第1話「止まらない体。」


私の名前は那良間 伊緒美(ならま いおみ)。16歳。 ここらでは少し有名な私立の女子高に通っている1年生であり、 ただ今、49連続遅刻の記録更新を続けている遅刻常習魔であった。 「はぁぁーーしかしきついよね。あのー鬼・田品は...」 ***********今朝の回想*********** ガラガラッ!! 「・・・おはようございます...」 「那良間さん!!また遅刻ですか!!」 「す・すいません。実にはこれには理由が..」 「どんな理由なの?」 「昨日、突如未来から謎の科学者が来て私を北極に...」 「で?本当は?」 「・・・寝坊です。」 「那良間さん!!いい事!もし明日遅刻して50連続した日には...」 「した日には?」 「全裸で廊下に立ってもらうわよ!!」 「なっ?なんで全裸なの?」 「これぐらい脅さないとあなたがまた遅刻するからよ!!」 「冗談ですよね?」 「ううん。ほ・ん・き♪」 「あははははは....」 ************************ 「なんで私がマッパで廊下立たないといけないのよ!!」 (けど、あの鬼・田品、本気でやるからな...) そう私は以前、あの鬼・田品によって生まれたままで朝礼台に立たされた 先輩の罰を耳にした事があった。 もちろん、何をしてそうなったが知らないが田品は女子高と言う状況の 立場から平気で肌を晒させる罰をしてくるので有名なのだ。 その事から考えても遅刻すれば本当に全裸で廊下に立たされる事は 充分あり得る事だろう。 「はぁーー。やっぱバイトの掛け持ちが効いてるのよね。3つだし...」 実は、私が遅刻しているのは深夜近くまでバイトをしているからであり、 今日も3つ目の弁当屋のバイトを終わって家に帰っている所だった。 (全部、変なバイトでないけど...) 「あーあーもう夜の11時か...明日起きられるかな?」 私はぼーとしながら帰ってる中、突如足がガタンと落ちた。 ズボッ!!「うあー!!なんでこんな所に?」 私の左足は思い切りドブに落ち、左足は泥だらけになってしまったのだ。 「ど・どうしよ..昨日の晩、全部靴下洗っちゃったのに...  今日1日中雨降ってたから乾いてないだろうな...」 (しょうがない..びしょ濡れのを穿いていくしかないのね...) そんな時であった。 私が愕然として歩いてる中、ふと目を向けるとビルの間に露店をしている おじいさんが姿を見かけたのは。 (!?こんな時間に露店?あのおじいちゃん頭大丈夫なのかしら?) 「・・・見るだけなら大丈夫そうよね?」 ちょっと興味心にかられた私はその露店をおそるおそる覗いてみる。 そして何故か声を掛けてしまいたくなった。 「おじいちゃん?そこで何売ってるの?」 「いらっしゃい...」 そこには台の上に1足の靴下だけしか置いておらず横には”止まらない体” と書かれた立て札がしてある。 (何なの?1つの商品しかないじゃないの?これを売る為にここにいるの?) 何とも気味の悪い状況。普段なら、すぐにでもここから離れるのだが、その商品 に何故か目が釘付けとなる。 「・・・可愛い靴下。どーしよ〜靴下濡れてるし..明日の靴下、買う暇もないし..」 「お買いになるのかい?」 「えっと..この店って靴下を売ってる店ですか?」 「いいや、今日はこの商品を売ってるだけじゃ」 「そうなんだ..ところでこれしか売ってないの?おじいちゃん?」 「ああ、これだけじゃよ。」 「変な店ね?ところでさー、この”止まらない体”ってどういう意味なの?」 「それは止まらない体って意味なのじゃ。」 「はあ?ねえ?教えてよ。何か気になるじゃないの?」 「残念じゃが、お買いになった方だけがわかるのじゃ。」 「そんな....じゃあ買わないわよ。」 「買うも買わないもお客様の自由だが..」 「うう...わかったわよ。頑固なおじいちゃんね。で?それいくら?」 「千円でございます。」 「千円?へえ?けっこう良心的な値段ね。よし買ったわ。」 「お買い上げありがとうございます。」 こうして私はこの靴下を買ってしまう。