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  [No.223] 思い付きのメモ書き 投稿者:鶴翼斬魔  投稿日:2021/11/04(Thu) 23:51:14

 明日香と破局した拓也は北ノ都学園を卒業した後、某商社に就職して仕事に追われて慌ただしい日常を過ごしていた。
 少しずつ実績を積み重ね、自分に自信を持ち始めた……その一方で、タイムカードを押して仕事をする単純な毎日に物足りなさを覚えていた。

 ――今の生活には、頻繁に女になっていた頃のような刺激が足りない

 その日の夜、夢の中に現れたのは女になった自分自身。
 いつの間にか人生に疲れていた。恋人と別れて仕事だけのために生きてきた自分に。そんな拓也を癒すように優しく抱きしめたたくやを貪るように抱いてしまった。
 いつしか意識は女の自分になっていて、色んな男に体の奥底へ刻み込まれた快感が甦る。

 けれど、それは夢。
 朝になれば体は男のままであり、以前のように鏡を見て自分の顔に見惚れることも無かった。

 だけどそれは実現できる夢だった。
 入社して初めて有休をとった拓也は、こちらからは二度と連絡を取ることはないだろうと思っていた相手に電話を掛ける。

 そして―――



 翌日、社内にはざわめきが広がっていた。
 男だらけの部署にスーツ姿の美女が颯爽と入ってきてタイムカードを押したのだから。

 薬品研究所に就職した麻美。新たな恋人ができて充実した研究生活を送る彼女と再会し、性転換薬の改良品を受け取った拓也は少し逡巡したけれど……自分の願いに付き合った麻美の優しさを無碍にせず、目の前で薬を飲み干していた。

 元に戻る薬は、自分の部屋の棚の奥に隠してきた。
 いつまで女でいるのか判らない。もしかすると一生女のままでいるのかもしれないけれど……それでも笑顔を浮かべて自分の席につき、詰み上がった仕事をこなしだした。


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