先ほど書いた場所を鉛筆でつつき始めた。  そうこれは石谷の警告を意味するものであった。 (わ・わかったわよ・・・や・やればいいんでしょ?)  亜代佳が軽くうなずくと石谷は再度わざとらしく聞いてきた。 「亜代佳ちゃん。やっぱ、そのミニロゴ少し違うっすよ」 「そ・そうですか?じゃ・じゃあ、見比べてみますか?」 「え?見比べるってどうするっすか?」 「た・立って斜めから映せばちきんとわかるでしょ?」 「なるほどっすね。でもいいんっすか?」 「・・・き・気にする事ないわよ・・」 「じゃあ、お願いするっす」 「・・・は・はい・・・・」  亜代佳はその場を立ち、TVカメラの方へ後ろを向いた。  そして上半身を少し斜めに傾け、そちらから映す様にカメラを誘導する ように自分から言うしかなかった。 「あのーカメラさん。こっちから斜めに背中のロゴと胸のロゴが映る様に  撮って下さい」  カメラが後ろ斜めから映すと裸同然の背中やお尻が完全に入り、水着か らこぼれてる乳房もはっきり同時にモニタに映ったのであった。  亜代佳が自分自身でそのモニタを確認したら顔がもっと真っ赤になった。  そう、後ろ斜めからだと背中のひも水着がほとんど映らず、胸の方もち ょうど水着が映らない角度になっていたからであった。  はっきり言ってTV画面を見てる人にとっては亜代佳が素っ裸で立って る画に見えてしまうのであった。 (ああぁっ..これじゃ水着を脱いで立ってるみたいじゃない..)  今でも手で隠したいとこだが、そんな恥ずかしい状況でも亜代佳には一 切隠す権利がなく、あくまでこの2つのロゴの違いを確認させられる事に なっていた。 「・・・・い・石谷さん・・?ど・どうです?違いがわかり・・ましたか?」 「うん、大体わかったっすよ。じゃあ、次は反対側を見せて欲しいっす」 「は・反対側?」 「そうっす。そっちの胸にも貼っているっすよね?そっちも念のために」 「・・・・わかり・・ました。カメラさん。こっちからもお願いします」  亜代佳は身体をひねり、反対側の胸も同じ様にカメラに晒したのだった。 (もういやっ!は・早く終わって。こんな恥さらし、もういやよ。)  亜代佳は作り笑顔の下で叫んでいた。だけど今はどうする事も出来ず、 悔むぐらいしか出来ない。  ようやく恥辱のポーズも終わり、再度椅子に腰掛けようやく普通の状態 に戻ったのだったが、石谷は相変わらず亜代佳に追い討ちを掛けてきた。 「なるほど、ミニロゴの方が少しマークがデフォルトになってたっすね」 「そ・そうね。こ・こっちの方がデフォルトなのよ...」  亜代佳は顔を赤らめながらそう答え、一刻も早くこの時間が終わること を強く願っていた。  だが運命は皮肉なことにそう簡単には亜代佳を解放してはくれなかった。  石谷は例のあれを亜代佳にやってくる様言ってきたのであった。 「亜代佳ちゃん。そろそろ時間もいいころだから例のエール行ってみようか」 「も・もうですか?」 「そうっすよ。今やらないと番組が終わるっすよ」 「で・でも少し早い気も・・・」  亜代佳がそう答えたと同時にまた石谷はスタッフやカメラには映らない 原稿にとんでもない言葉を書いてきた。 <ゆっくりやる事、あとは上半身の向きは斜めに。回ごとに左右に変えな がら。> (・・・・・・・・ゆ・ゆっくりですって!!それも斜めに?) 「うん?どうしたっす?」 「い・いえ、なんでもありません,,,」 「じゃあ、早くやるっすよ」 「はい、じゃあ最後に今から優勝祈願のエールをやります...」  亜代佳は立ち上がり、エールの状態に入った。  その上、指示により手を腰にあてて足を軽く開かなければならなかった。  亜代佳は手を腰にあて、足を休めの状態で軽く開いた。  開いた瞬間に私の大陰唇やお尻の穴に風が通っていくのを感じたのであ った。  