何か靴下の中に紙切れみたいのが 入っていたのだが時間も遅かったのでそのまま寝てしまったのである。 次の日... 「うきゃあああああーーーもうこんな時間なのーーー!!制服!制服!」 すでに時間は8時20分。あと10分以内に教室に行かないと遅刻となる。 学校まではここから自転車で20分。電車で15分。徒歩で10分。 どう考えても遅刻は確定であった。 「あーーん。もうだめー。靴下靴下ーー。」ひらひらっ。 靴下から1つの紙切れが落ちてきた。 「何よ?これ?使いかた?えっ・・靴下の使い方って何なのよ〜」 どうやらそれは取説みたいなものであり、この靴下の使い方?が書いてある 紙であった。 「ん?なになに?これは目的地までまっすぐ行く靴下です。行きたい所を イメージし、その方向に向かって靴下を履いて下さい。」 (何よ?これ?学校は東だけど目の前は壁よ。何かの洒落かしら?) 私は洒落と思いつつ素直に学校のある方向を向いてその靴下を履いた。 そうワラでもつかみたい一心で、とりあえず教室をイメージしたのだ。 「あはは、ばっかみたい。こんな事しても無駄なのに...」 私が自分に呆れた瞬間、靴下は突然光りだし身体が壁の方に突進していく。 まるで空に浮いた感じで身体が凄い勢いで壁に向かってる。 「うそ!!ちょっと壁に当たる!!きゃああーーー!!」するっ!! (・・・・・えっ?壁を通り抜けた?あれっ?私の体が浮いてる?) 私の身体はまるでTVのヒーローみたいに浮いており、その身体はまっすぐ 東にある学校までまっすぐ向かっていくのである。 (う・うそっ・・・これってどういうこと?うわぁ、また当たるぅぅ) スルッ。目の前にある障害物を次々と通り抜ける私の身体。 まるで映画か漫画の世界を実体験している感じだ。 そう”止まらない体”とは、この靴下を履いた者を止まらせないで目的地まで 運ぶすごいアイテムであったのだ。 「あははは、すごいよ。これっ。ちょー得したアイテムだわ。これっ!!」 (すごい、どんどん速くなってる。周りの景色が見えなくなってるわ。) どうやら、周りの人からは私の姿が見えないらしく私は次々と障害物を 通り抜け学校まで真っ直ぐに向かっていった。 キンコーンカンコーンーキンコーン・・・・・ ちょうど先の方で聞こえるのは30分を知らせる私の学校の鐘である。 スピードのコツもわかってきた私は靴下に大声でかける。 「まだ鳴ってるうちはセーフよ!!いっけぇぇぇーーー!!」 バシューーーンンンン!!光速に近い私の体は一瞬にして閃光のごとく 学校に向かい目的の場所の教室のドアを突き破ったのであった。 ドンガラガッシャンーー!!ガラガッシャンンンーーー!!! (しまったぁぁーーー教室の外をイメージしてたんだったわーーー) ドアと共に転がって入ってきた私。 とりあえず、チャイムが鳴り終えるまでに間に合ったのは確かであろう。 「・・・やった...これで遅刻はなしねーー!!ははははは...」 「ごほん。那良間さん。あなたその格好で登校したんですか?」 「えっ?何のことです?先生?」 「どうやら、私をからかいたいみたいね。」 「ん?」 私は何かすーすーしている事に気付き目を向けたのであった。 「きゃあああーーー何これ?ふ・服はどこ行ったのーー?」 そう、どうやら光速で移動した際に私の服は全て燃え尽きてしまい靴下だけ の姿になってしまった。 転んで入ってきた体勢なので頭は下となってしまい、ちょうど先生に秘部を 向ける姿となっていたのだ。 「はは...先生これにはいろいろ理由があってその...」 「どんな理由かしら?」ピキピキッ。(先生の頭の血管の音。) 「光速で飛んできたので服が燃え尽きたって信じます?」 「そう?おもしろい理由ね...」ピキピキッ。 「やっぱり、そう思います?」 「那良間さん...遅刻はしなかった様だけど先生をばかにした罰は  受けてもらうわ。」 「罰ってまさか・・・・」 「その姿で廊下に立ってもらうわ。」 「冗談ですよね?先生?」 「ううん。ほ・ん・き♪」 「そ・そんな恥ずかしい事、私・・私・・・」 「そう?じゃあ、せめての情けで目隠しをさせてあげるわ。」 「目隠し?」 「ええ、目隠しよ。もう決めたから。」 「そ・そんなぁぁぁーーー」 私は結局、本当に目隠しの全裸で廊下を立たされてしまい、首には「私は この格好で登校しまいた」の札まで掛けられてしまった。 あげくにこの札には追伸として”追伸:どうぞ、自由に触ってください。” と書かれていたのであった。 ここが女子高だったのが唯一の救いだったが、休み時間が来る度に私の周りに 人が集まり、みんなに罵声を浴びせられていた。 「見てよ。これっ。本当に裸で立たされているわよ。」 「ねえ、この子もしかしてそういう子なの?」 「よく警察に捕まらなかったわね。」 「帰りもあれで帰るのかしら?」 「見て。この子乳首、起ってるわよ。」 コリコリ。「ははは、本当ね。けっこう固くなってるじゃない。」 ぐにゅぐにゅ。「けっこう、おっぱいも柔らかいんじゃない。」 ぎゅぎゅ。「でかい胸ね。これEぐらいあるんじゃないの?」 「はぁん...」 「やだーこの子。喘ぎ始めてるんじゃない?」 「もしかして濡れてるんじゃない?」 「ねえ、どーせならもっと弄ってあげましょうよ。」 「ふふ。それ面白そうね。」 みんなは私が目隠しされてわからない事をいいことに次々と私の身体を 弄ってくる。 そのせいで、私のおま●こからは愛液が溢れ始めてしまい、実に はしたない姿のまま1日晒されることとなった。 当然、罰の終わった頃には床に愛液の水溜りが出来ており、身体には ”淫乱女”とか”おま●こ洪水中”などの卑猥な落書きもされていたので であった。 放課後...ようやく罰は終わり私は情けない全裸姿で教室で帰り支度 をする。 罰から開放するときの田品のニヤけた顔は思い出すだけで頭にきてしまう。 「田品め・・・何が気持ちよすぎて罰にならなかったみたいねよっ! こんな晒し者扱いされて嬉しい奴なんていないわよ」 (大体、みんなも好き勝手弄って..私の身体を何だと思ってるの...) 「けど..今日はお弁当だけ持ってただけで良かった..」 そう、普段から教科書やノートは引き出しに入れっぱなしなので被害は制服と お弁当だけで済んだのであった。 「制服はちょっと痛手だったけど、まあ遅刻更新止まったからいいよね。 ちょうど痛んでて新しい制服に変える時だったし...」 「しかし、この靴下すごいわ...まだ使えるのかしら?」 (えっと、たしか行きたい方向を向いて念ずるのよね...) 「更衣室..更衣室..更衣室..」バシューーーンンン!! 私の身体は一瞬にして自分が所属している弓道部の更衣室まで飛んでいってしまう。 (うわぁっ..すごい!まだ使えるんだ。) 更衣室に飛んだ私は自分のロッカーに行き、そこにしまっていた服を取り出す。 実はそこには予備として買った新しい制服と下着が置いていたのであった。 「あった。あった。私の新しい制服。それと汗をかいた時の予備の下着も。」 (横着して置きっぱなしにしたのが助かったわ..これで裸で帰ることは なくなったわ...) ほっとした私は下着を履こうとしたのだが、ここで1つの妙案が浮かんだ。 「そっか。始めから裸でくればいいのか...服も下着もある事だし..」 (そうと決まれば...) 私は下着を再びロッカーに入れ、家の方向に体を向けて念じ始めた。 「私の部屋...私の部屋...私の部屋...」バシューーーンンン!! 次の瞬間、私の身体は一瞬にして自宅の部屋まで飛んでいった。 「やったーーすごいわ。たったの数分でここまで行くなんて。」 私は思い切り声を出して喜んだ。例え裸で移動となっても要は見えなきゃ 問題ないわけで私はこのアイテムを活用する事にしたのであった。 翌日から前回の失敗を踏まえ更衣室に飛ぶようにし、そこで着替えてから 教室に行く事にした。 おかげで遅刻はこの日からなくなり私の学園生活はこれで平穏となったのだが それは甘かった。 そう、新たな問題がまた私に降りかかってきたのであった。


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