そう、ここは注意しないとあっと言う間に全てを晒してしまう事になっ てしまうからだ。 「では..エール、いきます・・・・」 「ペターズ、頑張れ!!」「ペターズ、頑張れ!!」 「ペターズ、頑張れーーーー!!」  亜代佳はまた恥ずかしさに必死に耐えながらTVの前でそれも足を開い た状態でお尻のエールを見せたのであった。  お尻を左・右・左・右へ大きく振るたびに斜めから見えてる亜代佳の胸 も大きく揺れておりまさに恥ずかしい画になっていた。  だが、一番恥ずかしいのは最後の”頑張れ!!”のフレーズでお尻を突 き出す所であり、特に3回繰り返す最後の1回は思い切りお尻を突き出す 事になっていたので亜代佳は思い切り突き出した。  だが、おそらくその時お尻の穴がわずかながら映った様な気がして亜代 佳の全身は一気に赤くなってしまった。  その上、見えるのを恐れて思わず急いで引っ込めた為、前のめりになっ てしまったのも恥ずかしい事であった。  ただ前側からはTVカメラがなく画面に映る事はなかったが、あの石谷 が立っていたのが気になっていたのであった。  ようやく、エールも終わり、亜代佳は顔を赤らめながら椅子についた。  やっと番組もあと数分で終わる事になり、ほっとしている中、また石谷 が原稿に何かを小さくこう書いてきたんだった。 <亜代佳ちゃん、最後のエール。割れ目見えたっすよ。前にカメラがなく て良かったっすね。>  亜代佳は何も言えず顔を赤らめそのまま番組を続けるしかなかった。  いろいろな恥ずかしさを耐えながら、番組が早く終わることを願う亜代 佳。  ようやくラスト1分になり、亜代佳はいつものように明るい表情を見せ てから、手を元気に振って視聴者に向かってお休みの挨拶をして番組が終 えようとしていると、番組終了する直前でいきなりADが慌てた顔をして やってきたのであった。 「あ・あのーまだ番組中ですが・・・」 「そうっすよ。君の姿がカメラで映っているっすよ」 「亜代佳さんっ!胸出てますっ!」「えっ!?」  亜代佳は慌てて胸の方を見ると、Eカップのおっぱいが2つとも紐水着 から見事にこぼれてしまっていた。 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!見ないでぇぇぇーーー!」  遅すぎる悲鳴がスタジオ内にこだまする。  まさか強力な両面テープが剥がれるとは思っていなかった亜代佳は、す っかり胸のことを気にしないで番組を進めてしまっていたのだ。  おそらく、おっぱいがこぼれたのは最後のお休みの挨拶で手を振ったと きであり、20秒ほどであったが公共の電波で亜代佳はおっぱいを丸出しに してしまった。  当然ながら、亜代佳のハレンチな姿を見た普通の視聴者たちが抗議の電 話を次々とし始めてきてしまい、局内が騒然となったのであった。 「もう抗議の電話が止まらないんです..このままじゃ回線がパンクして しまいます」 「そんなぁ..わ・私だって好きで見せたわけじゃないのに..」 「ううぅ..パンクってマジっすか..」  あまりの騒動に慌て始めた石谷であったが、もうすでに遅く、抗議は電 話だけではなく、翌日の各新聞や他局までもニュースとして取り上げてし まったのだ。  そう、これはパシフィックリーグを混乱に落とした番組に対しての人々 の怒りが爆発したものであったかも知れず、大問題になってしまったせい で亜代佳の羞恥な賭けはあっさと終えることになった。  亜代佳にとっては羞恥から逃れられ、助かったように思えるが、失った 代償も大きいものとなってしまったらしい。  これで、女子アナ亜代佳の羞恥な賭けは終わることになるのだが、話に はまだいくつかの続きがあったのだ.. <完>


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